ミニレビュー

「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」BD本日発売。“最後の手紙”封入

「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」Blu-ray特別版のBD、UHD BDと“最後の手紙”

「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のBlu-ray&DVDが本日(10月13日)発売された。価格はBD特別版が12,100円、BD通常版が9,680円、DVD通常版が8,580円。BD特別版には、Dolby Vision&Dolby Atmos版の本編が収録されたUHD BDも付属する。ここでは、BD特別版の特典内容や、UHD BDを視聴したミニレビューをお届けする。

BD特別版の特典は、上記の通り、まずDolby Vision&Dolby Atmos採用の本編を収録したUHD BD。本作は、2020年9月18日に劇場公開されたのち、同年11月13日からは全国7カ所のドルビーシネマでも上映された。そのドルビーシネマ上映用に新たに製作された4K/Dolby Visionの高精彩HDR映像と、Dolby Atmosの立体音響を家でも楽しめるのがこのUHD BDだ。

そんなドルビーシネマ版の制作秘話「監督×技術スタッフ対談インタビュー」などを収録した小冊子もBD特別版限定で付属する。

共通の特典や仕様は、以下の通り。


    特典
  • 新規描き下ろし特製ケース
  • オールカラーブックレット 66P
    キャストコメント新規収録:石川由依、浪川大輔、子安武人、木内秀信、水橋かおり、諸星すみれ
    監督解説コメント付き原画紹介
    イラストギャラリー:劇場関連イラスト多数収録
    公開記念舞台挨拶オフィシャルレポート
    スタッフトーク付上映会オフィシャルレポート<MOVIX京都、新宿ピカデリー>
    石立太一監督 イラストコメント 寄稿
  • ヴァイオレットの手紙(複製版・翻訳版) 2種
  • 石立太一監督 初期イメージボードカードセット(12枚)
  • 劇場入場者プレゼント「書き下ろし短編小説冊子」表紙原画カード4種
  • 劇場ポスター縮刷版カード

    映像特典
  • 特報第1弾、特報第2弾、幕間映像、本予告、本予告第2弾、大ヒット感謝PV
  • 公開記念舞台挨拶映像

    音声特典
  • DTS Headphone:X
  • オーディオコメンタリー
    制作スタッフコメンタリー:石立太一(監督)×小川太一(演出)×篠原睦雄(美術)×山本倫(3D監督)×黒田比呂子(動画検査)×米田侑加(色彩設計)×船本孝平(撮影監督)
    キャストコメンタリー:石川由依(ヴァイオレット・エヴァーガーデン役)×浪川大輔(ギルベルト・ブーゲンビリア役)×子安武人(クラウディア・ホッジンズ役)×木内秀信(ディートフリート・ブーゲンビリア役)
    音楽スタッフコメンタリー:鶴岡陽太(音響監督)×Evan Call(音楽)×斎藤滋(音楽プロデューサー)

開封するとそこには“最後の手紙”

BD特別版(左)とAmazon特典の三方背ケース(右)

まさにヴァイオレットをイメージしたような色使いの透明スリーブに入った方がBD特別版本体。ヴァイオレットが描かれている三方背ケースは、Amazonの店舗別特典だ。透明スリーブを外すと、ワンピースBOXが現れる。

透明スリーブを装着した状態
ワンピースケース
ワンピースケースの裏はこんな感じ
ワンピースケース全面。デイジーの机だろうか

そしてこのワンピースBOXを開くと、石立監督描き下ろしの中面イラストとともに目に入るのが劇中に登場した“最後の手紙”だ。入っていることは分かっていたのだが、あまりにも、劇中から飛び出してきたかの様なクオリティで思わず声が出る。中には劇中で使われている言語そのままの本文と、翻訳版の2枚が収まっている。もちろん、そこには劇中で読み上げられなかったあの最後の一行も。是非、自分の手に取って読んで欲しい。

ワンピースケースを開くと“最後の手紙”が
手紙だけ劇中から飛び出してきたかのようなリアルな表現

購入したのはBD特別版なので、本編BDに加えてUHD BDも収められている。限定版特典のドルビーシネマ版の制作秘話が載った冊子は、薄く見えるが満足できるボリュームで掲載されている。

ワンピースケース内側。BDとUHD BDが収まっている
こちらが特別版限定冊子。中にはドルビーシネマ版制作秘話が

先ほどの“最後の手紙”に加え、66ページのブックレットと、イメージボードカードセット、入場者プレゼントで配布されていた小説冊子の表紙原画カード、劇場ポスターの縮刷版カードが共通特典。特別版でなくてもかなりボリューミーな印象だ。

66ページのブックレット
特典を広げたところ

UHD BDでDolby Vision&Dolby Atmos版を味わってみる

早速UHD BDを再生。ドルビーシネマ版が公開された2020年11月といえば、新型コロナウイルス感染症の第3波あたりが到来し、緊急事態宣言は発令されていないものの、外出を自粛していた記憶がある。その関係で、映画館も自宅から自転車で通える近所にしか行っておらず、筆者はドルビーシネマ版を映画館で観られずに、上映期間が終了。今回のUHD BD化を心待ちにしていた。

一通り本編を観て、まず感じたのが、灯りの表現。柔らかい光で少しぼんやりとした印象が残っていたシーンが、柔らかい光の印象はそのままに、シャープさも感じる映像になっていた。明るい部分と暗い部分、その中間の表現がより明瞭になっていたことが印象的だった。

通常の上映でも印象的だった暗所のシーンや、火の表現、大雨、終盤の夕日が照らすシーンから海のシーンなども、明暗の表現の幅が拡がったことで、何度も劇場で観た作品にまた引き込まれていく感覚が味わえた。

アニメの劇場作品は、公開版からの修正があったりもして、BD化や配信などでテレビに映して観た際に、劇場で観ていた時よりもクリアで、色使いやキャラクターの表情がはっきり観えるようになる印象があり、背景の書き込みや表現に感動したりすることは少なくない。

だが「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のUHD BDでは、普段のそういった体験よりも、さらに「あれ? このシーンこんな綺麗だったっけ」という感覚が至るシーンで感じられた。好きな作品を家で楽しめるだけでなく、新たな感動まで味わえる。またしばらくの間、この美しい作品世界に浸ることができそうだ。

野澤佳悟