NEC、動く被写体を高速で高画質化する複数枚超解像技術

-演算が80倍高速に。NHKと共同で検証装置を開発


 NECは10日、映像をデジタル処理で高解像度化する新技術として、動く被写体の高精細さを高速に復元できるという複数枚超解像技術を開発したと発表した。

複数枚超解像の処理手順

 この技術を用いて、NHKとの協力で「複数枚超解像方式の技術検証装置」を設計/開発。放送局が蓄積してきたアナログ放送用のSD映像を、高品質な映像に自動変換可能になるという。製品化は2~3年後を目指している。

 開発された技術は、連続する複数枚のフレームを参照して、より高精度に復元する「複数枚超解像技術」。演算の最適化による処理時間の短縮と、撮影により失われた被写体本来の緻密さを正確に復元することで、映像の背景だけでなく、従来は困難だった“動く物体”全てに対しても、高速かつ高精細に復元。従来方式に比べ80倍以上高速で、高精度に処理可能な演算方式を開発することで実現している。

 もう1つの特徴は、被写体本来の緻密さを正確に復元できること。複数枚超解像の特徴である複数枚の前後フレームの情報の参照に加えて、被写体が本来持つ緻密さなどの情報を事前知識として蓄えて処理に利用。ちらつき(ノイズ)が少なく、クリアで自然な高解像映像を復元できるという。

 NECはNHKと共同で、画質評価と、この技術を応用した映像変換システムを設計/開発。検証装置を作成し、動く物体を含む一般的な放送映像に対しても適用できることを実証したという。

 NECでは、今後も同技術の性能向上を図り、2~3年後の製品化を目指す。また、この技術を放送事業だけでなく、映像監視などのパブリックセーフティ事業に向けても展開するとしている。

 今回の新技術は、11月17日から19日まで千葉県・幕張メッセで開催される「Inter BEE 2010」に出展される。

映像中の動きを推定「被写体本体の緻密さ」を処理に利用するという


(2010年 11月 12日)

[AV Watch編集部 中林暁]