ニュース

JVC、デジタルアンプ/実売43,000円のウッドコーンコンポ

音質も向上させたロースタイル/4色の「EX-S3」

左からブラック、ブラウン、ベージュ、ナチュラルウッド。“グラデーション”を意識したカラー展開となっている

 JVCケンウッドは、JVCブランドのオーディオ新製品として、ウッドコーンスピーカー採用のコンパクトコンポ「EX-S3」を2月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は43,000円前後。カラーはナチュラルウッド(W)、ベージュ(C)、ブラウン(T)、ブラック(B)の4色。

 木の特性を活かした響きが特徴のウッドコーンスピーカーを、幅広い層に訴求するエントリーモデル。カラーに新しくベージュとブラウンを加えたことで、「トータル4色のグラデーションがカフェを思わせる」とし、女性の利用も意識したラインナップとなっている。2010年10月に発売された「EX-S1」の後継で、「フラット&ロースタイル」のデザインを継承しつつ、アンプをフルデジタル化するなど、音質もさらに向上させている。スピーカー部の幅を片側約10mm/合計20mm縮小したことで、全体のコンパクト化も実現している。

 CDとiPhone/iPod(30ピンDockコネクタ搭載機種)、USB再生や、AM/FMラジオに対応したメインユニットと、ウッドコーンフルレンジユニットのステレオスピーカーで構成。天面にiPhone/iPodドックを備え、iPhone 4Sなど30ピンコネクタ搭載の機種とデジタル接続して高音質に再生できる。なお、iPhone 5などLightningコネクタの機種はサポートしない。USBは、マスストレージクラス対応のUSBメモリやプレーヤーなどを接続して再生可能なほか、CDやラジオなどの録音も可能。

ベージュ
ブラック
30ピンのDockコネクタを天面に装備
搭載するウッドコーンスピーカーユニット

 スピーカーユニットは8.5cm径フルレンジで、ダンパー部には内周から外周にかけて凹凸を大きくする不均等コルゲーション形状を採用して追従性を向上。ポールピース上部には銅キャップを使用し、高域特性の向上と歪みの低減を図っている。ボイスコイルは4NのOFCワイヤを平角線に加工し、4層でボイスコイルに巻くことにより占積率を高めて効率を向上。素直な中音域を再現するという。

 スピーカーのエンクロージャはバスレフ型で、内部に補強桟と補強板を配置して剛性を向上。ユニット後方のマグネット部分にウッドブロックを装着し、余分な振動を低減した低重心再生を可能にしたほか、このウッドブロックがバスレフダクトからの高域成分の排出を制御し、解像度や低域再生の改善に寄与するという。スピーカーターミナルからユニットへ接続する内部配線には、高品位な18番線OFCワイヤーを採用している。

ウッドコーンスピーカーの特徴
これまでの開発経緯
S3のユニットは、マグネット部分(写真下部)にウッドブロックを配置
ユニットの内部構成
ダンパー形状が均一の製品(左)と、S3など(右)との特性比較
エンクロージャ内部
フルデジタルアンプを採用

 従来モデルS1は最大出力20W×2chのアナログ + PWM(パルス幅変調)デジタルアンプを内蔵していたが、新モデルのS3は最大出力30W×2chのフルデジタルアンプに変更し、SNを向上。CD/iPod/USBを原音に忠実な音質で再生するという。デジタルアンプの出力LPFのコイルには低DCR(最大5.4mΩ)のOFC巻線を使っている(S1はDCR最大17mΩの銅巻線)。

 電源回路の電解コンデンサなどにも振動対策を施し、質感向上と高い空間表現を実現したという。トップカバーやサイドパネルにも、勘合部のガタつきを抑えるといった振動対策を行なっている。ボトムや内部シャーシは、異種金属の組み合わせにより共振を分散。インシュレータ固定部には銅メッキネジと銅ワッシャを採用したことで、音の立ち上がりや歯切れを改善。内部シャーシ固定部には、銅メッキネジ+銅ワッシャ、銅メッキネジ+真鍮ニッケルメッキワッシャといった組み合わせを採用している。インナーリアパネルには銅メッキネジ+アルミワッシャを採用するほか、ボトムシャーシには銅メッキネジを捨てネジとして配置している。

 音楽CDのほか、CD-R/RWに記録したWAV/WMA/MP3も再生可能。ステレオミニのAUX入力とヘッドフォン出力、iPhone/iPod用のコンポジット映像出力も装備する。USB部は、USBメモリやマスストレージクラスのオーディオプレーヤーを接続してMP3/WMAファイルを再生できるほか、CDやラジオ、AUX入力音声の録音も行なえる。消費電力は45W(待機時0.5W以下)。外形寸法と重量は、メインユニットが214×262×120mm(幅×奥行き×高さ)、2.2㎏。スピーカー(1本)は、143×251.5×120mm(同)、2kg。リモコンやFM簡易アンテナ、AMループアンテナが付属する。

メインユニット背面
リモコン
S1とS3の主な違い

価格を維持しつつ、高音質化を徹底

JVCケンウッドの今村智氏

 31日に行なわれた発表会では、ウッドコーンオーディオ製品の開発者として知られるJVCケンウッドの今村智氏が「EX-S3」の開発コンセプトを説明。

 従来モデルのEX-S1は、ウッドコーンオーディオ製品の購入者層拡大に貢献した一方で、上位モデルに比べると音質的には大きな差があったことを指摘。そのため、S1の発売後も進化を重ねてきた音質チューニングを施すことで、エントリーモデルにも価格を維持しながら高音質化する余地があるとして、開発に取り組んだという。

 具体的には、「再生時の音場を上下左右に拡大し、スピーカーの前に音楽の空間を作る」ことや、「家庭の(小さな)音量でもあまりイメージが変わらない」ことを目標に設定。前述したスピーカーユニットやエンクロージャ、配線の工夫のほか、「S1ではほとんどできていなかった」というメインユニットへの徹底した振動対策などにより、高音質化を実現したという。

フルレンジウッドコーン搭載オーディオの製品ラインナップ
従来モデルのS1(左)とS3(右)を使って、音質比較のデモも行なった。同じiPod再生時でも、S3では特に音場の広がりに改善が感じられた

(中林暁)