ミニレビュー
「WF-1000XM4」の音が忘れられない。「LinkBuds S」のイヤピを替えて再現してみた
2024年9月30日 09:00
ソニーの完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM5」を購入して半年を過ぎたあたりで、やっぱり気になるなと思い悩んだのが、愛用していた前機種「WF-1000XM4」との音の傾向の違い。低域がタイトで全体的にスッキリと見通しの良い音だったM4に対して、M5は低域の量感が増したほか、「M4が音が物足りない」という声に応えたであろう、全体的にパワフルな音作りになっている。
もちろん、着け心地や強力ながら自然なノイキャンにも不満はない。しかし、あまりにもM4と音の傾向が違い過ぎて慣れないのだ。イコライザーを使っても、なんだかボーカルの印象が違ってしまい、途方に暮れていたところで思い出したのが「LinkBuds S」。
試聴した際にM4と似てるなと感じたことを思い出し、そんなLinkBuds SにM5のイヤーピースを付ければ、M4を再現できるのでは? と早速試してみた。
LinkBuds S+M5のイヤピでNC強化!! 予想より良い感じに
LinkBuds Sは、WF-1000XM4を薄くしたような外観で、音の傾向も結構似かよった、低域がタイトで全体的にスッキリと見通しの良い音だ。特徴的な穴の空いたデザインのLinkBudsの兄弟モデルで、1日中つけっぱなしで快適に過ごせるイヤフォンとしながら、ANCも機能的にはM4同等。なのだが、イヤーピースがフォームタイプではないことから、パッシブノイズキャンセルの部分の影響で1000Xシリーズよりも遮音性は弱めであると説明されていた。
ではイヤーピースをM5のものに替えてしまえば、ノイキャン性能も、最新機種のM5に及ばずともM4相当になるはず。
ということで、LinkBuds Sを借りてWF-1000XM5のイヤーピースを装着して使用してみた。ちなみにWF-1000XM5のイヤーピース「EP-NI1010」はバラ売りされているので、簡単に手に入る。色はブラックのみ、2個入りで直販価格は1,980円だ。今回は手持ちのWF-1000XM5のイヤーピースを使っているので、色はプラチナシルバーになっている。
早速LinkBuds SにWF-1000XM5のイヤーピースを装着。装着感は、イヤーピースが同じなので耳元の圧迫感などはWF-1000XM5とほぼ同じ。平たいフォルムのLinkBuds Sの方が耳元に収まりが良いように感じるが、本当に微々たる差だ。
音を聴いてみると、シリコンイヤーピースのときよりも低域に量感がある。LinkBuds Sは全帯域で解像感が高く、細かい音まで鮮明に描写するイヤフォンで、低音はタイトでアタック感の強いタイプなのだが、どこかWF-1000XM5のような低域の量感を感じる。
WF-1000XM4とM5では、イヤーピースが刷新されているので、M5の低域の聴こえかたはこのイヤーピースの仕様でもあったようだ。
しかしながら、LinkBuds Sではボーカルや高域の部分はスッキリとしていて、WF-1000XM5のリバーブ感のようなものがなく、「そうそう、求めてたのはこの音!!」と、ついつい試聴時間が長くなってしまう。むしろ程よく低域の厚みが増していて、思っていたよりも全体のまとまりが良い形になっている。
ANCの効き具合は、確かに微妙に差がある。もうWF-1000XM5のANCに慣れてしまっていたが、それでも若干いつもより人の話声が耳に届くな、と思うくらいの差だ。地下鉄に乗っているときに音量を上げたくなるとか、周囲の音が気になるというほどの差ではなく、外出中に使っていたら普通に慣れて快適に使えるくらいには強力だ。
フォームタイプで圧迫度合いが増して体内の音が反響するとか、イヤーピースが脱落する、といったようなこともなく、LinkBuds Sでも不自由なく使用できた。充電ケースにももちろんそのまま入る。これは普通に使えそうだ。
TWSは気に入った機種でも、主にバッテリーの消耗で2、3年に1回くらいは買い換えを余儀なくされる。とくにWF-1000XM4が出始めたころに購入した人たちは、そろそろバッテリーの消耗が気になるころではないだろうか。もし、その音を気に入って使っていたのであれば、今回の組み合わせを試してみてほしい。
ソニーのヘッドフォンページに謎のティザーが?
ソニーのヘッドフォン製品ページにティザーページが掲載されている。今回紹介したLinkBuds Sの兄弟モデルで、穴の空いた円形ドライバーが特徴の「LinkBuds」と思しきシルエットと共に「SOUND YOUR WAY 02. October 2024. 10:00 AM[JST]」と書かれており、10月2日10時に何か新製品が発表されるようだ。
LinkBudsとLinkBuds Sはともに2022年に発売されたモデルなので、シルエットからしてもLinkBudsの新モデル登場が予想される。