ミニレビュー

“空間オーディオ技術”でステレオサウンド広がる「Echo Show 8(第3世代)」聴いてみた

「Echo Show 8(第3世代)」パッケージ

Amazonはスマートディスプレイ「Echo Show 8(第3世代)」を8月1日より出荷開始した。新たに“空間オーディオ技術”に対応し、「前世代に比べより上質な音楽体験を楽しめる」のが特徴で、その音質が気になるところ。さっそく実機を借りて聴いてみた。

本体と電源アダプタ

第3世代のEcho Show 8は、8インチのHDディスプレイを搭載。現在4モデルが展開されているEcho Showシリーズとしては2番目にコンパクトなモデルとなっている。価格は22,980円。カラーは今回借りているチャコールのほかに、グレーシャーホワイトも用意する。

8インチのHDディスプレイを搭載する

天気予報やニュースなどを画面で確認できるほか、Amazon Musicなどで音楽を聴いたり、Prime VideoやNetflix、YouTubeなどの動画配信サービスを楽しむこともできる。

もちろん、Alexaに呼びかけて、声でタイマーを設定したり、照明・エアコンなどをスマートホーム機器経由で操作したり、タッチパネルで直接操作することも可能。

スマートホーム関連では、従来のMatter、Threadに加え、新たにZigbeeにも対応し、より幅広いスマートホーム機器と直接ペアリングできるようになった。

カメラ位置は本体上部中央に変更されている。画素数は1,300万画素で変わらず
カメラカバーも装備している

また、日本での利用率が高いというビデオ通話関連では、カメラの搭載位置が変更された。前モデルでは本体上部の端にカメラが内蔵されていたが、新モデルでは本体上部中央に変更され、より自然な目線でビデオ通話を楽しめるとのこと。

「表示の自動調整機能」の例。天気の場合、離れているときは気温と天候のみ、近づいているときは時間ごとの予報なども追加表示する

この内蔵カメラを使った機能として、ユーザーとの距離に応じて表示コンテンツを調整する「表示の自動調整機能」にも対応した。部屋の中で人が離れているときは、遠くからでも見やすいように、シンプルなニュースの見出しなどを表示し、デバイスに近づくと自動的により詳細な表示に切り替わる。

そのほか、より高速なプロセッサーを搭載し、ディスプレイの反応速度も改善。よりスムーズにタッチ操作できるようになった。

底面は滑り止め付き
背面に電源コネクタを搭載

進化したサウンドを聴いてみる

パッシブバスラジエーターや“空間オーディオ技術”への対応、音響特性に合わせた自動調整などにより音質を高めている

内蔵スピーカーは前モデルと同じ2インチ×2基のステレオ仕様だが、新たにパッシブバスラジエーターを搭載して低音を強化。ステレオサウンドをより広げるという“空間オーディオ技術”に対応したほか、部屋の音響特性を自動的に分析し、最適な音で再生できるよう微調整する機能により音質を高めている。

海外発表時の内部ユニット図

2023年の本国発表時に公開された画像では、本体背面の左右にスピーカーユニット、斜めになった天面部分にパッシブバスラジエーターを搭載しているようだ。

なお“空間オーディオ技術”は、あくまでステレオサウンドをより広げるためのものとなっており、Dolby Atmosや360 Reality Audioなどの空間オーディオフォーマットに対応したものではないので、その点は注意してほしい。

TuneInアプリを使って海外のラジオを楽しむことも可能

実際に本体の正面に座って音楽を聴いてみると、しっかり“画面の左右から音が出ている”ように聴こえ、そのサウンドもコンパクトな筐体から発せられているとは思えないほどの広がりを味わえる。

あらかじめアプリで連携させればAmazon Music以外の音楽ソースも利用できる
Apple Musicを連携させ、「tuki./晩餐歌」を聴いてみた

今回はスマホのAlexaアプリで「Apple Music」と連携させたうえで、Apple Music経由で「tuki./晩餐歌」や「Mrs.GREEN APPLE/ライラック」、「サカナクション/新宝島」、「*NSYNC/Bye Bye Bye」などを試聴。どの楽曲も明瞭度の高いボーカルが部屋に広がり、心地よく音楽に浸ることができる。「tuki./晩餐歌」ではコーラスパートが本体の少し後ろに定位しているような感覚だったのが印象的だった。

「設定→サウンド→イコライザー」で音質を微調整可能

低域もボンッボンッと小気味よく迫力も十分だが、少し膨らみ感が強すぎる印象もあった。本体の設定にイコライザー機能があるので、気になる場合は好みに調整しても良いかもしれない。筆者の場合はデフォルトから1~2段階ほどバスを下げると好みの低域感に近くなった。

7月9日に発売されたディスプレイ付きのスマートアラームクロック「Echo Spot」(右)と並べたところ

同じくディスプレイを搭載しているものの、時計や天気などの表示に特化した“スマートアラームクロック”「Echo Spot」とも聴き比べてみた。Eco Spotは1.73インチのシングルドライバー仕様で、こちらもクリアなボーカルを楽しめるが、音の広がりや低域のパワフルさは、やはりEcho Show 8(第3世代)のほうが上手。リビングなど広い部屋で音楽を楽しむなら、Echo Show 8(第3世代)のほうがいいだろう。

また音の明瞭度が上がったことで、音楽だけでなく、ふだんのアレクサの受け答え、ニュースの読み上げなどもさらにクリアで聴き取りやすくなった。

映像もチェック

「Echo Show 8(第3世代)」ではPrime VideoやNetflix、ブラウザ経由でYouTube、TikTokなどを視聴可能

せっかくなのでPrime VideoやYouTubeなど映像コンテンツもチェックしてみた。画面サイズは8インチと比較的大きめで、サウンドもパワフルなので1時間程度のゲーム実況や短めの映画なら楽しめると感じた。

YouTubeもサクサクと楽しめた

オクタコアのSoCを内蔵し、ディスプレイの反応速度もモタつきを感じないのでスムーズに操作可能。画面が大きいのでYouTubeの全画面表示ボタンや設定ボタンなども簡単にタップできる。

筆者宅の環境では、YouTubeはフルHD解像度なら映像が途切れることなくスムーズに視聴できた。ちなみに1440pは処理が追いつかないのか、映像が止まりがちで、2160pではほぼ再生できなかった。

音質強化でさらに使いやすい1台に

コンパクトなサイズ感でリビングにある棚の空きスペースにも置きやすい

Echo Show 8(第3世代)は動画視聴も楽しめる8インチディスプレイを搭載しながら、比較的コンパクトなサイズ感(外形寸法200×106×139mm/幅×奥行き×高さ)に抑えられており、ダイニングテーブルやちょっとした棚の空きスペースに設置しやすいのが特徴。

またディスプレイがあることで、アレクサに呼びかけず、天気やニュースなどを確認できるのもEcho Showならではの魅力。今回は試さなかったが、内蔵カメラで離れた家族とビデオ通話したり、自宅に置いてペットの見守りカメラとして使うこともできる。

それでいて“空間オーディオ技術”に対応したことで、クリアなサウンドが部屋全体に広がってくれるので、BGMとして音楽を楽しめるし、迫力ある低音も相まって、ちょっとしたスキマ時間で音楽に浸ってリフレッシュすることもできる。Echo Show 8(第3世代)は音質が強化されたことで、さらに使いやすいモデルに仕上がっていた。

酒井隆文