キヤノン、業務機と同じCMOS搭載のAVCHDビデオカメラ

-200万画素、実売15万円。実売22万円の業務機も


 キヤノンは、同社の業務用機「XF100/105」と同じ撮像素子と光学系を搭載した、AVCHD方式のコンシューマ向けビデオカメラ「iVIS HF G10」を3月中旬に発売する。本体カラーはブラックのみ。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は15万円前後の見込み。生産台数は5,000台/月。

 また、iVIS HF G10をベースにXLR端子などを追加した業務用モデル「XA10」も3月中旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は22万円前後。生産台数は2,000台/月。

 さらに、Bluetoothを使用したワイヤレスマイクロフォン「WM-V1」も5月中旬に発売する。価格は26,250円。



■ コンシューマ機「iVIS HF G10」

iVIS HF G10

 iVIS HF G10は、同社が1月中旬に発売した業務用機「XF100/105」と同じ撮像素子、光学系を搭載したAVCHDビデオカメラ。そのため、画質面でXF100/105との違いは、記録方式(XF100/105は4:2:2にも対応したMXF方式)のみとなっている。

 1/3型有効画素数約207万画素(総画素約237万画素)の「キヤノン HD CMOS PRO」を単板で搭載。レンズは光学10倍ズーム「キヤノン HDビデオレンズ」で、F値はF1.8~2.8、絞りは8枚羽根の虹彩絞り。焦点距離は35mm判換算で、30.4~304mm。最至近撮影距離は、ズーム全域で60cmを実現している。フィルターサイズは58mm。


【撮像素子の仕様】
HD CMOS PROHF S21
(参考)
HV20
(参考)
センサーサイズ1/3型1/2.6型1/2.7型
セルサイズ2.75μm1.7μm2.75μm
総画素数2.37M8.59M2.96M
有効画素数2M6M2M
水平解像度900TV本950TV本900TV本
垂直解像度800TV本650TV本800TV本
飽和電子数318%100%218%
センサー
ダイナミックレンジ
280%100%140%
最低被写体照度
(シャッター速度1/60秒)
3lux8lux6lux
キヤノン HD CMOS PRO

 ズームと手ブレ補正を同時に制御するレンズ群が3次元でリアルタイムに動くメカ機構により、広角化と小型化の両立やレンズ駆動音の静音化を実現している。手振れ補正は、歩き撮りでの手ブレ抑制に効果的な「ダイナミックモード」、望遠撮影時の手ブレを軽減する「パワードIS」などを装備する。

 鏡筒にフォカースリングを備え、回転方向やレスポンスはカスタム設定可能。本体後部にはカスタムダイヤルや、カスタムキーを備えるほか、液晶モニター脇には、2つのアサインボタンも装備する。

 映像エンジンは「DIGIC DV III」。顔検出AFも装備している。動画機能に特化したため、静止画撮影時の画素補間などはなく、最大解像度は動画と同じ、1,920×1,080ドットとなっている。

 内蔵メモリは32GBで、SDHC/SDXCカードを2スロットを装備し、同時記録やリレー記録にも対応。なお、リレー記録時にはフレームの欠落が発生する。撮影モードやビットレートは従来モデルと同じだが、フレームレートは1080/60i、30pに加え、ネィティブ24p(23.98fps)記録にも対応した。


iVIS HF G10

 新コンセプトとして、「見たくなる、見せたくなる、また撮りたくなる」をキーワードに「PLAY! ドラマティック」を展開。さらに、ドラマティック・ナビゲーターの隊長として、ガチャピン・ムックを起用した。

 PLAY! ドラマティックは、シナリオモード、タッチデコレーション、シネマルックフィルターの3機能で構成される。シナリオモードは、プロが監修した「旅行」、「キッズ」、「学校行事」、「ホビー」、「スポーツ」、「パーティー」、「イベント」、「メッセージ」、「ブログ」、「プロモーション」の10種類のテーマと撮影シナリオを収録。撮影前にテーマとシナリオシーンを選択すると、それにあわせた撮影すべきカットが表示され、それに従って撮影を進めると作品が仕上がるように構成されている。撮影したシーンは、星をつけて優先順位を管理することもできる。

付属のスタイラスペン

 タッチデコレーションは、付属のスタイラスペンで、画面内をデコレーションできる機能で、フレーム画像を合成したり、4種類のペンや、2種類のスタンプを30色の中から選んで、自由に書き込むことができる。また、8種類のきらきらした模様が流れるアニメーションを入れたり、日時・時刻をタイトルとして表示したりすることもできる。

 なお、タッチデコレーションは撮影時に記録するほか、再生時にデコレーションすることも可能だが、再生時に記録することはできない。HD→SD変換時には動画とともにデコレーションを記録できる。

 シネマルックフィルターは、従来のシネマスタンダードに加え、ポップ、ファンタジー、クール、ノスタルジック、セピア、オールドムービー、メモリー、ダイナミック モノクロームの計9種類を内蔵している。なお、このフィルターは撮影時にのみ適用できる。さらに、撮影シーンを自動的に判別する「こだわりオート」に「テレマクロ」モードが追加され、合計38シーンとなった。

 内蔵マイクも、「モノラル」、「ノーマル」、「ワイド」の指向性切り替えが可能になったほか、周波数特性も「ノーマル」、「低域強調」、「低域カット」、「中域強調」、「低高域強調」の5種類から選択できる。

 液晶モニターは3.5型ワイド(約92.2万ドット)のタッチパネルで、広視野角/広色域対応、ハードコートAR表面処理が施されている。ビューファインダーは、0.24型ワイド(約26万ドット相当)で、視度調整機能もそなえている。いずれも、視野率100%を達成している。表示機能も波形モニターに加え、カラーピーキング、ゼブラパターン、SMPTE準拠のカラーバー&テストトーンも備える。従来モデルと互換性のあるリモート端子も装備。

 連続撮影時間は、付属のバッテリパック「BP-808D」使用時で、液晶モニターを使用して、標準画質のSPモードで撮影した場合、約1時間50分、最高画質MXPモードで約1時間45分となっている。オプションの「BP-827D」を使用すると、それぞれ約5時間50分、約5時間30分の連続撮影が行なえる。


同梱品

 入出力端子はミニアドバンストシュー、HDMIミニコネクタ出力(x.v.Color、CEC対応)、AVミニ出力、外部マイク入力、ヘッドホン(AVミニ出力と兼用)、コンポーネント出力(特殊D端子)、USB 端子(mini-B)、リモートコントロール端子などを備える。

 外形寸法は77×151×78mm(幅×奥行き×高さ、レンズフード、グリップベルト含まず)、重量は540g(本体のみ)/約590g(撮影総重量)。付属品は、HDMIケーブル「HTC-100/S」、ワイヤレスコントローラー「WL-D89」、ステレオビデオケーブル「STV-250N」、USBケーブル、コンパクトパワーアダプタ「CA-570」、バッテリパック 「BP-808D」、PIXELA Transfer Utility、Video Browser、音楽データ・画像ミックスデータディスクなどとなっている。



■ 業務用機「XA10」

XA10

 iVIS HF G10との違いは、脱着可能なハンドルユニットを装備すること。ハンドル部にはXLR端子×2とマイクロホルダーに加え、XF105/100と同様に分光デフューザーを内蔵の赤外線LEDを搭載し、赤外光撮影モード「INFRAREDモード」を装備している。また、タリーランプも備える。

 なお、iVIS HF G10とXA10のシューには互換性はなく、ハンドル部をiVIS HF G10に取り付けて使用することはできないほか、iVISのホットシュー用アクセサリーをXA10で使用することはできない。

 それ以外の仕様は、iVIS HF G10と同等となっている。

 外形寸法(幅×奥行き×高さ)は約77×161×77mm(レンズフード・マイクホルダーユニット・ハンドルユニット・グリップベルト含まず、アイカップ含む)、約130×205×177mm(レンズフード・マイクホルダーユニット・ハンドルユニット・アイカップを含み、グリップベルト含まず)。重量は約775g(本体のみ)、約820g(撮影時総重量)。XF105/100とは体積比で約52%、重量比で約67%となっている。

 付属品は、ワイヤレスコントローラー、レンズフード、コンパクトパワーアダプター「CA-570」、バッテリーパック「BP-808D」、「マイクロホルダーユニット」、「ハンドルユニット」、「ステレオビデオケーブル」、「コンポーネントケーブル」などとなっている。


ハンドル部は脱着区可能
同梱品

ハンドル装着時
ハンドル取り外し時


■ ワイヤレスBluetoothマイク「WM-V1」

WM-V1

 WM-V1は、Bluetoothを使用したワイヤレスマイクで、送信機と受信機がセットになっている。ビデオカメラのマイク端子と、受信機のイヤフォン端子を接続して使用する。到達距離は、見通し50m。送信機と受信機の双方に、マイクとイヤフォン端子を備え、相互通話も可能となっている。重量は約28g。

 送信機と受信機に単4電池1本を使用し、電池駆動時間は※時間。ビデオカメラと接続しなくても使用できるため、受信機に直接イヤフォンを接続して、キュー出しなどのトランシーバとしても使用できる。

 また、キヤノンのビデオカメラ以外でも使用可能だが、キヤノンの対応ビデオカメラで使用した場合は、Bluetoothによる遅延を考慮して、自動的に映像を遅らせてシンクロするほか、内蔵マイクとWM-V1のバランス調整も行なえる。

製品内容
送信機


(2011年 1月 19日)

[AV Watch編集部 古川 敦]