ミニレビュー

注目の高音質配信「Amazon Music HD」をピュアオーディオで聴いてみた

既報の通り、Amazon Musicが17日から、高音質音楽配信サービス「Amazon Music HD」を開始した。6,500万曲以上をCD音質のHD(44.1kHz/16bitで最大850kbps)、そのうち数百万曲はUltra HD(最大3,730kbps、192kHz/24bit)で配信するのが特徴だが、さっそくその音質を、ピュアオーディオ環境で聴き比べてみた。

詳細はニュース記事を参照して欲しいが、利用料金はAmazonプライム会員は月額1,780円(税込)、Amazonのユーザーは月額1,980円(税込)。Amazon Music Unlimited個人プラン/ファミリープランに登録している場合は、月額1,000円の追加料金で、高音質なロスレスオーディオが利用できる。

Amazon Music HDの音質情報

豊富な対応機器も特徴だ。パソコンに加え、Amazonの端末ではAlexa対応のEcho端末(第2世代以降)、Fire TV、FireタブレットがHD音質の再生に対応。スマホでは、2014年以降にリリースされたほとんどのiPhoneおよびiPad(iOS 11またはそれ以降のバージョンのiOS)において、追加の機器接続なしでのHD/Ultra HDでの再生をサポート。ただし、Ultra HD楽曲は、最大48kHz/24bitまでの再生となる。iPhoneで192kHzなど、より上のサンプルレートで再生する場合は、対応の外部DACなどを接続する必要がある。

AV機器でも、HEOS Built-In、Sonos、パイオニア、McIntosh、ゼンハイザー、デノン/マランツのほとんどの製品などで対応するという。

デノン/マランツによれば、Amazon Music HDでの配信フォーマットはFLACだという。また、これまでデノンとマランツが手掛けてきたネットワーク再生機能「HEOS Built-In」のほぼ全ての機種でAmazon Music HDに対応するという。9月17日に実施したファームウェア・アップデートにより、既にAmazon Music HDに対応している機種は以下の通り。

【デノンの対応機器】

  • ネットワークCDレシーバー RCD-N10
  • ネットワークオーディオプレーヤー DNP-800NE
  • プリメインアンプ PMA-150H
  • AVアンプ AVR-X2600H/X1600H、AVC-X8500H/X6500H/X4500H/X2500H/X1500H、AVR-X6400H/X4400H/X2400H/X1400H、AVR-X6300H/X4300H
  • サウンドバー DHT-S516H/HEOS HomeCinema
  • ネットワークスピーカー HEOS 3/HEOS 1
  • ワイヤレスアンプ HEOS LINK

【マランツの対応機器】

  • ネットワークCDプレーヤー ND8006
  • ネットワークオーディオプレーヤー NA6006
  • AVアンプ AV8805/SR8012/NR1710/NR1609/NR1608
  • ネットワークCDレシーバー M-CR612

音を聴いてみる

試聴に用いた機器は、マランツのネットワークCDプレーヤー「ND8006」(13万円)。組み合わせるアンプは、同じくマランツの「PM8006」(13万円)。スピーカーは、B&Wの「800 D3」(1本 225万円※ピアノ・ブラック)だ。

左からマランツのアンプ「PM8006」、ネットワークCDプレーヤー「ND8006」
スピーカーは、B&Wの「800 D3」

スマホを2台用意。1つは、既存のAmazon Music会員になっているアカウントのアプリをインストールしたもの。もう1つのスマホのアプリでは、Amazon Music HD会員のアカウントでログインしている。これらのスマホアプリから操作し、HEOSを通じてND8006+PM8006からストリーミング配信の音楽を流すという流れだ。

Amazon Music会員になっているスマホ
こちらはAmazon Music会員になっているスマホ

グスターボ・ドゥダメル指揮 ウィーン・フィル演奏のムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」からプロムナードIを再生。アプリで確認すると、Amazon Musicの音楽データはAAC 256kbps。

これをしばらく聴いた後、Amazon Music HDに変更。同じタイトルを再生すると、こちらはアプリに「96kHz/24bitのFLACファイル」と表示された。無事にAmazon Music HDからファイルを受信しているようだ。

Amazon Music HDの「森山直太朗/大傑作撰」を再生すると、「96kHz/24bitのFLACファイル」と表示された

Amazon Music(AAC 256kbps)とAmazon Music HD(FLAC/96kHz/24bit)を聴き比べると、予想していたよりも大きな違いがある。

オーケストラの音が広がる空間の左右、奥行きが、Amazon Music HDの方が広くて深い。そこに楽器の音像が定位するのだが、定位した楽器の音像の“厚み”もAmazon Music HDの方が肉厚で、実在感がある。弦楽器が重なる部分の、1つ1つの音の描き分けも、Amazon Music HDの方が明瞭だ。

ネットワークCDプレーヤー「ND8006」でAmazon Music HDを再生しているところ。「Amazon Music HD」ではなく「Amazon Music」と表示される

ヴォーカルモノとして、「森山直太朗/大傑作撰」から「花」を再生する。こちらもAmazon Music HDは96/24のFLACだ。

ヴォーカルが2台のスピーカーの中央に定位するが、声の響きが音場に広がる様子と、広がった音が消えていく様子の細かさが、Amazon Music HDの方がリアルだ。ボーカルの音像と、楽器の音像がより明確に定位し、輪郭もシャープになる。また、音像と音像の距離感もAmazon Music HDの方が明瞭に聴き取れる。“音がほとんど無いが、空間は存在する”というエリアが、Amazon Music HDの方がリアルだ。

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山崎健太郎