薄型テレビの販売台数は前年比7割増と好調に推移

-BCN調査。「エコポイント効果は続いている」


BCNアナリストの道越一郎氏

11月11日発表


 株式会社BCNは9日、家電量販店など全国21社、2,302店舗(2009年10月時点)のPOSデータを集計した「BCNランキング」のデータをもとに、薄型テレビとBD/DVDレコーダ、ポータブルオーディオプレーヤー、パソコン、デジタルカメラのデジタル製品の市場分析結果を発表した。

 デジタル家電やパソコン関連など116品目の実売データをもとに、平均販売単価と販売価格の前年同月比をまとめた「BCN指数」の推移から、「夏商戦以降、薄型テレビがデジタル家電市場を強力に牽引している」と分析。10月の販売動向は金額で前年同月比107.8%となっている。

今回のポイントBCN指数による販売動向総務省の家計消費動向調査によると、家電の支出は高まっているという

■ 薄型テレビは前年比で台数67%増と好調

薄型テレビの販売動向

 薄型テレビは、10月の販売実績が台数ベースで前年同月比167.7%、金額ベースで同139.9%と大幅な伸びを記録。好調の要因としてはBCNでは、「エコポイント効果が続いているため」と説明した。

 10月の画面サイズ別の台数構成比は、20型未満が10.1%、20~30型未満が24.9%、30~40型未満が39.3%、40~50型未満が23.5%、50型以上が2.2%で、主力の30型台の構成比が前年同月(45.4%)と比べ低下してきており、「各サイズ帯がバラけてきた印象」(BCN)とした。

 画面サイズ別で最も大きな伸びを示したのは40型台で、エコポイント効果もあり、前年比で2.15倍の実績を記録した。20型台が同1.72倍、30型台は同1.45倍、50型以上が同1.65倍の伸びを見せている。

 サイズ別平均単価を見てみると、30型台が94,600円で、前年同月比で20%以上下落している。40型台の平均単価は163,400円で同81.6%、50型以上が273,100円で同78.9%。主要サイズ帯では年間2割程度の落ち込みが見て取れる。

画面サイズ別台数構成比台数前年同月比画面サイズ別液晶・プラズマ比率

 10月のメーカー別の販売台数シェアでは、1位がシャープで41.4%。次いでパナソニックがシェア18.8%で2位。3位はソニーで14.8%、4位は東芝で12.7%となっている。パナソニックは7~8月に東芝に抜かれシェア3位となっていたが、9月以降は主力サイズ帯である30型台の売上を拡大し、2位を奪還した。

 なお、メーカー別の台数の伸びでは、エコポイントの効果が現れ始めた5~6月に最も売上台数を伸ばしたのは東芝で、6月には前年同月比で3倍以上の実績を記録している。10月の販売台数は日立が前年比183.1%、シャープが177.4%、東芝が177.1%、ソニーが159.3%、パナソニックが138%となっている。

メーカーシェアパナソニックの販売動向メーカー別台数伸び率

録画対応テレビ

 HDDやBDなどへの録画機能を搭載した薄型テレビについても集計。録画対応薄型テレビのシェアは薄型全体の18.1%となっている。録画先では、HDDタイプが6割強を占める。Blu-ray Discタイプは10月の実績でシェア36.3%。

 録画対応テレビのメーカー別販売台数シェアでは、シャープが36.3%で1位、2位は東芝で24.6%、3位は日立で21.6%、4位は16.5%でパナソニックとなっている。また画面サイズ別録画対応構成比では、30型台が21.9%、40型台が24.9%で、主力のサイズ帯では20%以上が録画対応となっている。20型台は8.2%、50型以上は17.2%。


■ レコーダも薄型テレビの好調を受け台数で14%増

レコーダの販売動向

 BDやDVD、HDDなどを含むレコーダの10月の集計では、台数が前年同月比114.1%で2桁伸長を記録。金額は9月に同98.6%と前年同月を下回ったが、10月には同105.5%とプラスに転じており、「薄型テレビの好調を受けた」としている。レコーダ全体の平均単価は71,100円で、このジャンルを牽引しているBDレコーダの10月の構成比は、金額でレコーダ全体の79.5%、台数で66.2%を占めている。

 メーカー別のBDレコーダの販売台数シェアでは、1位がシャープで39.4%。2位はパナソニックで34%。パナソニックは新製品の投入効果で、1位のシャープに迫る勢いを見せている。3位はソニーでシェア24.9%。

 メーカー別販売金額シェアでは、パナソニックが36.5%を占めて1位となっている。2位はシャープで34%、3位は27.9%でソニー。

BDとその他レコーダーの構成比メーカー別台数シェア

■ 携帯オーディオは台数で前年並みまで回復

携帯オーディオの販売動向

 携帯オーディオについても発表。10月の販売実績は、アップルとソニーの主要2社が新製品を発売したことにより、台数ベースで100.1%と前年並みまで回復。金額ベースでは93.1%とマイナスではあるが、夏商戦期と比べると持ち直している。平均単価は15,100円。

 同カテゴリーの販売台数週次シェアを見てみると、8月31日週でソニーがトップシェアを獲得した後、アップルが再び抜き返し、それ以降大きく差が開いたままだったが、10月26日週ではアップルが51.5%、ソニーが39.7%と再び2社が急接近してきている。

主要2社の販売台数週次シェア推移主要2社の販売動向

■ 新OSの影響でPCは盛り返す

 そのほか、デジタルカメラとパソコンについても発表。デジタルカメラはコンパクトデジタルカメラが台数・金額ともに不調で、10月の販売実績は台数が前年同月比97.5%、金額が87.6%とマイナスとなっている。ただ台数について、BCNでは「6月をボトムに回復傾向にある」と分析する。

 デジタル一眼は、9月に台数・金額で前年割れをし、落ち込んだものの、10月は台数で前年同月比101.4%、金額は104%と復調。動画対応モデルのシェアは全体の74.2%まで拡大した。

コンパクトデジカメの販売動向デジタル一眼の販売動向一眼の動画対応台数構成比

 パソコンはWindows 7やMacの新製品などの影響により、10月の実績で台数が前年同月比119.3%と4カ月ぶりに2桁伸長を記録。金額は同93.6%と下回っているものの、5カ月ぶりに1桁マイナスに戻した。そのうちノートは台数ベースで同124%、デスクトップは同102.2%で11カ月ぶりにプラスに転じた。

パソコンについて説明する森英二氏パソコンの販売動向

(2009年 11月 11日)

[AV Watch編集部 大類洋輔]