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キヤノン、円形絞りのハイアマ向けビデオカメラ「XA20」

約17万円。SDI付き業務向け「XA25」は約25万円。新CMOS

ハンドルユニットも装備した「XA25」

 キヤノンは、テレビ制作などの業務用や、ハイアマチュア、映像制作・映画学校などでの使用も想定したビデオカメラ2機種を、6月中旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、SDI端子を備え、ハンドルユニットも装備した上位モデル「XA25」が25万円前後、SDI端子やハンドルユニットが無い「XA20」が17万円前後。

 なお、ハンドルユニットは店頭予想価格4万円前後で単品販売もされるため、XA20に後から取り付ける事もできる。

ハンドルユニットが無い「XA20」
「XA25」のハンドルユニットは取り外し可能

 2011年発売のXA10/G10の後継モデル。XA25には、業務用カメラで必要となるHD-SDI端子を備えている。また、上部に装着するハンドルユニットも標準で付属。ハンドルユニットにはXLR端子を2系統備え、マイクとライン入力などを同時に接続可能。ハンドルにマイクも内蔵している。さらに、赤外撮影用に、近赤外発光機能も備えている。

XA25

 2機種に共通する特長として、新しいHD CMOS PROセンサーを搭載。XA10/G10は1/3型、有効207万画素のセンサーだったが、XA20/XA25では1/2.84型、有効291万画素のセンサーとなった。多画素化により、手ブレ補正のダイナミックモードが進化し、防振性能が向上。低照度列アンプの改善や、新プラットフォームのノイズリダクションを駆使し、XA10と同等以上のSN、1.2ルクス(1/30秒時)の最低被写体照度を実現したという。

 組み合わせる映像処理プラットフォームはDIGIC DV4。光学補正だけでは補正しきれない回転ゆがみを、電子補正と組み合わせて高速演算処理し、防振機能を大幅に高めたという。また、2枚のSDカードに、フォーマットやビットレートの異なる映像を同時記録する事もできる。詳細は後述する。

8枚羽根の円形絞りレンズを採用

 さらに、レンズも高倍率化。ワイド端の焦点距離は、従来は35mm換算で30.4mmからだったが、新モデルでは26.8mmから(Manual/CINEMAのスタンダード/IS切)となり、26.8(防振OFF)、28.8(防振ON)~576mmの20倍ズームとなった(従来は10倍ズーム)。F値は1.8~2.8。さらに、レンズの絞りを8枚羽根の円形絞り(従来は8枚の虹彩絞り)に変更。夜景の点光源も、綺麗なボケ形状になるという。EFレンズで用いられている電磁駆動絞り技術(EMD)を応用しており、従来機と同じ絞り羽根枚数ながら、絞りユニット外形を大きくすることなく、円形絞りを実現したという。

 手ブレ補正機能では、「3次元リアルタイムレンズ機構」を採用。動画撮影では、ズームと防振を同時に制御する必要があるが、これを行なうために、ズーム機能と防振機能を1つのレンズ群で兼務しているのが特徴。これにより、光学手ブレ補正を行なうと共に、ビデオカメラ用レンズに求められる静粛性やズーム速度にも対応したとする。

 撮影アシスト機能として、「マルチシーンIS」も搭載。ロールやあおり、歩行時のブレなど、5軸のブレを強力に補正する「新ダイナミックモード」、マクロ撮影でのブレを低減する「マクロIS」、望遠撮影のブレを低減する「パワードIS」、三脚利用時にはISを停止する「三脚モード」の4つを、カメラが自動的に切り替えてくれる。

ワイドアタッチメント「WA-H58」

 ズーム全域で60cmまでの近接撮影が可能。焦点距離を約0.75倍にする別売のワイドアタッチメント「WA-H58」を装着すると、自分撮りや、インタビュー取材や料理の撮影、書籍や資料の撮影などに活用できるという。

 撮影フォーマットも拡充。1080/60p記録に対応し、AVCHD/MP4のどちらのモードでも1080/60p記録が可能。さらに、ニュースなどの速報用モードとして、ファイル容量の軽い3Mbpsモードも用意。カメラに無線LAN機能も備え、FTPファイル転送機能を用いて、撮影後の動画をすぐに転送し、速報ニュースなどにするといった使い方ができる。最大250%のファーストモーション撮影、最大40%のスローモーション撮影も可能。

 操作面では、新たにシーソー式のズームキーを搭載。バリア付きレンズフードを同梱しており、58mm径のフィルタが装着可能。ビューファインダーは0.24型で、従来機の26万画素から、156万画素へと向上したCVF。上方45度のチルトも可能。アイカップの形状も見直し、目に当てやすくなっている。

バリア付きレンズフードを同梱
シーソー式のズームキーを搭載

 フォーカスリングはズーム機能にも切り替えでき、カスタムボタン/ダイヤルには、TV/AV/露出/AGCリミットの中から、よく使う機能を割り当て可能。背面にはジョイスティックも備え、CVFを覗きながらの撮影でも様々な設定が可能。モニタの左側や、背面左側には、機能をアサインできるボタンを5個搭載。従来の2個から増加している。

 モニタは3.5型、123万画素の有機EL。静電容量方式のタッチパネル。

上部
レンズフードを外したところ
ハンドルユニットに備えたXLR端子

 SDカードスロットを2基搭載しており、バックアップ目的で同じ映像を2枚のカードに記録したり、異なる目的に使うために、フォーマットやビットレートの異なるデータをそれぞれのカードに保存する事も可能。長時間録画を2枚のカードに渡って録画するリレー記録も可能で、分割したファイルは付属のData import Utilityで1つの映像ファイルに結合できる。

 撮影モードは、AVCHDが1,920×1,080ドットで28/24/17Mbps、1,440×1,080ドットで5Mbps。MP4では、1,920×1,080ドットで35/24/17Mbps、1,280×720ドット/4Mbps、640×360ドットで3Mbps。

 2枚のカードへの同時記録は、AVCHD+MP4、MP4+MP4、AVCHD+AVCHDの組み合わせが可能。なお、AVCHD/MP4のどちらも、最高ビットレートで録画している場合は、もう1枚のSDへの同時記録はできない。それ以外の場合では、異なるフレームレートの動画を同時記録する事もできる。映画フィルムと同じ、秒間24フレームでの撮影にも対応する。

HD-SDI端子は前方側面に搭載
撮影しながらでも、各端子にアクセスしやすい配置が追求されている
ハンドルユニットをホールドして撮影しているところ

 5GHz、および2.4GHz帯域の無線LAN機能を搭載。FTPファイル転送機能を備え、あらかじめ設定したFTPサーバーへ、撮影した映像を転送できる。他にも、カメラ内の映像をiOS端末を経由し、YouTubeやFacebookにアップロードする「Movie Uploader」や、ノートPCやタブレット端末のWebブラウザから映像を再生できるようにする「Remote Browser」などの機能を装備。メディアサーバー機能も備え、対応するテレビやPCから、カメラ内の映像を再生する事もできる。

 さらに、Webブラウザ経由でカメラを制御する「Wi-Fi Remote」機能も装備。スマートフォンやタブレット端末のWebブラウザを使い、録画開始/停止や、AF/MF切り替え、フォーカス、ズーム、撮影モード変更、ホワイトバランスモード切り替えなどの操作が可能。

 EOS向けのアクセサリとして発売されている「GP-E2」をUSB接続する事で、GPSにも対応。位置情報と時間情報を映像と共に記録できる。

 XA25/XA20共通の端子として、HDMI、AV端子、独立ヘッドフォン、USB、リモート(LANC互換)を搭載。付属バッテリはBP-820。外形寸法と重量、XA25が131×231×180mm(幅×奥行き×高さ)で約1.1kg、XA20が115×231×84mm(同)で約905g。

(山崎健太郎)