ミニレビュー

価格と音質のバランス良好、NUARL初の左右完全分離型イヤフォン「NT01」

 各社から多くの製品が登場している左右完全分離型のBluetoothイヤフォン。どれを選べば悩ましいところだが、価格と音質のトータルバランスが優れた製品として、NUARL(ヌアール)ブランドの「NUARL NT01 HDSS True Wireless Stereo Earphones」を紹介する。4月27日から発売されており、価格は14,750円だ。

「NUARL NT01 HDSS True Wireless Stereo Earphones」

 NUARLは、これまでOEMでイヤフォンやスピーカーなどのオーディオや、スマートフォン向けのアクセサリ、パワーサプライなどを手掛けてきたエム・ティ・アイが自社のオーディオブランドとして設立したもの。これまで様々なイヤフォンを発売しているが、「NT01」は同社初の左右完全分離型となる。

 音質だけでなく、“途切れにくさ”にこだわっているのが特徴。「接続性で業界トップクラスを目指して開発した」とアピールしている。

「NUARL NT01 HDSS True Wireless Stereo Earphones」装着イメージ

“途切れにくさ”にこだわる

 接続性を高めるため、QualcommのBluetooth 5世代の左右分離型イヤフォン専用チップセット「QCC」シリーズを採用。Bluetooth 5の規格をフルスペックで満たす最新の設計で、ハードウェアの性能自体が、Bluetooth 4.x時代の設計のものと比べて遥かに高いという。

「NUARL NT01 HDSS True Wireless Stereo Earphones」

 Qualcommは今年の2月に「QCC5100」シリーズという新しいチップセットも発表しているが、NT01に搭載しているチップセットはそれよりも前のものだ。QCC5100は、通話や音楽ストリーミングにおける消費電力を最大65%低減したり、左右両方のイヤフォンに同時に接続して、左右イヤフォン間のBluetooth送信を不要とするのが特徴。しかし、発表されたばかりで、採用した製品が市場に登場するのはまだ先になる。

 QCC5100シリーズではないが、NT01に搭載しているチップセットも性能・音質が高く、従来のQualcommのチップセットと比較しても優れているため、採用を決定したという。

 なお、途切れにくくする技術としては他にも、近距離磁気誘導(NFMI)が存在する。NUARLでも採用を検討したそうだが、テストの結果、音質への影響を懸念し、Qualcommのチップセットを選んだそうだ。

 接続性を高めるため、独自のアンテナ設計も工夫。片側2つのアンテナを相互結合し、アダプティブアレイ化する事で、左右間の通信方向の指向性を持たせ、出力は変えずに、利得(感度)を1.5倍に高めた。この技術は「MCA」(Mutual Coupling Antenna)と名付けている。

 なお、開発にあたっては、電波が多く乱れ飛んでいる場所として、東京の新宿駅や品川駅などで、実際にイヤフォンを接続し、途切れるかどうかも検証しているという。

「NUARL NT01 HDSS True Wireless Stereo Earphones」

 実際に使ってみると、確かにワイヤレス接続は安定している。スマホはHUAWEIの「Mate 9 Pro」を使っているが、接続性が今ひとつな左右分離イヤフォンと組み合わせて使うと、ひどい時にはスマホをお尻のポケットに入れただけでブチブチと途切れてしまう。だが、NT01ではその状態でも安定して接続できている。

 もちろん、まったく途切れないわけではない。室内で途切れることはまずないが、混雑する駅のホームなどでは、たまに「あ、今途切れたな」という場面がある。ただ、「途切れ続けてまともに使えない」ような事にはならない。そうした場合でも、例えばイヤフォンにより近い胸ポケットにスマホを入れるなど工夫すれば、より途切れない運用も可能だ。

音質面の特徴

 イヤーピースは2種類を同梱する。1つは、ノズルの先端に取り付けて、耳穴の周囲を塞ぐ「フィッティングタイプ」、もう1つはノズルの奥まで押し込むように取り付け、耳のより深くまで挿入して遮音性を高める「プラグインタイプ」だ。どちらもサイズはS/M/Lの3サイズを同梱する。

 「フィッティングタイプ」だと、抜けてイヤフォンが落下しないか心配かもしれないが、本体に突起状のイヤーループも備えており、ループもS/Lの2種類同梱。これで補佐できる。

 左右分離型のイヤフォンは、なによりも落とすのが怖いので、イヤーピースやループのサイズ選びは念入りにやりたい。首を少し振った程度では、ズレたり抜けてこない組み合わせを探そう。

 IPX4相当の防水対応でもあるため、スポーツでも利用できるだろう。なお、万が一落として無くしてしまった場合、購入から1年以内で、もう片側のイヤフォンが残っていれば、有償で交換できる紛失サポートも用意されている。

イヤーピースを外したところ
黒いのが耳のより深くまで挿入して遮音性を高める「プラグインタイプ」、半透明なのが「フィッティングタイプ」だ
イヤーループも備えており、ループもS/Lの2種類同梱する

 音が出た瞬間にわかるのは、とてもストレートかつニュートラルなサウンドという事だ。低域が過度に強かったり、高域がキツく目立ちすぎるような事もなく、モニターライクな音作りと言っていい。6mm径のドライバとは思えないほど量感も豊かだ。

 特筆すべきは、音場の広さと抜けの良さだろう。左右完全分離は、ハウジング内に様々なパーツが格納されるためか、こもりがちな音になる機種も少なくないが、NT01はクリアで爽やかなサウンドだ。音量を上げていっても、反響音で飽和して音がボワボワする事もなく、透明感がある。

 音質面の特徴は、米TBI Audio Systemsを中心に提唱されている音響技術「HDSS」(High Definition Sound Standard)を採用した事。他社ではBlue Ever Blueなどの製品もHDSSを採用しているが、それと同様の技術となる。

 具体的には、ハウジングの音響室内にETL(EMBEDDED TRANSMISSION LINE)と呼ばれるモジュールを内蔵している。ドライバの背面で発生する音の流れを、ETLが吸収かつ整流する事で、音の乱れやノイズを抑え、原音を忠実かつ、臨場感溢れたサウンドを再生するという。

 実際にどれくらい効果があるのか? メーカーが特別に作ったという“HDSS無しバージョン”を聴いてみたが、この違いが面白い。無しバージョンは、反響音が多く、音量を上げていくと音がボワッとする。HDSS搭載バージョンだと、音量に関わらず、分解能が高い、スキッとしたサウンドが維持されている。

 ただ、低音の迫力、パワフルさという面ではHDSS無しの方が“元気がいい”。ロックなんかが好きな人は、無しバージョンの方がもしかしたら気に入るかもしれないが、ジャンルを問わず再生できる音質、飽きのこない音という面では、やはりHDSS搭載バージョンの方が優れている。

 コーデックはAACとSBCに対応。HDSSだけでなく、内蔵のQualcomm Kalimba DSPによるデジタルイコライジングも活用している。

 操作系は、左側イヤフォンのボタンで、曲操作や着信応答/拒否/終話、音声コマンドの起動が可能。右側のボタンで音量調整ができる。マイクも備えているので、通話や音声コマンドの入力も可能だ。BluetoothプロファイルはA2DP、HFP、HSP、AVRCPに対応する。

 デザイン的には落ち着いた雰囲気だが、使っていて便利だと感じるのは、左右の形状が異なる事。まるっきり形が同じだと、いちいち「どっちがLだっけ、Rだっけ」と識別マークを確認しなければならないが、形ですぐ「あ、これはRだ」とわかるのでストレスが少ない。形状も大きいイメージはなく、重量も5gと軽い。

 連続再生時間は約5時間で、付属のケースと組みわせることで最大12時間の利用が可能だ。イヤフォンのバッテリ残量は、マスター側はスマホ画面で、スレーブ側は本体LEDで確認できる。充電が必要な残量になるとボイスメッセージでお知らせ、ケースにもLEDを搭載し、バッテリ残量を4段階表示する。自動再接続機能も備えているので、ケースの蓋を開けるだけで左右とも電源が入り再接続する。

充電ケースを兼ねた収納ケース

価格と音質のバランス良好

 左右完全分離型イヤフォンは一気に低価格化が進んでおり、Amazon.co.jpなどの通販サイトでは、1万円以下どころか、5,000円以下のモデルも少なくない。一方で、国内メーカー製品は、防水やノイズキャンセリング機能などに注力して差別化。2万円台などで展開し、価格に開きがあるのが現状だ。

 「NT01」は14,750円で、それらの中間に位置した製品と言える。ニュートラルな音質や、接続性へのこだわり、IPX4相当の防水など、イヤフォンとしての基本性能を磨いており、価格と音質・性能のバランスの良さが特徴と言える。「左右完全分離イヤフォンに興味はあるけれど、あまり安い製品は……かといって2万円、3万円はちょっと……」という人にマッチする製品だ。

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NUARL
NT01

山崎健太郎