レビュー
Snow Manの激バズ曲「カリスマックス」を最強“カリスマイヤフォン”3機種で聴いてみた
2026年4月7日 08:00
Are you ready?
みなさんは、2024年末にSNSを席巻した“チャンカパーナ界隈”という言葉を覚えているだろうか。男性アイドルグループ・NEWSが2012年にリリースした楽曲「チャンカパーナ」の魅力にハマる人々を表したワードで、2025年初頭までその話題性は続いた。
そして、そのバトンを「チャンカパーナ」から受け取ったかのように、2025年はCANDY TUNE「倍倍FIGHT!!」やM!LK「好きすぎて滅!」などが大ヒットしていた。「チャンカパーナ」にあやかって……かどうかは不明だが、近年はこういった、謎にエネルギッシュな“中毒性アイドル曲”が増えている。
きゃんちゅー(CANDY TUNE)とM!LKに関しては、いずれも“ユーロビートを取り入れた・あえてちょっと古い”エッセンスがありながら、現代的な音の鋭さとスピード感を融合したダンスナンバーである。平成リバイバルブームの波もあってか、この“ちょっと古い感じ”が現代人の耳へ強力にリーチするのだ。
で、そんなユーロビート由来の“中毒性アイドル曲”の中で、見逃せない1曲といえば……そう、Snow Manの「カリスマックス」。一度聴けば最後、抗いようのないエネルギーと緻密に編み上げられたトラックの奔流に飲み込まれる、文字通りカリスマ的な引力を持った楽曲だ。
2025年8月にデジタルリリースされて以降、日本中で大バズりしたわけだが、2026年に入ってもいまだに様々な場所で鳴っていて、“J-POPの定番的な位置”に入った感もある。今春の甲子園で応援曲に採用する高校も多いなんて聞くと、往年の中毒性J-POPである山本リンダ「狙いうち」に次ぐ未来すら期待してしまう。
しかし……ふと思う。この「カリスマックス」という巨大な存在を、我々は果たして正しく受け止められているだろうか。安価なイヤフォンで鳴らし、なんとなく低音の迫力に身を任せるだけでは、この曲が持つ真の凄みを半分もすくい取れていないのではないか。
そう、今こそ筆者は提言したい。カリスマ楽曲には、カリスマイヤフォンを。
というわけで少々前置きが長くなったが、今回は、現在の完全ワイヤレスイヤフォン市場における“カリスマ級”のフラグシップ機を3台用意し、「カリスマックス」をただ聴くという企画である。
取り上げるのは、ソニー「WF-1000XM6」、Technics「EAH-AZ100」、ビクター「WOOD master HA-FW5000T」。楽曲のカリスマとイヤフォンのカリスマが火花を散らす、贅沢な対峙の記録としてお楽しみいただきたい。
なお、実はAV Watchでは、この3機種を普通に聴いたレビューも以前に書かせていただいている。「カリスマックス」に関係なく普通に3機種の情報が知りたい方は、そちらをご覧いただいた方が良いので、先にリンクを貼っておこう。
……さて、準備は整った。ここからは、全力で「カリスマックス」特化型でレビューを進めさせていただく。
Everybody, make some noise
試聴に入る前に、「カリスマックス」がカリスマたる所以を軽く紐解いてみたい。本曲は、Snow Man楽曲ならではの“ダンスミュージックとしての機能美”と“多人数グループならではの厚み”が、高純度で結晶化した1曲と言えよう。そこに上述の、“ユーロビートを取り入れた・あえてちょっと古い”エッセンスが入ることで、一種異様なエモさを醸し出している。
まあ簡単に言うと、「この感じでカッコ良さと可愛さを両立するのは、Snow Manじゃなきゃできない」を体現しているのが魅力だろう。
で、2025年から今年にかけて「カリスマックス」がこれほどの爆発力を持って迎えられた背景には、冒頭でも触れた“現在進行形の平成リバイバル”という巨大潮流がある。
この曲のテーマは、“令和のパラパラ”。しかし、ユーロビートのエッセンスや高速BPMに乗せたラップ、キャッチーなサビのワードで構成されるそれは、単なる懐古趣味で終わっていない。
かつてディスコやクラブの巨大スピーカーから放たれた濃密で少し粗削りな空気感を、Snow Manという現代のトップランナーが令和の最新解像度で再定義し、それがSNSを中心にバズを起こした……と解釈できる。
直感的なリズムとシンセが中心となる中高域の派手さといった、平成のダンスミュージックが持っていた熱。「カリスマックス」はそんな縦ノリの快感を引き継ぎつつ、背後で鳴っている低域の沈み込みや立体感といった、現代的な情報量が令和仕様なのだ。懐かしいけど新しい。
こういった多層構造のトラックメイキングは、音が団子状に固まってしまうリスクのない、分離感の高い再生機器で楽しみたいものではなかろうか。激しいサビの後に訪れる一瞬の静寂感や、そこに乗るメンバーの声といった、動と静の落差も醍醐味だ。
……というわけで、“カリスマイヤフォン”の出番なのである。
Everyone 必ず信念を貫く
いよいよここからは、3種類のフラグシップイヤフォンで「カリスマックス」を聴いたレビューをお届けする。
なお、いずれのモデルも大前提として、フラッグシップとして音の分離感や精細感が高く、メンバーの声の個性を味わえる再現力がある。それを踏まえた上で、「カリスマックス」の世界観がどう聴こえるかを軸に語っていこう。
ソニー「WF-1000XM6」
まずは、今年2月の発売以来、各方面で絶賛されているソニーの完全ワイヤレスイヤフォン最新フラッグシップ「WF-1000XM6」。特許出願中のノッチ形状を採用した8.4mm径ドライバーを搭載し、高音質ノイズキャンセリングプロセッサー「QN3e」と統合プロセッサー「V2」を採用した最新テクノロジーが特徴だ。
本機で聴いた「カリスマックス」は、ひとことで言うと、シュールな躍動感がある。というか、筆者的にこの組み合わせはかなり解釈一致だった。
低音が上質でメリハリが効いているとか、立ち上がりの良さによる輪郭のクッキリ感とか、個人的にWF-1000XM6にはある種のストイックさを感じているのだが、打ち込み主体の「カリスマックス」において、このシンプルな立体感は相性が良い。
低域のリズムに心地よい躍動感があり、曲のどこかシュールな空気感とバランスが絶妙だ。その律動的な調子が、叙情的なウェットさを排除したツギハギな楽曲の構造を、効果的に演出している。
一音一音の配置がわかりやすいのもそうだし、音のコントラストが高く、ビートに点の圧がある。音が消える瞬間の静寂とのメリハリも楽曲にスピード感を与えているし、9人のボーカルもしっかり聴きやすい。
イメージとしては、ラウールさんがセンターでばっちりキマっている空気感で聴ける感じだ。総じて、自分の中にある“カリスマックスらしい世界観”で楽しめた。
Technics「EAH-AZ100」
続いては、Technics「EAH-AZ100」。約1年前に発売されて以降、ハイエンドTWSの代表的モデルとして名を馳せる1台だ。ご存知の通り、独自の磁性流体ドライバーを採用した音作りが特徴である。
本機で聴く「カリスマックス」は、豊かで厚みのある低音に支えられ、頭内にカリスマの世界が充満する感覚だ。
個人的に、本機は全体的に音が近くて余韻の表現があり、音楽との距離が近いと感じるイヤフォンなのだが、本曲では緻密な打ち込みの音世界が、一体感のある聴きやすさに昇華されている感がある。
ダークでコミカルな側面を点で強調するよりも、全体をTechnicsの音としてリッチで濃密な「カリスマックス」として表現するイメージだ。音の世界観をあえて例えると、宮舘涼太さんから溢れるロイヤル感とシンクロする。
上述のWF-1000XM6と比べるとしっとりした質感を含むが、豊かな低域には程よいソリッド感が同居しており、決して叙情的になりすぎないのが良い。今どきのBPMの早い楽曲が持つ勢いをそのまま、贅沢に鳴らしきる。
ビクター「WOOD master HA-FW5000T」
3つめの“カリスマ”は、ビクター「WOOD master HA-FW5000T」。振動板に木材を採用した唯一無二の「ハイブリッドWOODドライバー」を擁するフラッグシップだ。ビクタースタジオ由来の豊富なサウンドモードから、好みに合わせて音の傾向を選択できるのが強み。本記事では、基本の「FLAT」モードで聴いた所感をお伝えする。
本機は、特に生音系が得意なイヤフォンなので、打ち込みバリバリのサウンドは相性がベストとは言い難い面もある。しかし、もちろん対応力は全方位型だし、「カリスマックス」を鳴らしてみると、“WOOD masterの立ち位置”でしっかり表現されるのが面白い。
他の2機種と比べて、包容力を感じる「カリスマックス」だったのがオツだ。広がりのあるサウンドステージの中で、“令和のパラパラ”な世界観を俯瞰して感じられて、背景の小さな音にもフォーカスが合う感覚。
低音は豊かだがゴリゴリ鋭く攻めるタイプではないため、パッと聴きのインパクトで畳み掛ける方向ではないが、立体感が高いのと、打ち込みのビートに絶妙な心地よさがあるのが良い。
また、全体的にウォーム寄りな表現の中で、エフェクトがかかったボーカルには独特の存在感がある。音の世界観として、渡辺翔太さんの歌声が聴こえてきたときのナチュラル感や安定性が活きるイメージだ。
まとめて言うと、スピード感のある「カリスマックス」に独特のエモみが出ていて、それゆえ良い具合に“クレイジー感”がある聴きごたえ。これもまた、紛れもなく“カリスマのひとつの姿”であろう。











