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J:COM、タブレット/ネット連携のSTB「Smart J:COM Box」

新EPGなどで“TVを楽しむ”に特化。遠隔視聴も予定

Smart J:COM Boxの「BD-V302J」(右下)とテレビ画面例

 ジュピターテレコム(J:COM)は、新開発のSTB「Smart J:COM Box」を2月1日より提供開始。これを使ったスマートテレビサービスを同日より開始する。

 独自のUI画面で地上/BS/CATV番組を選局、視聴可能。VOD「J:COM オン デマンド」の作品視聴や番組表からの予約、録画/再生をシンプルな操作でスムーズに利用できる点を大きな特徴としている。

 STBはパイオニア製の「BD-V302J」と、HUMAX製「WA-7000」の2モデルを用意。いずれも地上/BSデジタルとCATVのトリプルチューナを備え、別売USB HDDへの2番組録画と1番組の視聴が同時に行なえる。

パイオニア製「BD-V302J」
HUMAX製「WA-7000」
料金プランの一例(税抜)

 新規/既存の加入者どちらも利用可能。料金(消費税5%時)は、「J:COM TV スタンダード(旧 J:COM TV デジタル)」や「J:COM NET 160Mコース(ホームWi-Fi付)」、「J:COM PHONE プラス」がセットの「スマートお得プラン」が月額9,500円で、提供中のサービスと同額。また、「J:COM TV セレクト(旧J:COM TV My style NEXT)」、「J:COM NET 160Mコース(ホームWi-Fi)」、「J:COM PHONE プラス」がセットの「スマートセレクト」も従来と変わらず月額7,980円。一方、ネット加入が含まれず「J:COM TV スタンダード」と「J:COM PHONE プラス」のみのセット「スマートお得プランミニ」は、従来より315円値上げの月額5,544円となる。既存加入者がSTBを交換する場合は別途手数料が必要。

 サービス提供地域はJ:COMのエリアのみで、4月に統合を予定しているJCNのエリアについては、今後導入予定。これはJ:COMがCATVの提供方式にトランスモジュレーションを採用しているため。今後STBにOFDMチューナを搭載することで、パススルー方式のJCN提供エリアでも利用できるようにするという。JCNエリアでの提供時期は明言していないが、「汗をかくような季節には導入できるのでは」(J:COM取締役 ケーブルTV事業部門長 御子神大介氏)としている。

 OSは同社とKDDIが提供しているハイブリッドSTB「Smart TV Box」(月額9,975円)とは異なり、Androidではなく、アプリの追加は行なえない。このため、Smart J:COM Box用のサービスは既存のSmart TV Boxでは利用できない。また、Smart TV Boxとの違いとして新しいSmart J:COM BoxはVODの「J:COMオンデマンド」と連携する(Smart TV Boxはauのビデオパス)ほか、PPVサービスにも対応(Smart TV Boxは今後対応予定)。一方、Smart J:COM Boxは「ビデオパス」や「うたパス」などauのサービスには非対応。

トップページからの選局画面(CATV)

 EPGも大きく改善され、Gガイドを提供するRoviの最新技術を活用。EPGから番組情報を開くと、Roviのクラウド上にあるデータから、出演者などの画像も表示。その人が出演する他の番組を一覧できる。

 特定の1局だけを表示する「1チャンネル番組表」や、好きなチャンネルだけを登録できる「マイ番組表」にも対応。番組ジャンルを判別しやすくする色分け表示をユーザーが変更することもできる。上下スクロール時にボタンを長押しすると、時刻表示から午前/午後/夕方・夜/深夜といった大きな移動幅でのスクロールに自動で変更するなど、番組の探しやすさを向上させている。

EPG画面
ある番組から、出演者が出ている他の番組を探すことも可能
全チャンネルの一覧
1チャンネル番組表
ジャンル別色分けの設定画面
タブレット用アプリも用意。写真のタブレットは左が10.1型のソニー「Xperia Tablet Z」、右が7型のファーウェイ製「MediaPad7 Youth」

 STB連携アプリ「Xvieリモート」で、無線LAN接続したタブレットとSmart J:COM Boxの連動操作が可能。テレビで番組を観ながらタブレットで別の放送中または録画番組を視聴できるほか、番組表の確認や、リモコン操作が行なえる。タブレット用アプリはAndroid/iOS両方を用意する。

 7型または10.1型タブレットをセットにした料金プランも提供。付属のタブレットは10.1型がソニー製「Xperia Tablet Z」で、7型がファーウェイ製「MediaPad7 Youth」。タブレット付きコースの料金は、10.1型の場合月額でプラス1,575円×24回(初期費用15,750円)、7型の場合プラス525円×24回(同5,250円)。

 なお、加入者を対象にキャンペーンも1月23日より受付開始。7型タブレットの10万台プレゼント、または10.1型タブレットで15,750円の割引を受けるというどちらかの特典を選択できる。また、録画用のUSB HDDが3,000円割引になるという特典も用意する。

タブレット連携の機能一覧
タブレットアプリの画面(テレビに映像出力したもの)
タブレット/テレビのどちらかで視聴するかを選択

 CATVならではの地域サービスとして「J:COMくらしのナビゲーション」も利用可能。シンプルなUIと見やすいアイコンで「テレビ」や「天気」、「インターネット」など目的の機能/情報にアクセスしやすくしており、ゴミ捨ての曜日を確認したり、地図から飲食店を探すといった機能も利用できる。

「J:COMくらしのナビゲーション」の画面
地域の情報ページ
地図から施設などを検索して情報を閲覧可能

 付属リモコンも一新され、無線方式によりSTBにリモコンを向けなくても操作可能。また、ボタン数の少ないデザインを採用し、本体をスライドすると10キーなどが現れる。出力端子はHDMI 1.4とコンポジット映像、光デジタル音声、アナログ音声を各1系統装備。Ethernetと無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n)も備える。USBは、パイオニア製がフロント×1、リア×2、HUMAX製がフロント/リア各1。

 CPUはいずれも「BCM7424」(3000 DMIPS + 3D Graphic Co-processor)、メモリは、パイオニア製が1.5GB/2GB(DRAM/フラッシュ)、HUMAX製が2G/4G(同)。モデムはDOCSIS3.0 IP v6(CM3383)。

ボタンを少なくした付属リモコン
リモコンをスライドすると10キーなどが利用できる
BD-V302Jの背面

従来型STBの不満解消で加入者獲得数1割増へ。今後は外出先視聴も

ケーブルTV事業部門 商品企画本部長 渡辺一正氏

 J:COMのケーブルTV事業部門 商品企画本部長 渡辺一正氏は、同社の従来型STBの課題として「外部機器へのHD録画不可」や「動作が遅い」、「リモコンが使いづらい」、「録画容量が少ない」、「見たい番組が見つけられない」といった点を指摘。新モデルでは、新UIやUSB HDD録画対応、DLNA対応、新リモコンなどで解決したという。

 CATV業界の「テレビ」、「ネット」、「電話」の3つを組み合わせたこれまでの戦略については「差別化要因が低下し、価格競争なのが現状」と説明。「新しい付加価値創出のため、次世代STBとタブレット、アプリという3つを提供し、『おまかせサポート』によって、“使い方を誰に聞いていいか分からない”という人にも使えるようにする」とした。新STBにより新規解約の増加や解約防止などに期待を寄せており、「加入獲得数を10%はアップさせる」とした。

従来STBへの不満
新STBでの付加価値のポイント
操作性やマルチデバイス対応など5つのポイントで改善点を説明
取締役 ケーブルTV事業部門長 御子神大介氏

 同社取締役 ケーブルTV事業部門長 御子神大介氏は、KDDIが開発し、J:COMでも提供中のSmart TV Boxと新STBの違いとして、「今回のSmart J:COM Boxは、テレビをとにかく思う存分楽しんでいただくためのもの。Smart TV Boxは、いわゆる世間一般の“スマートテレビ”に重きを置いて、携帯アプリとの連携などを楽しみたい人を、有料放送サービスに入っていただけるようにしたもの。テレビの視聴形態/ニーズが変わってきたことに合わせて、それぞれの市場を大きくしたい」と説明した。

 なお、今回のSTBはHDDを搭載しないが、今春には2TB HDDを内蔵したモデルも発売予定。また、番組検索については、ユーザーの視聴履歴に合わせてオススメの番組を表示する機能についても検討しているという。さらに、現在のDLNA視聴に加え、タブレットで外出先からもインターネット経由で視聴できる仕組みも今春をめどに導入予定。権利処理できたコンテンツから、順次対応を開始するとしている。

 既報の通り、J:COMはJCNと4月に統合を予定している。これにより、ケーブルテレビ事業の対象世帯数は約1,900万世帯、総加入世帯(CATV/ネット/電話で加入料を支払っている世帯)は約500万世帯('13年の両社単純合計値)になり、有料ケーブルテレビ市場のシェアで50%となる見込み。御子神氏は「日本の5,300万世帯のうち、25%程度は我々のインフラ経由でテレビを見ている。この25%の方々に不可欠なサービスを提供していることを重く感じ、合併後も経営したい」と説明した。

Smart J:COM Box(上)とSmart TV Box(下)。同社では通称で黒BOX、白BOXとも呼んでいる
Smart J:COM Boxの想定利用シーン
J:COMは、4月にJCNとの統合を予定

(中林暁)