【スマホLIFE】声優と共にAV機器を操作「RZ声優リモ」
-新トレンドを予感させる“尖がった”リモコン
液晶テレビ・REGZAや、BD/DVDレコーダをタブレットやスマートフォンから操作・活用するアプリ群として、東芝が展開している「レグザAppsコネクト」。DLNAのコマンダー機能を持つ「RZ見るナビ」や、多彩なデザインが特徴のリモコンアプリ「RZアートリモコン」、録画番組の頭出し情報をタグリスト化し、ユーザー同士で共有できる「RZタグラー」など、種類は様々だ。
そんなラインナップに新登場し、話題を集めているのが「RZ声優リモ」。機能的には「RZタグラー」とほぼ同じだが、名前の通り、ボタン操作に合わせて人気声優が喋ってくれるというリモコンアプリだ。Android版の情報が6月10日に公開されると、紹介記事は10万近いPVを記録。「PlayStation Vita」の価格発表記事には届かなかったものの、週間アクセスランキングで2位を記録。ツイート数は7月4日現在で1,500ツイートに迫る勢いだ。さらに、6月28日にはiOS版も登場。こちらの記事も大きな注目を集めている。
なお、iOS版、Android版共に9月10日までの期間限定配信なので早めにダウンロードしておきたい。アプリから操作できる機種は、テレビではCELLレグザのX2/XE2シリーズ、REGZAのZG2/Z2/ZP2シリーズ。レコーダはレグザブルーレイのRD-X10/RD-BZ810/RD-BZ710/RD-BR610、レグザハイビジョンレコーダのRD-Z300と、その他の「ネットdeナビ」搭載RDシリーズ。今回はiOS版をiPhone 3GSにインストール。レコーダの「RD-A300」を操作してみた。
起動した画面。操作したい機器を選ぶ。持っていない場合もデモモードでリモコン操作を体験する事はできる | RD-A300を操作するため、設定しているところ。A300のネットワーク設定であらかじめ入力してあるIDやパスワードを「RZ声優リモ」から入力すると、操作できるようになる |
セットアップは簡単で、iPhoneとレコーダを同じLANで接続。アプリを起動し、機器登録に進むと「RD-A300」が表示されているので、それを登録するれば操作できるようになる。デモモードも備えているので、対応レコーダを持っていなくても声優の声を楽しむ事は可能だ。起用声優は以下の通り。ざっくり言うと、アニメ「けいおん!」の部員(1人足りない気がするが)&妹+内田さんという印象。セリフの内容、喋り方も「けいおん!」を連想させるものが多いが、日笠さんは「だぞ」など、語尾が素っ気無いセリフが多く、秋山澪と言うよりも、個人的にはIS <インフィニット・ストラトス>の篠ノ之箒を連想させる。
- 豊崎愛生
(「けいおん!」平沢唯役/「花咲くいろは」押水菜子役など) - 日笠陽子
(「けいおん!」秋山澪役/IS <インフィニット・ストラトス>」篠ノ之箒役など) - 佐藤聡美
(「けいおん!」田井中律役/「FAIRY TAIL」ウェンディ・マーベル役など) - 竹達彩奈
(「けいおん!」中野梓役/「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」高坂桐乃役など) - 米澤円
(「けいおん!」平沢憂役/「異世界の聖機師物語」ラシャラ・アース二十八世役など) - 内田真礼
(「ぎゃる☆がん」桜咲薫子役/「AKIBA'S TRIP」北田瀬那役など)
アプリの中身は良い意味でシンプル。ボタンを押すと、その動作に関連したセリフを声優が喋ってくれる。例えば停止ボタンを押すと「うふ。ちょっと休憩して お茶でも飲んじゃおっか?」(豊崎さん)と流れたり、ポーズボタンで「なに止めてるんだよっ このすけべ!」(声:佐藤さん)などと流れる。機器を選択ボタンのように「おいーす! 今日もいろいろ見てみよう」(豊崎さん)、「よし、起動するぞ」(日笠さん)と、押すたびにランダムで変化するボタンもある。その昔、Windowsの起動音などを全部声優の声にして悦に入った事があるが、その感覚に近く、レコーダを自分なりにカスタマイズした気分に浸れる。
カーソルキーを備えたりメインリモコンモード | 画面を横にスワイプすると、別のリモコンに切り替わる | アプリ使用中に操作画面が自動ロックしないように設定もできる |
操作の反応速度はネットワーク経由でも素早く、付属リモコン操作との違和感は少ない。カーソルキーを操作するだけで「右だね」、「下だぜ」、「左って、英語で確かレフトだったよね?」と言った具合に色々と喋ってくれる。連打するとその数だけ声が重なる。「見るナビ」から再生したい番組を選ぶだけで大騒ぎだ。可愛い女の子達に囲まれワイワイ騒がれている感じで、一人きりでテレビの前に座っている寂しさを忘れる。だが、調子に乗って連打していると次第にトリップしてきて、そもそも自分が何の操作をしようとしていたのか忘れてしまう。恐ろしい破壊力を持ったアプリだ。
ジェスチャーリモコンモードの画面。指でなぞるだけで操作できる | テンキーを備えたチューナーリモコン画面 | 機能リモコン画面 |
操作画面はジェスチャー操作が可能な「ジェスチャーリモコンモード」、テンキーを備えたテレビ視聴向け「チューナーリモコン」、レコーダ操作に向いたカーソルキーを備えた「メインリモコン」、再生/一時停止やシークバーを備え、録画番組やBD/DVDソフト再生に向いた「再生リモコン」、テレビのボリューム&チャンネルUP/DOWNや、ドライブ切り替え、XDE機能のON/OFFなど細かい機能を備える「機能リモコン」の5種類。スワイプ操作で瞬時に切り替えられる。
iPhoneの画面サイズは付属のリモコンと比べて小さいが、逆にボタンが絞り込まれているのでわかりやすく、使いやすい。画面の切り替えもスムーズなので、ボタンを探すストレスも少ない。「声優が喋る」というと、オマケアプリのように思えてしまうが、実用性は高い。
また、付属リモコンには無い機能としてジェスチャーリモコンが便利。タッチパネルを直感的に指でなぞるだけで様々な操作が行なえるモードで、タップすれば再生/一時停止、ダブルタップで停止、上にフリックでボリュームアップ、右にフリックでワンタッチスキップといった具合。おおざっぱな指の動きで操作できるため、iPhoneの画面を見ずに操作できて快適だ。ただし、RDシリーズで使っている場合、ボリュームのUP/DOWNはテレビ側で行なうため、対応したテレビが必要になる。
アプリリモコンならではの機能として、「タグリスト」もある。設定画面から「HDEX」のアカウントを取得すると利用可能になるもので、録画番組に対して、他のユーザーが作成した頭出しリストを取得し、それをもとに番組の効率的な再生ができるというもの。もちろんユーザー自身がタグリストを作り、公開し、シェアする事も可能だ。また「リタグ」と呼ばれる機能で、頭出しタグにユーザーがコメントを付与できる。気に入ったシーンに感想を書いたり、気になるシーンに自分の考えを書きこみ、誰かと議論するといったコミュニケーションも可能になる。レコーダの可能性を感じさせてくれる機能だ。声優の声が聞きたくてダウンロードした人が、タグリスト機能と出会うキッカケにもなるだろう。
再生リモコン顔面。中央上部にある「タグリスト一覧」から、タグ情報にアクセスする | 録画した番組に対して、他のユーザーがタグリストを公開している場合は、それを読み込める | タグリストの頭出し情報をもとにした再生が可能 | タグがついたシーンに対して、コミュニケーションをとることもできる |
色々触っているうちに、ボタン以外の場所を触っても声がする“隠し音声”を発見した。「機能リモコン」の隙間を触ると「アナログ?」(日笠さん)、「こすりこすり、ふふっ、くすぐったいよ」(豊崎さん)、メインリモコンの隅を触ると「見つけちゃいましたかー」(竹達さん)、「ここまで探した君に特別な情報をあげよう」(豊崎さん)などの声が聞ける。こうした遊び要素も楽しい。本体をシェイクしてみても面白い声が聞けるだろう。
それにしても、リモコンをタッチしながらニヤケる己の姿を客観視すると、ある種の境地に至った感がある。私のようにレコーダの録画済みリストがアニメで埋まっている人にはたまらないアプリと言えそうだ。このアプリが使いたいがために「次は東芝のレコーダにするか」とすら思える。アニメ&声優ファンでない人は首をかしげるかもしれないが、重度のアニメファンがアニメに賭ける熱意は理屈ではなく、脳から分泌される汁のようなものなので、抗うのは難しいのだ。
ボタンを押すと声優の声が出るAV機器としては、かつてレビューした「ツンデレワンセグテレビ」を思い出す。あの製品のように、使用頻度で反応が変化するゲーム的な要素が「RZ声優リモ」でも欲しいところ。ツンデレキャラクターが登場し、彼女を撫でてご機嫌をとらないと録画番組が再生されないとか、リモコンとしては失格だが、より遊び心にあふれたアプリにも期待したい。マス化が進む薄型テレビ/レコーダだが、良い意味でぶっ飛んだ、尖がった試みがマニアに受け入れられ、そこから新しい流れが生まれる事もある。そんなパワーを感じさせてくれるアプリだ。
【RZ声優リモ】 (App Storeで見る) (Android marketで見る) | |
発売元 | 東芝 |
対応機器 | iPhone/iPod touch/iPad |
OS | iOS 3.1.3以降 Android 1.6以上 |
バージョン (公開日:iOS版) (公開日:Android版) | version 1.0.0 (2011年6月28日) (2011年6月10日) |
価格 | 無料 |
(2011年 7月 5日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]