SCE、小型軽量化した新型PS3を10月4日発売
-250GBで24,980円から。ローディング方式変更
新型PS3(中央)と、PS Vitaの新色を紹介する河野弘プレジデント(左)と、代表取締役 社長 兼 グループCEOのアンドリュー・ハウス氏(右) |
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は19日、プレス向けのカンファレンスを開催。その中で、PlayStation 3の新モデル「CECH-4000シリーズ」を発表した。チャコール・ブラックが10月4日発売、クラシック・ホワイトが11月22日発売され、価格はHDD容量250GBモデル「CECH-4000B」で24,980円、500GB「CECH-4000C」で29,980円となる。なお、クラシック・ホワイトは250GBのみとなる。
従来モデルとの比較では、価格は据え置きだが、HDD容量が増加している(現在のPS3は160GBと320GB)。なお欧州や香港では12GBのフラッシュメモリを搭載した「CE-CH4000A」もラインナップ。欧州では10月12日に発売し、価格は229ユーロ。
最大の特徴は、スペックを維持しながら、初代モデルと比べて約50%の小型・軽量化、現行モデルと比べても25%の小型化、20%の軽量化を実現していること。外形寸法は約290×230×60mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.1kg。
新型PS3を紹介する社長 兼 グループCEOのアンドリュー・ハウス氏 | 価格と発売日 |
PS3(CECH-4000)チャコール・ブラック | PS3(CECH-4000)クラシック・ホワイト |
本体デザインも一新。ドライブ部は、従来スロットローディングタイプだったが、新モデルでは、上部片側のパネルが、スライドする機構を採用。パネルの下にあるドライブが現れ、そこにディスクを乗せる形になるという。
19日に発表された新製品。奥が新型PS3、手前がPS Vitaの新色 | チャコール・ブラック。スライドパネルの下にドライブ部がある | 横から見たところ |
真横から見たところ | 底面 | 前面下部のUSB端子。端子の数や種類などは従来と同じ |
これまでのPS3と同様にPS3ゲームタイトルのプレイやBlu-rayビデオ、Blu-ray 3Dの再生に対応する。AV出力はHDMIと、AVマルチ、光デジタル音声出力を各1系統装備。HDMIは3D、DeepColorに対応し、ドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioのビットストリーム出力も可能。
CECH-4000 チャコール・ブラック | CECH-4000 クラシック・ホワイト |
上部。デザインも一新 |
前面にUSB×2 |
背面にHDMIを装備 |
側面 |
側面 |
IEEE 802.11b/g無線LANやBluetooth 2.0+EDR、USB 2.0×2などは従来モデルと共通。消費電力は190Wで従来モデルより10W低消費電力化された。ワイヤレスコントローラ(DUALSHOCK 3)や電源ケーブル、AVケーブル、USBケーブルなどが付属する。
また、縦置きスタンド「CECH-ZST1」も10月4日に発売。価格は1,800円。
縦置きスタンド。チャコール・ブラック | クラシック・ホワイト |
型番 | CECH-4000 (新モデル) | CECH-3000 (2011年6月発売) |
HDD | 250GB 500GB | 160GB 320GB |
消費電力 | 190W | 200W |
通信 | IEEE 802.11b/g、Bluetooth 2.0、Ethernet | |
AV出力 | HDMI×1、AVマルチ×1、光デジタル×1 | |
USB 2.0 | 2 | |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 290×230×60mm | 290×290×65mm |
重量 | 約2.1kg | 約2.6kg |
■クラウドゲームでネットワーク対応機器の魅力を高める
社長 兼 グループCEOのアンドリュー・ハウス氏 |
社長 兼 グループCEOのアンドリュー・ハウス氏は、小型・軽量化した新型PS3を紹介すると共に、「ヒットタイトルや周辺機器を充実させながら、7年目を迎え、本格的な収穫期を迎えたPlayStationビジネスを、全世界でさらに拡大していく」と説明。
さらに、クロスプラットフォーム、クロスデバイスをキーワードに、Androidタブレットやスマートフォンに向け、PlayStationのゲームなど、コンテンツを提供していく「PlayStation Mobile」についても新情報を発表。10月3日から、日本やアメリカなど、9カ国のPlayStation Storeを通じ、PlayStation Mobile向けコンテンツを配信すると発表した。
アクション・アドベンチャー、パズル、スポーツ、シミュレーションなどのジャンルから、約30の専用コンテンツを50円~850円で販売予定で、コンテンツや対象国は今後も順次拡大するという。
また、快適なプレイができる事を示す「PlayStation Certifiedライセンスプログラム」に、シャープと富士通の2社が新たに参加する事も発表された。
さらに、開発者向けにPlayStation Mobile SDK正式版の提供を含む開発サポートプログラム「PlayStation Mobile Developer Program」の提供を、11月より開始。SCEとのライセンス契約や所定の手続きを行なうと、ユーザーが作ったコンテンツが、PlayStation Storeを通じて配信できるようになるという。
さらにハウス氏は、「少し未来の話」として、クラウドゲーム配信の米GaikaiをSCEが買収した事を報告。このGaikaiは、サーバー側などで、高い処理能力を持つハードウェアでゲームを処理し、その画面をスマートフォンなどの端末に送信。非力な小型端末でも、リッチなゲームがプレイできるクラウドサービスを手掛けている。
ハウス氏は今後、Gaikaiのビジネスや人材を活用しながら、新しいクラウドサービスの立ち上げを行ない、「ゲームの遊び方そのものを変えるような、今までにない提案をしていく。クラウドゲームでは、レイテンシー(遅延)を低く抑える事が重要だが、Gaikaiは、その最先端技術を保有している。その技術と、私達が持つPlayStationビジネスの経験を融合させていく。そうすることで、あらゆるネットワーク対応機器の魅力を高めていきたい。現在急ピッチで開発を進めており、今後にご期待ください」とした。
■「みんなのGOLF 6」とのセットも
続いて、河野弘プレジデントが日本での展開を説明。前述の新型PS3と、PS3向け新作ゲーム「みんなのGOLF 6」をセットにしたスターターパックを、11月22日に発売する事を発表した。価格は25,980円で、PS3本体のカラーは、チャコール・ブラックとクラシック・ホワイトから選べる。
この「みんなのGOLF 6」は、みんなのGOLFシリーズの最新作であり、シリーズ史上初のフルHDに対応。さらに、PS Vitaとの連携機能も備え、PS Moveにも対応している。
河野弘プレジデント | 「みんなのGOLF 6」をセットにしたスターターパック |
Huluの好調ぶりを説明する河野氏 |
河野プレジデントはさらに、PS3向けサービスの近況も説明。Music Unlimitedでは、日本人アーティストの作品が本格的に充実してきた事に触れ、「日本でも料金定額制サービスがしっかりと受け入れられつつある」という。映像コンテンツ面では、Huluの好調ぶりを紹介。さらに、「nasneの登場により、PS3のホームエンターテイメント機器としての能力はますますパワーアップした」と締めくくった。
さらに、発売から9年目を迎えるプレイステーション・ポータブルについては、「依然として大きな存在感を持っている。PSPプラットフォームの力を改めて感じる。小中学生のユーザー向けゲームも充実しており、ユーザー層が広がっている。その流れを加速させる」として、現在の16,800円から13,800円に値下げを発表した。なお、PSPに関しては別記事で紹介している。
■PS VitaとPS3の連携を強化
年末に向けて多数のVita用ゲームが予定されている |
河野プレジデントは、PS Vitaの状況として、「ラグナロクオデッセイ」や「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」など、これまでのヒット作を振り返った後、発売されたばかりの「初音ミク -Project DIVA-」について、「最大級のヒットを記録している」と好調ぶりをアピール。さらに、初代PlayStationのタイトルが、PS Vitaでプレイできるようになった事もデモを交えて紹介。8月28日から昨日まで、既に18万ダウンロードを記録している事も明らかにした。
さらに、VitaとPS3の連携も進んでいる事を説明。VitaをPS3のコントローラーとして使い、Vitaのタッチスクリーン、タッチパッド、カメラなどを使って、標準コントローラーよりもさらに直感的な操作ができる「クロスコントローラー」システムや、PS3とVitaで同じゲームをプレイしながら、セーブデータも共有でき、外出時にVitaでゲームを進め、帰宅後にPS3で続きをプレイするといった使い方ができる「クロスセーブ」などを紹介。
また、VitaとPS3版が両方用意されているゲームの場合、どちらかを購入すると、もう片方が低価格で購入できる「クロスバイ」サービスも紹介。「みんなのGOLF 6」から導入され、“みんごる”の場合は、片方を購入すると、もう片方のダウンロード版が、約半額で購入できるようになるという。
さらに、Vita向けに、年末や来年にかけてリリースが予定されているゲームソフトも多数紹介。ゲームソフトについては、僚誌Game Watchを参照のこと。
最後に河野氏は、20日から開幕する東京ゲームショウにおける、SCEブースの紹介や、注目ゲームの試遊台を大々的に用意している事、ステージイベントの充実などをアピール。「我々はユーザーの皆様、メディアの皆様、ゲームクリエイターの皆さんと共に、ゲーム業界を盛り上げていきたい。明日からの東京ゲームショウでそれをお感じいただければ」と締めくくった。
カンファレンス後半には、各ゲームメーカーからクリエイター達が登場。comcept代表取締役/コンセプターの稲船敬二氏は、Vita用注目ソフト「ソウル・サクリファイス」を紹介。ゲームショウでも試遊台が用意され、その後に体験版配信も予定。発売が2013年春になる事を明らかにした |
(2012年 9月 19日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]