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シャープ、クアルコムと共同でMEMSディスプレイ開発へ

IGZOとピクトロニクスのMEMSを統合。99億円出資受け入れ

 シャープは4日、米Qualcomm(クアルコム)の子会社であるPixtronix(ピクストロニクス)と共同で、MEMSディスプレイを開発することに合意したと発表した。

 この共同開発を推進するため、シャープはクアルコムを割当先とした第三者割当による新株式の発行を行ない、最大で約99億円(1億2,000万ドルを12月3日の為替レートで換算)の出資を受け入れる予定。この資金をMEMSディスプレイの開発および設備投資費用に充て、実用化に向けた技術の確立を目指すという。

 両社が共同開発するMEMSディスプレイは、微細な加工技術を利用したディスプレイで、優れた色再現性と低消費電力を特徴とするほか、既存の生産インフラを効率的に活用できる。シャープのIGZO技術と、ピクストロニクスのMEMSディスプレイ技術を統合し、実用化に向けて開発を進めていく。

 シャープは米子の液晶パネル工場において、実用化に向けた開発を行なう設備を導入。次世代ディスプレイの開発と必要な投資を開始し、実用化に向けた技術開発に目処が立った段階で装置を導入し、量産化技術の確立に向けた次のステップに進むという。

 そのほか、両社はモバイル機器向けの低消費電力化と高機能化を実現するため、クアルコムの100%子会社であるQualcomm Technologiesのチップセットと、シャープのIGZO技術のさらなる取り組みの可能性を検討していくという。

 シャープは、今回の契約により、「IGZO技術を核とした中小型液晶事業の成長戦略を加速させ、収益の拡大ならびに当社企業価値の向上に取り組んでいく」としている。

(中林暁)