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アクトビラ、TV向け4Kビデオ配信の商用サービスを12月開始

ストリーミング/ダウンロードで回線に応じて配信。BtoBも9月に

 アクトビラは25日、事業方針説明会を開催。この中で、12月から4K対応テレビ向けにストリーミング形式の4Kビデオ商用配信サービスを開始することを発表した。加えて、ダウンロード形式の4K配信サービスも開始できるように準備を進めているという。また、これに先駆けて、9月からはBtoB向けに配信プラットフォームを提供するサービスを開始する予定。

4K配信の商用サービスを12月に開始予定

 総務省のロードマップに沿った「アクトビラ 4K VOD配信サービス」の技術仕様に基づき、12月よりコンシューマ向け4K配信サービス「アクトビラ4K VOD配信サービス」を開始予定。ただし、この開始時期はアクトビラのサービス側として可能なタイミングであり、対応テレビがまだ発売されていないため、機器開発の状況によっては、サービスの開始が来春などに延びる可能性もあるという。有料サービスとなるが、従来のVOD配信のように一部の無料コンテンツ(ドラマの第1話など)も用意する予定。詳細は、サービス開始時期が近づいた時点で改めて発表される。

 基本的なサービスの仕組みとしては、「アクトビラ ビデオ・4K」仕様(仮称)に対応した市販4K対応テレビに配信。MPEG-DASHを採用し、ユーザーの回線速度に合わせた画質/ビットレートで視聴できる可変ビットレートのアダプティブストリーミングに対応。約30~40Mbps、または約15~30Mbpsでストリーミング配信するほか、ダウンロードサービスでは約30~40Mbpsのビットレートを予定している。回線速度はストリーミングが約25Mbps以上、ダウンロードは12Mbps以上を推奨しているが、ISPや回線を問わず利用可能になる予定。

 映像コーデックはHEVC/H.265のVBRで、4Kの60pまたは30pで配信。まだ対応テレビは市販されておらず、受信/視聴できるテレビの仕様については、12月のサービス開始に向けてテレビメーカーらと検討中としている。

 既存のテレビに対し、ファームウェアのアップデートなどで「アクトビラ ビデオ・4K」に対応するかどうかは未定だが、HEVCのビデオストリーミングを受信できるモデルであれば対応する可能性があり、詳細は対応テレビの仕様が決定次第、明らかになる。

 具体的なコンテンツの数や内容については明らかにしていない。6月2日から始まった4K試験放送「Channnel 4K」の番組をそのまま流す形ではないが、「次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)に加盟している放送局から相談を受けている」とのことで、今後の交渉によって配信番組などが決まる見込み。

アクトビラの香西卓社長

 商用4K配信サービスについては、7月2日~4日開催のコンテンツ制作・配信ソリューション展」(東京ビッグサイト)や、7月29~30日の「ケーブル技術ショー 2014」(東京国際フォーラム)でもデモ展示を予定している。同社は現在70社以上のコンテンツプロバイダと協力しており、今後の直接交渉などでコンテンツを増やしていくという。

 アクトビラの香西卓社長は「現在、テレビメーカーと一緒に仕様を決めており、できるだけ多くのメーカーに対応していただきたいという期待を持っている。オープンなネットワークで提供し、多くの受信機で実現すれば、自動的にコンテンツの出口も増え、コンテンツの供給も増える。できるだけオープンマインドで市場を大きくしていくことを最優先する」との意向を示している。

4K配信の仕組み

 配信プラットフォームの企業、法人向けへの提供も9月に予定。これを利用することで、ホテルや教育機関などにおいて、4K VOD配信が可能になる。なお、9月時点では対応テレビの仕様が固まっていない可能性が高いため、同プラットフォームを利用した配信サービスは、一般向けではなく限定した利用者層に向けて提供される見込み。

4K配信の基本方針
14年度の取り組み

(中林暁)