CEATEC JAPAN 2009【東芝編】

「CELL REGZA」全面展開。進化する「55X1」


東芝ブース

会期:10月6日~10月10日

会場:幕張メッセ

入場料:大人1,000円/学生500円
    (事前登録で無料/最終日は無料)


 CEATEC JAPAN 2009開幕前日に、会場で「CELL REGZA(レグザ) 55X1」を発表した東芝は、ブースのほぼ全てを55X1の機能やコンセプト紹介のために使っている。REGZAやVARDIAの年末商戦モデルなどの展示は無く、CELL REGZA以外では、スマートフォンのT-01Aなど「DynaPocket」製品の別ブースを設けているのみとなっている。

 


■ 人気の「CELL REGZA」

ローミングナビのデモ

 55X1は、PlayStation 3にも搭載している高性能メディアプロセッサの「Cell Broadband Engine」を搭載した液晶テレビ「REGZA」のフラッグシップモデル。アルミボディのディスプレイ部と、Cellを中心としたメディア処理回路や合計14系統のチューナ、3TB HDDを搭載したチューナ部から構成される。

 東芝ブースでは、8番組地デジ録画の「タイムシフトマシン」や、タイトルや人物、ジャンルなどから録画コンテンツを選べる新UI「ローミングナビ」、Cellプロセッサのパワーとマルチチューナを活かした8ch同時表示、YouTube対応、オーディオシステム、ネット機能などのデモを実施している。

 3台の55X1からなるシアタールームを用意。BDビデオ「ダークナイト」の地下道のシーンや、空撮した東京タワーなどのコンテンツを楽しめる。

専用のシアタールームを設置壁掛けなどさまざまな設置方法も提案フロアラックも用意
3D CELL REGZAのデモ

 デモで人気を集めていたのは、将来のCELL REGZAでの採用を目指している3Dのコーナー。専用の3Dインターフェイスは、テレビ上の赤外線センサーで視聴者の手のジェスチャを感知し、テレビの操作を行なうもの。テレビに向かって手をかざして、球状のコンテンツリストを上下左右に回転し、中央のポインタにあわせて決定すると、コンテンツ再生が開始されるというユニークなUIのデモを行なっている。このグラフィックスも3D化されており、3Dメガネを装着したまま操作ができる点が特徴。Cellによる2D-3D変換なども行なっている。

 なお、2008年のCEATECなどでは、通常のREGZAで1回だけ適用している再構成型超解像処理を複数回かけることで、時間をかけて演算を行ないコンテンツの高画質化を図る「熟成」にCellを活用するという提案もしていた。55X1にはこの機能は入っていないが、今回タイムシフトマシンなど録画機能の搭載を優先したことと、再構成型超解像のアルゴリズムの完成度が上がり、1度の超解像処理でもかなりの画質改善が行なえるようになったことから、搭載は見送っているという。

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 【2008年9月30日】CEATEC JAPAN 2008【東芝編】
立てかけREGZAやCell TVなど多くの技術展示
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080930/ceatec05.htm


■ CELL REGZAはどこまで進化する?

 多くの機能を集約した「55X1」だが、実は12月の発売に間に合わない機能も多い。

東芝DM社 映像マーケティング事業部 グローバルマーケティング部 参事の本村氏

 ネットワーク機能の、Operaの「フルHDブラウザ」や、YouTubeなどの「ネット動画超解像」は2010年1月末の対応を予定。「ひかりTV」についても後日アップデートを行なう予定という。発表会では、東芝デジタルメディアネットワーク社の大角社長が、「CELL REGZAは進化するテレビ」と紹介した。

 では、どこまで“進化”を見込んでいるのだろうか? 55X1をはじめとし、REGZAシリーズの商品企画を担当する東芝DM社 映像マーケティング事業部 グローバルマーケティング部 参事の本村裕史氏は、「発売までに入らなかった機能は、順次搭載してきます。私もそうですが、“できなかったことができるようになる”と嬉しい。東芝は番組表を、6ch/5時間から7ch/6時間表示に強化するなど、いままでもやってきましたが」と語る。現在、「まだ公表できない」としながらも現在予告している以外にも、いくつかの機能追加はあるようだ。

 ただし、例えば「2009年モデルを、2010年モデル相当にアップデートする」といった、大規模なアップデートという点については、「そうなると同時に2つのソフトウェアを開発してサポートしなければいけない。いまのテレビのビジネスではなかなか難しいと思います」とのこと。

 Cellのパフォーマンスのデモでよく使われるのが、MPEG-4 AVC/H.264への高速エンコードだが、55X1にはそうした機能は備えていない。

 本村氏は、「今回、タイムシフトマシンでやりたかったのは“テレビ視聴の体験が変わる”ということです。途中から番組を見始めても、簡単に逆戻りできるし、見始めの時間を考えなくていい。画質劣化しても“アーカイブする”ということとは、違う感覚のことをやりたかった」とのことで、現時点でAVCエンコードの対応予定は無いようだ。

 また、タイムシフトマシンが地デジのみでBSには対応しない点も、技術的な課題だけでなく「ザッピングを変える、拡張する機能にしたかった。BSの映画とかは、思い入れを持って“録る”もの。それはそれで録れるようにしていますが」という。なお、Cellのプロセッサ自体は最新PS3に搭載のものと同じだが、もちろんPS3は動作しない。「CPUは同じですけど、中身は全然違うものですから(動かない)」。

 さらに、細かい新機能としてアピールしたいというのがリモコン。REGZAとして初めての電波方式(RF)を採用しているが、CELL REGZAのチューナ部のボタンを操作することで、リモコンからアラーム音を発生させる“リモコン呼出”が可能となった。家の中でリモコンを見失ってしまった場合、チューナのボタンを押すことで、警告音を出してリモコンの位置を通知してくれる。


リモコンはRF方式を採用。IRの送信部も備えているリモコン登録/呼び出しボタンを前面に装備リモコン登録画面

 


■ DynaPocketブースでは7型/WVGAの新端末も

 CELL REGZA“だけ”のブースの向かいには、スマートフォンの「T-01A」などのモバイル端末ブランド「DynaPcoket」のブースが設置されている。

 Windows Mobile搭載のスマートフォン「T-01A」の高音質、高画質化などをアピール。REGZAのノウハウを生かしたというネット動画の画質向上技術や、高域補正技術などを紹介しているほか、独自の音声認識/翻訳ソフトウェアなども展示。また、開発中の7型/800×480ドットタッチパネル液晶採用端末も紹介し、DynaPocketの特徴として通信やタッチインターフェイスを活かした、さまざまなモバイルアプリケーション展開を提案している。

T-01Aに組み込んだ高画質化機能8型/WVGA液晶搭載のDynaPocket試作機音声認識/翻訳ソフトのデモも

 DynaPocketと近接高速無線転送技術「Transferjet」を組み合わせたデモも実施。T-01AにTransferjetの機能を組み込み、T-01Aで撮影した映像をTransferjet対応のパソコンにかざすことで、パソコンに取り込み。テレビからパソコンにDLNA経由でアクセスし、写真を再生できる。

T-01Aで写真を選んでパソコンに転送DLNA経由でパソコンからテレビに表示

(2009年 10月 6日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]