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アクシス、AyreのDSD対応USB DAC「QA-9DSD」

DACをESSに変更。旧モデルも有償でDSD対応に

QA-9DSDのSilverモデル

 アクシスは、米Ayre AcousticsのUSB DAC新モデルとして、24bit/192kHzのPCMに加え、DSDのネイティブ再生にも対応した「QA-9DSD」を8月に発売する。価格は外装仕上げによって異なり、Silverモデルが493,500円、Blackモデルが546,000円。

 なお、従来モデルからのアップグレードサービスも有料で行なう。「QB-9 192kHz version」からのアップグレード費用は84,000円、「QB-9 96kHz version」からは126,000円。受注はAyre製品の取扱販売店経由で行なう。アップグレードを行なうために、アクシスへ製品を送付する必要がある。詳細はアクシスのWebサイトにて。

Blackモデル

 従来モデル「QB-9 192version」をアップグレードしたモデルで、DACチップをTIバーブラウンの「DSD1796」から、ESSの「ES9016S」に変更。マスタークロックには低位相ノイズの最新モジュールを搭載している。

 これにより、DoP方式を使った、DSD 64(2.8224MHz)のネイティブ再生に対応。PCMは24bit/192kHzまで対応する。Windowsでは専用ドライバのインストールが必要。MacはOS X 10.6.4以降に対応する。

 PCからのUSB伝送時には、アシンクロナス伝送が可能。DAC内の高精度固定クロックを用いる事で、低ジッタを実現。Wavelength Audioの「Streamlength」ソフトウェアを使い、安定したデジタル信号処理を行なっているという。なお、「USBのアドバンテージはS/PDIF方式を遥かに上回る」として、同軸デジタル入力は搭載していない。

 入力はUSB Bタイプを1系統搭載。出力は、アナログバランス(XLR)、アナログRCAを各1系統。AyreLinkコミュニケーション端子も2系統装備する。

 PCからの音楽信号/クロック信号をアイソレーション(絶縁)するために、高速光アイソレータを導入。PCのノイズやRFIの干渉がDACに影響しないようにしている。また、DAC部の電源も、USBパワーから分離し、独立電源を配備している。

背面のイラスト

 自然な再現ができるという、新設計のMPデジタルフィルタを採用。一般的なフィルタでは、突発的な信号入力(インパルス)に対して、そのパルスの前に自然界には無いプリエコーと、後ろにポストリンギングが発生するが、MPデジタルフィルタでは、プリエコーを無くし、ポストリンギングもワンサイクルに抑えた。これを「Listen」モードとして備えるほか、バンドパス上限でのわずかなf特ロールオフをブリックウォール・フィルター並みに伸ばすという「Measure」モードも用意する。

 このデジタルフィルタを実現するために、シングルステージのFIR(Finite Impulse Response)フィルター構成で16倍のオーバーサンプリングを実現。高次のディジタルフィルターを組む際に、2×2×2×2などのように多重構成にせず、FIRフィルターをシングルステージで実現しながら、16倍オーバーサンプリングを実現。音質劣化を防いでいる。なお、DAC内部のデジタルフィルタ回路はパスし、外付けで独立したデジタルフィルタ回路を組んでいる。

 アナログ回路には、ゼロフィードバック、フルバランス・ディスクリート構成を採用。MX-Rの開発で培ったカスコード/カレントミラー増幅回路を発展させた、独自のEquiLockを採用。ゲイン・デバイスの電圧変動に由来するコンダクタンス/キャパシタンス変化を防いでいる。

 消費電力は20W。外形寸法は215×290×75mm(幅×奥行き×高さ)、重量は2.3kg。

(山崎健太郎)