ミニレビュー

finalの3層イヤピ「FUSION-G」を「ZE3000 SV」で使ってみた。ノイキャン向上で音も好みに

「FUSION-G」のパッケージ

finalの完全ワイヤレスイヤフォン「ZE3000 SV」をしばらく使っていて、思ったことがある。「もう少し遮音性があれば完璧なのにな」ということ。そこで思いだしたのが、同社から2024年11月に登場したイヤーピース「FUSION-G」だ。

FUSION-Gは、2種類のシリコンとフォームを組み合わせたトリプルハイブリッド構造を採用したイヤーピース。シリコンイヤーピースの軽めの装着感と、フォームイヤーピースの遮音性を合わせ持ち、音の明瞭度も上がるアイテムだ。いいとこ取りで間違いなさそうな予感はするものの、価格はちょっとお高めの4個入り3,480円だが、購入してみた。SS/S/M/L/LLの5サイズを用意する。

カラーはグレイとブラックの2色展開。今回は特徴的なシリコンとフォームの層が見やすかったグレイを選んでいる。

(写真右)後ろから見るとシリコンとフォームが層になっているのがわかる
結構柔らかい

軸の短いショートタイプで、一般的な有線イヤフォンとワイヤレスイヤフォンともに幅広い機種に使用できる。筆者が購入したのはe☆イヤホン秋葉原店だったのだが、同店舗では有線イヤフォンのコーナーで販売されていた。有線用とワイヤレス用で売場が異なることもあるので、売場は店員に訪ねた方が良さそうだ。

実店舗で購入した理由は、サイズ感を確認するため。筆者の場合、基本的にはMサイズのイヤーピースで問題ないのだが、右はたまにLサイズを使用しないと上手く入らないことがあり、MとLの間があると良いのに、と思うこともある。そしてFUSION-Gはサイズごとに4個入りなので、1サイズで合うか心配だった。そこで、イヤーピースの試用ができるe☆イヤホンに足を運んだわけだ。

売り場でFUSION-Gの意外な弱点を聞いたのだが、どうもイヤフォンにFUSION-Gを着脱し過ぎると壊れやすいらしい。その理由もあり、店員に声をかけないと試用できないようになっていた。

イヤフォンにイヤーピースを着脱する際に、覆われている部分をひっくり返してから軸の部分を取り付けると思うが、この時にシリコン部分とフォーム部分の接着面が割れてしまうようだ。なので、イヤフォンに装着しっぱなしにして使用する分には問題なさそう。

ちなみに筆者はMサイズで左右がしっかり装着できたので、Mサイズを購入した。

確実な装着感。ZE3000 SVが電車内で活躍するノイキャンイヤフォンに

ZE3000 SVに装着
ZE3000 SV付属の「TYPE E 完全ワイヤレス専用仕様」(上)と比較。見た目のサイズは異なるが、装着した時に耳元で感じるサイズ感はほぼ同じ

早速ZE3000 SVのイヤーピースを交換してみる。軸の部分はシリコンなので、シリコンイヤーピースと同じ感覚ですんなり取り付けられる。イヤーピースそのものを見てみると、フォーム部分が結構厚めで、ソニー「WF-1000XM5」のイヤーピースと似ているようにも見えるが、FUSION-Gの方が柔らかめだ。

装着する際には指で潰したりせずに、シリコンイヤーピースと同じように装着する。実際に着けてみると、しっかりと耳元にとどまっている感覚はあるが、指で潰して装着するフォームタイプのような圧迫感はない。先ほど挙げたWF-1000XM5のイヤーピースよりも少し軽めの装着感だ。

WF-1000XM5のイヤーピース(左)と似ているけども、FUSION-Gの方が柔らかい

イヤーピースだけでもしっかりと遮音される。ZE3000 SVのノイズキャンセルは、音質に影響を与えないよう控えめになっているのだが、付属のシリコンイヤーピース装着時と比べると、格段に周囲の音が気にならなくなる。

東京駅など人が多い駅構内では、ガヤガヤとしていた周囲の雑踏が「ざわざわ……」くらいに収まる。人の気配は感じられるが、声はあまり気にならなくなる。

電車内でも音楽をPixel 8aの音量メーター1/3いかない程度の音量で流しているだけで、走行音が気にならなくなる。アナウンスは何を話しているかわからないが、流れていることはわかるくらいに聴き取れるので、外音取り込みモードに切り替えて内容を確認する余裕もある。

ZE3000 SVで音の変化も聴いてみると、全体的に引き締まり、元々聴きやすいボーカルがより明瞭に感じられる。finalの3000シリーズとしては珍しく感じた量感のある低域も、ドラムのアタック音がパワフルさと、ベースの弦を鳴らしている感覚が増し、低域の音数が増えたような感覚になる。

このFUSION-G装着時の音は結構好みだ。なんなら、ZE3000 SVの付属のイヤピースがFUSION-Gでないことが不思議に思えるくらいバッチリ合っている。

4個入りとはいえ、イヤーピース1サイズで3,480円なのでちょっと気軽には買いにくいかもしれないが、ノイキャン非搭載や、ノイキャンが控えめの機種でも遮音性を確実に向上してくれる。それに圧迫感も通常のフォームタイプよりかなり抑えられているため、価格に見合った効果を提供してくれているように感じる。とくにZE3000 SVの購入を検討している人には、是非FUSION-Gを装着した音も試してほしい。

野澤佳悟