プレイバック2025

テクニクスEAH-AZ100とアップルAirPods Pro 3。音質と使い勝手の狭間で揺れる by鈴木誠

テクニクス「EAH-AZ100」は磁性流体ドライバーの採用がポイント。通話性能などの総合力でもアピールするフラッグシップTWSだ。

ひょんなことからテクニクスの最新イヤフォン「EAH-AZ100」を試す機会がありました。ちょうどドイツ出張が近かったので、機内でもじっくり試聴してみることに。結果的にとても気に入ったので買いました。

特に魅力だったのは、正確な低音再生。エレキベースの音は弦の振幅が見えるようですし、アナログシンセのベースサウンドを聞くと、オシレーターの波形がそのまま脳を揺らすかのようでした。おそらくこれが、磁性流体でうまくコントロールされたドライバーの効果なのでしょう。この味というか特性が忘れられず、試用機材を返送した足で量販店に向かいました。

購入直後は振動板の動きがまだ固いのか、肝心の低音があまり出ず。それなりに使われた状態の音を知らなければ「なんだ、別に大したことないじゃん」と思ってしまうかも。家で原稿書きのBGM用に使うなどしているうちに、数日で満足な音が出るようになりました。

それと、日本メーカーらしい細やかさに驚きました。ペアリング先の端末ごとに「パソコンに接続」「スマートフォンに接続」「タブレットに接続」などと、接続時の音声フィードバックを選択できるのです。そして、その音声ガイダンスの音量まで調整できたり。これまで使ってきたアメリカンな製品にはないジャパニーズ感でした。ケースを開ける時の質感や閉じるときの整えられた音にも細やかさを感じます。

AirPods Pro 3も買うけど

そして、iPhoneユーザーとして結局(?)買ってしまうのが「AirPods Pro 3」。なんといってもステム部分で音量や再生/一時停止の操作ができるのは快適ですから、ちょっとした外出時にポケットに入れるのはこちらに。

AirPods Pro 2よりクリアな音色で、アダプティブ・ノイズリダクションの反応もアップデートで日々改善されているように感じます。ノイズキャンセリングと外音取り込みの中間にある「適応型オーディオ」にすれば、大きな騒音は抑えつつ周囲の音を自然に聞けるため、聴覚神経にリミッターを掛けたような感覚があります。

また、3で新搭載された心拍数センサーにも期待がありました。初めてスマートリングを使ってみて大変気に入っているのですが(Oura Ring 4)、これをスポーツジムで運動するために外しても、AirPods Pro 3で運動中の心拍数を記録できます。そしてAppleヘルスケア経由でOura Ringのアプリにもアクティビティとして記録されます。

Oura Ring 4(ブラック)。女性並みのサイズ7だった。スマートウォッチに比べれば就寝時の着用ストレスはゼロ。付け外しも簡単なので、ギターを弾くときは右手人差し指にサッと付け替えられたりする。
AirPods Pro 3。写真中央の黒い部分が心拍数センサー。スポーツジムで運動している人もAirPods着用率が高いので、確かに親和性が高い機能かもしれない。
Oura Ring 4を外してAirPods Pro 3しか装着していない状態で運動。心拍数データに基づく消費カロリーが、Oura Ringアプリ上のアクティビティとして加算された。iOSの「フィットネス」アプリから連携されたデータには「Healthからインポート」と記載される。

なので、普段使いはAirPods Pro 3。少し長めの移動があったり、ガッツリ音楽を楽しみたいときにはEAH-AZ100も持ち出すという生活になっています。作業机の手元にEAH-AZ100を常備しているので、家の中での使用率も高いです。

余談ですが、無線のヘッドフォンとイヤフォン全般に感じるのは、進化が早いゆえの製品サイクルの短さ、値下がり率の大きさです。発売直後に買った製品にセールの目玉アイテムとして再会するのは複雑な気持ち。

偶然ですがテクニクスもアップルも、あまり値下がりやポイント還元には期待できない雰囲気があります。これが私にとっては、むしろ心穏やかに「欲しい」と思ったタイミングで素直に買う後押しになりました。

鈴木 誠

ライター。デジカメ Watch副編集⻑を経て2024年独立。カメラのメカニズムや歴史、ブランド哲学を探るレポートを得意とする。インプレス社員時代より老舗カメラ誌やライフスタイル誌に寄稿。ライカスタイルマガジン「心にライカを。」連載中。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。趣味はドラム/ギターの演奏とドライブ。 YouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究」