「攻殻S.A.C. 2nd GIG BD-BOX」に、新技術「SBMV Extend」

-マスターのバンディングも低減。ソニーPCLが担当


10月26日発表

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Blu-ray Disc BOX-1
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会
 ソニーが開発した映像用階調補完技術“Super Bit Mapping for Video(SBMV)”を使ったBlu-ray Discビデオ用エンコードサービスを実施しているソニーピーシーエル株式会社は26日、バンダイビジュアルが11月25日に発売するBDビデオ「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Blu-ray Disc BOX-1」に、新技術「SBMV Extend」が採用されたと発表した。

 BDビデオには映像信号が8bitで記録されるため、オリジナル映像が10bitで制作された場合には、エンコード時に8bitへ変換する処理が必要になる。その結果、グラデーション部分などに階調の変化点が等高線のようになって見えてしまう現象、「カラーバンディング」が発生することがある。

 SBMVはそれを防ぐ階調補完技術で、エンコード処理の前にSBMV処理を行なうことで、オリジナルコンテンツのグラデーション感を保ちながらカラーバンディングを軽減するもの。既報の通り、適用BDソフトの第1弾は、5月27日にキングレコードから発売された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 EVANGELION:1.11 YOU ARE (NOT) ALONE」。


SBMVだけではマスターにバンディングがあった場合、滑らかにする事はできない
 今回新たに導入された「SBMV Extend」は、マスター映像の中に既にカラーバンディングがある場合、その領域に対してスムージング処理を施して14bitの滑らかな階調を再現。その後、前述のSBMVを適用し、滑らかな8bitの絵を得るというもの。

 SBMVは8bit変換時に発生するカラーバンディングを低減し、マスターの品質を保持する技術であるため、マスターの段階でバンディングがあると、8bit変換後もそのバンディングが残ってしまう。SBMV Extendはマスターをより滑らかな階調に変換してからBD/DVDに落とし込める技術と言える。

 なお、カラーバンディングの境界のみを検出してスムージング処理を行うため、輪郭線やディテール部分が甘くなるようなことはほとんどないという。


 【 オリジナルマスター 】【 SBMV Extendを
使ったエンコード映像 】
シーン1
髪の毛の部分のグラデーションが滑らかになっている
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会
シーン2

窓からの光が広がる部分。
オリジナルで出ているバンディングが目立たなくなった
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会

舞-乙HiME Zwei COMPLETE
(C)サンライズ
 攻殻機動隊シリーズの神山健治監督は「フィルムの作風をイメージしながら制作していますが、アニメーションではアウトラインがはっきりしすぎることがあり、デジタル化の際にイメージが出るようにグラデーションやフレアを用いることがあります。しかし、ソフト化の際にそれらがカラーバンドとして出てきてしまうのが正直困った点でもあったのですが、これまではどうすることも出来ずにあきらめていました。今回、“SBMV Extend”によってその悩みは解決しました。エンコード映像には、非常に満足しており、カラーバンドに悩まされた過去のタイトルも、ここまでなめらかな映像表現ができるようになったことは嬉しい限りです」と、コメントを寄せている。

 なお「SBMV Extend」は10月27日に、同じくバンダイビジュアルから発売される「舞-乙HiME Zwei COMPLETE」にも採用が決定している。ソニーPCLでは、「SBMVとSBMV Extendにより、BD制作体制はマスター映像の特性にあわせてより高品位かつ強力なものへと進化した。高い技術力とノウハウで、今後も高品位なBD制作をより積極的にサポートしたい」としている。



(2009年 10月 26日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]