ミニレビュー

“天井から音が降り注ぐ部屋”は大変だったけど大満足。電球スピーカー+スマートスピーカー

 Googleが3月29日に発表したアップデートにより、Google HomeとBluetoothスピーカーとの接続が可能になった。これまでGoogle Homeはスマートフォンの音楽をBluetooth経由で再生できたが、今回の対応により、Google Homeから流れる音楽をBluetoothスピーカーで再生するという逆方向の通信も可能になった。

Google HomeシリーズがBluetoothスピーカー接続に対応

 Amazon Echoでは同様の機能が以前から提供されていたのだが、Google Homeのアップデートは、我が家では待望の機能だ。というのも以前のレビューでも触れた通り、ソニーのLED電球スピーカーを利用してスマートスピーカーの音楽を天井から流すという環境を以前から構築したいと思っていたからだ。

 メイン利用しているGoogle HomeがBluetoothスピーカーに対応したことで、ようやく理想の音楽環境が実現できそうということで、実際にソニーのLED電球スピーカー「LSPX-103E26」を購入、スマートスピーカーとの連携を試すことにした。

ソニーのLED電球スピーカー「LSPX-103E26」

スマートスピーカーとの接続設定はアプリから

 LSPX-103E26とスマートスピーカーとの初期設定は、スマートフォンと大きく変わらない。付属リモコンの「PARING」ボタンを長押しするとペアリングモードへ移行し、ピポッという電子音が5分間鳴り続ける。あとはスマートスピーカーのアプリからLSPX-103E26をペアリングすれば設定は完了だ。

 Google Homeの場合、アプリの「デバイス」から接続したい機器の上の右上に表示されているメニューボタンをタップして「設定」を選択。「デフォルトのスピーカー」から「Bluetoothスピーカーのペア設定」でLSPX-103E26を指定する。

「デフォルトのスピーカー」から「Bluetoothスピーカーのペア設定」を選択
LSPX-103E26と接続

 Amazon Echoの場合は、アプリの「設定」から接続したい機器を選択し、「Bluetooth」から「新しいデバイスをペアリング」でLSPX-103E26を指定する。

設定の「Bluetooth」から「新しいデバイスをペアリング」を選択
ペアリングモードのLSPX-103E26と接続する

 Clova Friendsの場合、ClovaアプリのBluetooth設定からペアリング状態のLSPX-103E26を指定する。なお、外部Bluetoothスピーカーと接続できるのはClova Friendsのみで、Clova WAVEは対応していない。

ClovaアプリからBluetooth設定を選択
ペアリングモードのLSPX-103E26と接続

購入してから気が付いた設置における我が家のハードル

 マニュアル的な説明ではこれで完了、なのだが、実際に自宅で導入してみるといくつか課題が見つかった。

 まずは住宅の構造上の課題だ。筆者の場合、天井照明の1つをLSPX-103E26に切り替えて天井から音楽が流れる環境をもくろんでいたのだが、我が家の電球サイズはE17という形で、LSPX-103E26のE26よりも小さく取り付けることができないのだ。

我が家の天井はE17サイズかつ斜め方向で取り付けのハードルが高い

 このサイズの違いについてはソニーのサイトにも説明がある通り、市販の変換コネクタでE26サイズの電球も取り付けできるのだが、我が家の場合はもう1つの課題があった。それは電球の取り付け向きが垂直ではなく斜めになっており、さらに照明を天井の穴の中に取り付ける構造になっているということ。LSPX-103E26のようにサイズが大きい電球に、さらに変換コネクタを取り付けると、天井穴に装着できないことがわかった。

 サイズを間違えていろいろと購入してしまったという経緯もあり、結局我が家ではE17の取り付け向きを変えられるコネクタと、E17からE26に変換するコネクタを組み合わせることで解決した。ただし取り付けはできたのだが器具を増やしすぎたせいで見ていて不安定な状態となっており、おススメはできない。

 なお、E17からE26への変換と向きの変更ができるアダプタが販売されているのだが、購入してみたところ、向きを変換するコネクターとサイズを変更するコネクターがセットになっているだけだったので、別々に購入してもできることに変わりはない。

向きとサイズを変えられるコネクタ
なんとか設置完了

設置後に気がついた「調光対応」の壁

 これで無事にLSPX-103E26を取り付けられて一安心、と思っていたのだが、我が家にはまだまだLSPX-103E26導入の壁が待ち構えていた。LSPX-103E26の機能を調べようとWebサイトをチェックしていて気がついたのだが、LSPX-103E26は調光対応の照明器具には対応していない。そして我が家の照明は調光機能を搭載しているのだ……。

ヘルプガイド

 冷静に考えれば事前に気がついてもよさそうなものだが、製品ページに特に注意事項がなかったことと、天井から音楽を流したいという気持ちが焦るあまり、深く考えずに購入してしまった。知らずに取り付けて動作はしたものの、今後も長期に渡って使い続けるには不安が残るため、リビングでの使用は諦めることにした。

 筆者のようなミスをなくすためにも、製品のWebサイトにも「調光対応の照明には取り付けられない」旨を記載して欲しいところだ。

 幸いに我が家のキッチン照明は調光機能に非対応、しかもサイズはLSPX-103E26をそのまま装着できるE26だ。若干音が遠くはなるもののリビングでも音楽が聞こえる距離であり、料理をしている最中にキッチンで音楽を楽しむのもいいだろう、と設置場所を変更することにした。

リビングから少し離れたキッチンに設置

照明オフでBluetoothも切断。再接続に操作が必要な場合も

 ついに念願の天井から音楽環境を手に入れた。しかし、実際に運用してみて気がつく課題もいくつかあった。

 我が家の照明は壁のスイッチでオンオフできるのだが、スイッチで電源をオフにしてしまうとBluetoothのペアリングが切れてしまうのだ。

 音楽を再生中にスイッチをオフにすると音が自動的にスマートスピーカーに切り替わる。その際に、LSPX-103E26と音量の設定が異なっていると、スマートスピーカーからいきなり爆音が流れる、といったこともあるので要注意だ。

 再度照明のスイッチを入れるとスマートスピーカーとの接続が自動で行なわれる。筆者の使用している限りでは、Google Homeは時おり切断されているが、Amazon EchoとClova Friendsは毎回きちんと再接続されている。

 なお、うまくいかない場合はGoogle Homeなら「OK Google,Bluetoothと接続」、Amazon Echoなら「Alexa,スピーカーと接続」、Clova Friendsなら「Bluetoothスピーカーと接続して」と発声して再接続する必要がある。

 また、再接続の際には接続が完了した「ピポ」という電子音が部屋の中で毎回流れるほか、Clova Friendsは接続と切断の際に「LSPX-103E26と接続しました」という音声ガイダンスが流れる。オンの時はもちろんだが、照明を消してさあ寝ようという時にガイダンスが流れるのはややうるさく感じる。

音質は良好。「天井から音が降りそそぐ」高い臨場感

 導入部分が長くなったが、本来の目的である使い勝手についても紹介しよう。LSPX-103E26の照明や本体のボリュームは、付属リモコンから操作でき、スマートスピーカーの音楽の一時停止/再生もリモコンからコントロールできる。

付属のリモコン

 リモコン中央部のボタンを押すと照明の色が白/カラー/消灯とトグルで切り替わる。ボタン周囲のリングは、白点灯の場合明るさを、カラー点灯の場合は色を変えることが可能だ。

 音質も良好。モノラルスピーカーだが天井に取り付けることでまさに「音が降ってくる」感覚で、段違いに音楽へ浸ることができる。自宅なのにカフェにいるような感覚で、音が鳴る場所でこれだけ音楽体験が変わるとは予想以上の効果だった。

 また、Google Homeでは音楽のボリュームとスマートスピーカーのボリュームを分離できるのも嬉しい。スマートスピーカーは音楽とシステムのボリュームが共通のため、システムの応答音声を大きくしたいけれど音楽のボリュームは抑えたい、という調整ができないことが多いが、Google Homeの場合はBluetoothスピーカーを使えば音楽の音は抑えつつ、システム音声は聞きやすいボリュームまで大きくする、という調整が行なえる。

 なお、音量はハードによって異なり、Google Homeの場合はLSPX-103E26のボリュームを最大にしても音が小さいのに対し、Amazon Echo PlusやClova Friendsは十分に大きい音が出せている。

 Bluetoothスピーカーから流れる音はスピーカーによって異なり、Google HomeはSpotifyやRadikoといった音楽コンテンツのみBluetoothスピーカーから流れ、天気予報やタイマーなどの音声はスマートスピーカーから流れる。一方、Amazon EchoやClova Friendsははすべての音がBluetoothスピーカーから流れる。また、マイクを搭載しているのはスマートスピーカー側なので、Bluetoothスピーカーがどこにあろうとも発声の対象はスマートスピーカーになる。

 ちなみに、LSPX-103E26は流れている音楽に合わせてカラーが自動で変わる機能を備えているが、これはアプリでしか設定できない。本機能をスマートスピーカーでも利用したい場合は、一度スマートスピーカーとのペアリングを解除してスマホとペアリングし、アプリからこの機能を設定した上で再度スマートスピーカーと接続すれば、スマートスピーカーの音楽でも音楽に合わせてカラーを変えられるようになる。

専用アプリ「Music Center(旧SongPal)。LSPX-103E26の設定には「LED電球スピーカーアプリケーション」アプリのインストールも必要
リズムに応じて色が変わる「Rhythm-Link」モード

環境次第で導入に課題はあるが、高い臨場感が味わえる

 以上、自業自得な部分も多いものの、スマートスピーカーとLSPX-103E26との組み合わせにはいくつかの課題があることが見えてきた。

 あらためて筆者の自宅の場合の注意点は以下の通り。

・天井に装着する場合は、調光非対応の照明であることを確認
・部屋の照明をまとめてオフにできる照明の場合、照明を消すとBluetoothも切断されるということを頭に入れて運用する必要

 同梱のリモコンで照明を消すこともできるので、運用を考えるなら天井照明とは別系統の照明や、間接照明にLSPX-103E26を装着した方が使いやすいかもしれない。

 とはいえ、天井から音楽が流れるという体験は格別で、自宅内の音楽再生環境がワンランク上のものになったという感覚がある。照明の電源をオフにして音楽を聞けないといった課題もあるが、その場合はスマートスピーカーで音楽を聴けばいいと考えている。

 人を選ぶ組み合わせではあるものの、これでしか味わえない臨場感がある。興味のある人は、自宅の照明環境に注意しながら導入を検討してほしい。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。ライター以外にも家電ベンチャー「Shiftall」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝」)