パイオニア、両面駆動HVTの住宅設置用スピーカー

-「S-HVH0010」。薄型・軽量で高い設置性


天井設置のイメージ。両面にHVT方式のユニットを搭載している

 パイオニアは、両面駆動HVT方式のユニットを採用した「SOUND WING」スピーカーの新モデルとして、住宅設置用の「S-HVH001」を6月中旬に発売する。価格は1台40,950円。カラーはピュアホワイト。

 住宅設備用オーディオ「ACCO」(アッコ)のラインナップとして発売するもの。同社が2010年にスピーカーの新しい方式として発表し、カーオーディオ用などで製品展開も行なっているHVT方式採用したのが特徴。

 薄型・コンパクト・軽量を実現しており、取り付け時に大きな穴を空ける必要がないため、埋め込み型スピーカーや箱型スピーカーを設置しにくかった勾配天井や吹き抜けの壁面など、さまざまな場所に設置できるという。テレビの両脇に設置し、ホームシアターのフロントスピーカーとして使用したり、サラウンドスピーカーとして使う事も可能。


天井設置のイメージ斜めの天井にも設置できる壁に取り付けたところ

 HVTは(Horizontal-Vertical Transforming)の略で、「水平の動きを垂直に変換して動作するスピーカー」を意味している。通常のダイナミックスピーカーは、振動板が前後に振幅して音を出す。そのために、振動板が前後に振幅するためのスペース(クリアランス)を設け、その背後にボイスコイルの巻幅、ボイスコイルのクリアランス、磁気回路と、様々なパーツや空間が必要になり、ユニット全体が分厚くなる。それらのパーツや空間を無理に薄くすると、今度は振幅が小さくなり、振動板のエッジがすぐに“つっぱって”しまうなど、入力信号が大きいとすぐに音が歪むユニットになってしまう。

 HVT方式では、磁気回路とボイスコイルを振動板の背後に置かず、振動板の左右に駆動用パーツを配置。ボイスコイルは左右に動くのだが、それを「スコット・ラッセルのリンク機構」と呼ばれる“飛び出す絵本”のような機構を介して、上下の動きに変換。振動板に伝え、音を出すという仕組みになっている。

車載用スピーカー「TS-STH1000」の発表時に使われた、機構の説明パネル。左右の動きを上下の動きに変換する機構は、飛び出す絵本を思い浮かべるとわかりやすいHVT方式のメリット

 「S-HVH001」では、この振動板を筐体の両面に配置した“両面駆動HVT方式”を採用。これにより、天井などに設置した場合、スピーカーの両面から音が出て、周囲に広がるため、部屋のどこにいても音楽を楽しむことができるという。また、対抗配置の振動板を必要とせず、振動を打ち消し合う構造になっているため、スピーカーから壁や天井に伝わる振動が、同社従来製品と比べて約1/10と少なく、マンションや集合住宅などで利用しても、周りの部屋に振動が伝わりにくいという。

右端が「S-HVH001」の内部構造。HVT方式の振動板を筐体の両面に配置している

 筐体は密閉式で、2ウェイ方式となっており、ウーファは57×30mmのHVT方式2基、ツイータは20mm径のドーム型を2基採用。インピーダンスは8Ω。再生周波数帯域は160Hz~32kHz。出力音圧レベルは76dB(両面出力82dB相当)。最大入力は100W。外形寸法は207×100×109mm(幅×奥行き×高さ)で、最薄部は9.6 mm、最厚部37mm。重量は430g。安全ベルトや、ベルト取り付け用ネジ、滑り止めなどを同梱する。

 なお、製品の音は東京・新宿パークタワーにある「リビングデザインセンターOZONE 6F」、銀座の「パイオニア プラザ銀座」で体験できる。



(2011年 3月 24日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]