レビュー

PS5の“Tempest 3Dオーディオ”を体験、純正ヘッドセットは買いか!?

12日に発売された「PlayStation 5」と「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は12日、家庭用ゲーム機「PlayStation 5」や、その周辺機器を発売した。今回、奇跡的に予約争奪戦を勝ち抜き、PS5本体と「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」を入手できたので、PS5用ワイヤレスヘッドセットの開封レポートと、それを使ってPS5の目玉機能の1つである「Tempest 3Dオーディオ」の体験レポートをお届けする。

結論から言うと、「Tempest 3Dオーディオ」の効果は想像以上だ。

予約争奪戦の顛末と、あらためて感じる巨大さ

今回購入したPS5は、Ultra HD Blu-rayドライブを備えたスタンダードモデル。PS4時代に購入したディスク版の資産が多かったこと、自宅に4K UHDを再生できる環境がなかったことから、こちらを選択した。

購入先は、予約開始日の9月18日に先着販売を行なっていたAmazon.co.jp。予約開始日の10時にサイトへアクセスし、Amazon限定予約特典付きモデルの争奪戦に挑んだが敗北。しかし、続いて行なわれた本体のみの予約戦には競り勝つことができ、10時12分に無事予約完了となった。

そのあとは仕事の合間を縫って、Amazonをチェック。周辺機器の「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」やローンチタイトルなども無事予約に成功。

ついにPS5と対面

そして発売前日の11日、13時すぎにソフトや周辺機器の、18時前にはPS5本体の発送通知が届き、発売日当日の9時30分すぎには自宅に到着。念願の対面となった。

PS4 Proと並べて設置したところ

開封の様子や同梱物などは、すでに「開封の儀」レポートでお届けしているので割愛するが、あらためて自宅で本体を手にすると、その大きさには驚かされた。PS4 Proと並べて設置しても、大きさの差は一目瞭然。プレイ中は画面に没頭することもあり、モニター横に設置しても、あまり気になることはなかったが、ディスクを交換するたびに、そのサイズ感に少し戸惑う。

「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」開封

PS5本体の“開封の儀”は執り行なっているので、ここでは簡単に「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」を開封した様子を紹介しよう。

この「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」は、PS5の3Dオーディオ技術「Tempest 3Dオーディオ」向けのチューニングが施されており、シームレスかつワイヤレスでゲームサウンドを楽しめるというヘッドセット。価格は9,980円。

本体正面
本体側面

本体にはデュアルマイクによるノイズキャンセリング機能を搭載するほか、内蔵マイクのミュート、主音量の操作などを本体のボタンで行なえる。

操作系は左側に集約。ミュート時はボタンが飛び出す
マイクの音をモニターする機能も備える
電源スイッチはスライド式

音量やマイクのミュート、電源などのボタン周り、充電用のUSB Type-Cポートなどはすべて本体左側に集約されており、右側のイヤーカップに操作ボタンやポート類はない。ヘッドバンド部は装着すると自動で動くセルフアジャスト仕様なので、サイズを任意に変えることはできない。

ちなみに筆者は普段、少しゆったりめにヘッドフォンを着けるため、このヘッドセットを4時間ほど装着していたら、耳や側頭部に少し痛みを感じた。

同梱の専用ワイヤレスアダプターとステレオミニケーブル、充電ケーブル
ワイヤレスアダプターはPS5背面のUSBポートに接続しても使用できた

同梱されているのは、PS5/4やWindows/Macにワイヤレス接続するための専用アダプターと、3.5mmステレオミニケーブル、充電用のUSB Type-A to Type-Cケーブル。専用アダプターはUSB Type-A端子なので、PS5に接続する場合は本体正面、もしくは背面のポートを使うことになる。

「Tempest 3Dオーディオ」を体感

さっそくPS5の初期設定などを済ませ、新機能のひとつである「Tempest 3Dオーディオ」を体感する。これは「上下はもちろん、プレイヤーをぐるりと取り囲むようなサウンドで驚くほどの臨場感を味わえます」と謳う技術。ゲームをプレイ中、弓矢の音が頭上を通り過ぎるかのように聴こえたり、別の部屋の足音を聴いて敵の位置を感知するといったことが可能になるという。

今回はPS5本体にプリインストールされている「ASTRO's PLAYROOM」と、12日に発売された「Marvel's Spider-Man:Miles Morales」(以下、スパイダーマン:マイルズ・モラレス)で、3Dオーディオをオフにした場合と、オンにした場合の2パターンで音を聴き比べてみた。

3Dオーディオのオン/オフは設定アプリのサウンドにある「音声出力」で変更できる

まずは3Dオーディオをオフにしてプレイ。「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」は低音もしっかりと鳴る印象で、攻撃を当てたときの効果音なども小気味よく聴こえる。スパイダーマン:マイルズ・モラレスでは、ビルの合間を飛び回っているときの風切り音が心地よく感じられ、NPCとの会話もしっかり聴き取ることができる。3Dオーディオ効果なしでも十分にゲームを楽しめるヘッドセットという印象だ。

切り株の上を敵が歩き回る様子を音で感じられる
花びらがぐるぐると飛び回る場面。名作ソフト「Flowery(フラアリー)」を思わせる

しかし、3Dオーディオをオンにしてゲームをプレイすると世界が一変する。「ASTRO's PLAYROOM」の場合、敵キャラクターが切り株の上をぐるぐると歩き回っている場面では、敵キャラクターが左奥から近づいてきて、右奥に離れていく様子を簡単に感じ取ることができた。NPCキャラクターの周りを花びらが飛び回っている場面では、シャリシャリと効果音を奏でる花びらが、実際に自分の周りを飛び回っているのかと錯覚するほど。

街灯の上にいると、道を歩く人々の声が少し遠く聴こえた
(C) 2020 MARVEL (C) Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by Insomniac Games, Inc.

スパイダーマン:マイルズ・モラレスでも、3Dオーディオの効果を多くの場面で感じられたが、もっとも分かりやすかったのは街灯の上で立ち止まっていた時。3Dオーディオをオフにしていたときは下を歩く人々の話し声も、すぐ隣で話しているかのような音量で聴こえていたが、3Dオーディオをオンにすると話し声が遠のき、自分がプレイしているキャラクターと、下を歩く人との間にしっかりと距離を感じることができた。

今回はプレイできなかったが、13日発売の「Call of Duty:Black Ops Cold War」のようなFPSゲームなど、よりシビアな空間把握が求められるゲームでは、3Dオーディオの有無がプレイフィールに大きく影響しそうだ。

なお、PS5の3Dオーディオは発売日時点でテレビスピーカーなどには非対応。3Dオーディオを体感するにはヘッドフォンが必須となっている。ヘッドセットで3Dオーディオを体感したあと、長年愛用している2.1chのアクティブスピーカーでゲームをプレイしたが、やや物足りなさを感じてしまうほどだった。

ただ「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」ではなくても、PS5に互換性のあるUSBヘッドセット、もしくは3.5mmステレオミニのヘッドフォンがあれば3Dオーディオを体感できる。

DualSenseコントローラーに「MDR-1ABT」を接続したところ

実際に手持ちのソニー製ヘッドフォン「MDR-1ABT」や「WH-H900N」でも、3Dオーディオを使用できた。「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」と比べると、少し音の広がりが狭い印象を感じたものの、それ以外はほとんど変わらない印象だ。

ただ、こういったヘッドフォンの場合、ケーブルをDualSenseコントローラーのヘッドフォン端子に接続しなければならないため、ケーブルが煩わしく感じることもあった。

また「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」は、ヘッドセット側で音量調整を行なえるが、有線接続したヘッドフォンの場合、PS5のコントロールセンターを開き、「サウンド」の項目から音量を調整する必要があり、操作が1ステップ以上増える。頻繁に音量を変えることはないかもしれないが、より快適にゲームを遊びたい場合、ボイスチャットを利用したい場合などは「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」を使用したほうがいいだろう。

PS5の3Dオーディオは、わかりやすく「次世代機」を感じさせてくれる要素のひとつ。「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」は、その次世代の雰囲気を手軽かつストレスフリーに楽しめるヘッドセットだった。

このヘッドセットがなくても3Dオーディオ機能は使えるため、必ず使わなければいけないものではなく、PS5本体と同様に入手困難な状況だが、PS5が標榜する「息をのむ没入感」を味わいたいなら、手に入れて損はないアイテムだ。

酒井隆文