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【CEATEC 2013】三菱、8K/4K放送時代の広色域化を睨む「4K LASERVUE」

レーザー+LEDの65型TV参考出展。車載ディスプレイも

三菱電機ブース

 映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2013」が10月1日~5日にかけ、幕張メッセで開催される。その前日となる9月30日、マスコミ向けに一部ホールやブースが先行で公開された。三菱電機は、宇宙やエネルギー、安心・安全、ホームなど様々な展示を行なっているが、ホーム向けではレーザー光源を使った4K液晶テレビ「4K LASERVUE」を参考出展した。

8K/4K放送時代の広色域化を睨む「4K LASERVUE」

4K LASERVUE

 4K対応液晶テレビ「4K LASERVUE」は、65型/3,840×2,160ドット4Kパネルを搭載。特徴は、同社のフルHDモデルの「REAL LASERVUE」と同様に、赤色レーザー+シアンLEDを組み合わせたバックライトの搭載による広色域表示が行なえること。

 レーザー光源とLEDを組み合わせることで、ハイビジョン放送などで使われる色域「BT.709」をフルカバーするほか、8K放送で導入が有力視され、4K放送でも採用が検討されている広色域規格の「ITU-R BT.2020」のかなりの部分をカバーできるようになるという。今後の放送の高度化にあわせて、色域の拡大が見込まれることから、同社のLASERVUE技術を積極的に活用していくという。

 ただし、4K LASERVUEの発売は未定。「写真以外の4Kコンテンツが揃っていないため、製品化はもう少しあとになるが、技術的には準備を進めている」とのこと。他社も4K対応テレビを発表している状況を受けて、三菱電機も4Kに対応できることをアピールしている。

4K LASERVUE。スピーカーでディスプレイを支持するような独特のデザイン
ディスプレイ部のみの4K LASERVUE
側面はレッド

 デモでは、4K撮影のコンテンツや、NHKが8K/スーパーハイビジョン用に用意したコンテンツをダウンコンバートして表示。4Kの高精細映像や広色域性能を紹介している。

 また、コンセプトモデルということもあり、大型のスピーカーでディスプレイ部を支持するユニークなデザインと、壁掛けモデルの2つのデザインを紹介。スピーカー付きモデルはディスプレイ部が宙に浮いたようなデザインとなり、スピーカーの背面部はレーザーと同じ「赤」にしている。壁掛けモデルはこのスピーカー付きモデルのディスプレイ部のみを切り出したものとなる。

曲面や凹凸にも対応する車載ディスプレイやひかりTV用新STB

リアプロジェクション方式の車載ディスプレイ

 ディスプレイ関連では、2月に技術発表を行なっている車載向けのリアプロジェクションディスプレイを紹介している。

 リアプロジェクション方式の採用により、曲面や丸型のディスプレイなどを実現できることが特徴。インパネの前面をスクリーンとして、背面から投写。様々な曲面に対応するために、独自の「曲面可変光学系」を開発し、同一の光学エンジンで多様なデザインのスクリーンに対応可能となった。

 試作機では、映像表示のデバイスにDLPを使用。DLPの解像度は1,920×1,080ドットのフルHDでスクリーンの形にあわせて一部の領域のみを利用する。光源はRGB LEDで、白色LEDバックライトの液晶ディスプレイに比べて約1.5倍の色再現範囲を実現したという。LEDの採用により、ほぼ交換なしの長寿命を実現できるという。また、投写のための光学系などが必要となるが、車載のための振動対策などは十分に行なわれているとのこと。

 ディスプレイの形状の自由度を上げ、車のインテリアデザインを変化させたいという要望に応えられるのが特徴だが、関連規制のクリアなどが必要なため、実用化は2017年以降を予定。既に自動車メーカーなどに技術提案を行なっているという。

楕円形のディスプレイの中で、凹凸の表示も可能に
概要
ひかりTV用新STB「AM900」

 また、次世代IPTV用STBとして「ひかりTV」対応のトリプルチューナモデル「AM900」を参考出展。Android OSベースのSTBで、2番組録画中でも別番組の視聴が可能。Androidアプリケーションの追加や、クラウドゲーム対応などが行なえる。また、応答速度の向上やUIの改善などで使いやすさを高めている。

(臼田勤哉)