ミニレビュー
PS5と過ごした1週間。PS5でPS VRは遊べる? 変換アダプタ活用
2020年11月20日 08:00
11月12日に発売された「PlayStation 5」。高画質なゲームが楽しめる新ハードだが、PS4の時に購入したVRヘッドセット「PlayStation VR」を接続し、VRゲームやVR映像を楽しみたい時もある。その際に必要なモノや注意点、そして実際にPS5+PS VRを体験したレポートをお届けする。なお、今回使用したPS VRは初期型の「CUH-ZVR1」だ。
既報のとおり、PS5はPS VRに対応しており、本体の後方互換機能を使ってPS4向けのVRタイトルを遊ぶことができる。ただし、VRヘッドセットなどを認識するカメラにPS5向けの「HDカメラ」は利用できず、PS4向けの「PlayStation Camera」(PS Camera)を利用しなければならない。
ただ、PS Cameraは独自のPS4専用端子を使っているため、そのままでは専用端子を搭載していないPS5と接続することはできない。ソニー・インタラクティブエンターテイメント(SIE)は公式サイト上で、PS5への接続を可能にするアダプター「PlayStation Cameraアダプター」を無償配布しているので、アダプターが同梱されていないPS VRを所有している場合は、事前に申し込みを済ませておく必要がある。
筆者は10月29日に申し込み手続きを済ませ、31日には出荷完了の連絡を受け取り、11月2日に配送された。届いたPS Cameraアダプターは、ノートPCのLANアダプターのような形状で、片側が独自のPS4専用端子、反対側がUSB Type-Aになっている。
PS Cameraを接続するUSBポートにも注意が必要だ。PS5は、本体前面にSuperspeed(10Gbps)のUSB Type-C、Hi-SpeedのUSB Type-Aをひとつずつ、背面にSuperspeed(10Gbps)のUSB Type-Aをふたつ搭載する。
SIEのサポートページには、PS VRのプロセッサーユニットは、すべてのUSBポートに接続して利用できるものの、PS CameraやHDカメラはSuperspeed USBに接続しなければならないと記されている。SIEが無償配布しているPS CameraアダプターはUSB Type-A端子なので、必然的に本体背面のポートへ接続することになる。
内蔵SSD活用で高速ロードの恩恵。YouTubeは360度動画を体感できず
PS VRとPS Cameraを接続すれば、作業は完了。あとは対応ゲームを起動すればVRを体験できる。別途「PlayStation Move モーションコントローラー」などを使う場合は、USBケーブルでPS5と接続し、PSボタンを押してペアリングすれば使用できる。
さっそくリズムゲームの「Beat Saber」や、フライトシューティングゲームの「エースコンバット7」のVRモードをプレイしたところ、ゲーム自体はPS4と変わらない感覚でプレイできた。そればかりか、今回はPS5の内蔵ストレージにゲームをインストールしたため、ロード時間が大きく短縮され、より快適にさえ感じられたほどだ。
ゲームに続いて、YouTubeなどメディア関連もひととおり確認したところ、PS VR内に画面を表示する「シネマティックモード」で動画を楽しむことができた。
しかし、YouTubeでPS VRの動きと画面が連動する360度動画を視聴することはできなかった。
PS4にPS VRを接続した上でYouTubeアプリを立ち上げると、“通常版”と“PlayStation VR版”のどちらを起動するか確認するポップアップが表示されるのだが、PS5ではそういったポップアップは表示されず、いわゆる“通常版”のアプリが起動する。
この状態でもYouTube上の360度動画を視聴することはできるが、画面の表示とVRヘッドセットの動きが連動しないため、コントローラーで画面を動かしての視聴になる。今後のアップデートでのPS VR対応を期待したいところだ。
なお、PS5はメディアの「すべてのアプリ」内に「VRと体験アプリ」の項目が用意されており、ここに表示されているアプリを使えばPS VRの動きに追従する360度映像を楽しめる。試しに「360 Channel」や「BIOHAZARD VENDETTA -Z Infected Experience-」を視聴したところ、どちらもVRヘッドセットと連動する360度映像を体感できた。
所持していない場合はPS Cameraアダプターを入手する必要があるものの、PS5とPS VRのセットアップ手順はPS4と大きく変わらない。Moveコントローラーなど周辺機器も問題なく利用でき、内蔵ストレージにゲームをインストールすれば、快適にVRゲームを楽しめた。PS5の内蔵SSD容量には限りがあるが、頻繁にPS VRゲームを遊ぶ場合は、PS5×PS VRの運用はベストだろう。
ちなみにPS VRの初期型「CUH-ZVR1」は、プロセッサーユニットがHDRパススルーに対応していないため、PS5から出力できる映像に制限が加わってしまう。具体的には「PlayStation VRのプロセッサーユニットが接続されているため、HDR、120Hz、高品質な4Kカラーフォーマットなど、一部のHDMI機能が使用できません」と注意書きが表示される。PS4 Proと初期型PS VRを接続した場合にも起きていた問題だが、より高画質や高リフレッシュレートでゲームをプレイしたい場合は、遊ぶゲームに合わせて一度PS VRをPS5から外す必要がある。もし初期型PS VRを所有していて、PS4とPS5の2台を同時に置くスペースを確保できるなら、PS4をPS VR専用機として活用してもいいかもしれない。
手元には初期型しかないため、検証できていないが、HDRパススルー対応の新型である「CUH-ZVR2」であれば、このメッセージも変わると思われる。
PS5と過ごした1週間。人差し指だけ筋トレ気分
最後に、PS5で1週間遊んだ感想も。8Kや120Hzは家に対応ディスプレイ/テレビが無いため体験できていないが、ゲームプレイ自体は快適そのもの。PS5で遊んでいて、とくに“次世代”を感じたのは「高速ロード」と、DualSense ワイヤレスコントローラーに搭載されている「アダプティブトリガー」のふたつだった。
高速ロードについては、ニューヨークを自由に飛び回れる「Marvel's Spider-Man:Miles Morales」で特に恩恵が大きかった。西田宗千佳氏も言及しているように、ゲーム起動から実際にゲームを遊べるようになるまで、約20秒前後。広大なエリアを移動できるオープンワールドゲームとは思えないロードの早さなので、今まで以上に気軽にプレイでき、モチベーションも維持できる。
また、前作の「Marvel's Spider-Man」では屋内のサイドミッションをプレイする際、「屋内に入る時」と「屋外に出る時」にロードが入っていたが、PS5の「Marvel's Spider-Man:Miles Morales」では、シームレスに屋内へ入ってミッションを始められる。サイドミッション完了後も、排気口を通じて、そのまま外へ飛び出すことができ、思わず「おおっ!?」と大きな声を上げてしまった。
「アダプティブトリガー」については、プリインストールされている「ASTRO's PLAYROOM」や「Marvel's Spider-Man:Miles Morales」でも体感できるが、もっとも効果を実感できたのは13日に発売された「Call of Duty:Black Ops Cold War」。今作では登場するすべての銃ごとに、銃を構えるL2ボタンと、引き金を引くR2ボタンの重さ、発砲時にR2ボタンで再現される振動が異なっているため、実際に銃を撃っているかのような感覚を味わえる。
ただ、アダプティブトリガー機能をオンにしていると、PS4用の「DUALSHOCK 4」などと比べてL2/R2ボタンがかなり重くなるため、指の疲労感も強くなる。まるで人差し指だけ筋トレしているような気分だった。
対戦モードなど、瞬時の操作が求められる場面では、ゲーム内のオプション設定から同機能をオフにしてもいいかもしれない。
ちなみに「Call of Duty:Black Ops Cold War」では、ヘッドフォンを接続した際に利用できる「3Dオーディオ」についても効果が顕著。ヘッドフォンでプレイすると、今まで以上に簡単に足音で敵の位置を把握できた。