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ついに小型化し、Ultra HD Blu-ray対応。「Xbox One S」に迫る

 今年のE3レポートは、まず、新ハードを発表したマイクロソフトの話題から始めたい。とはいうものの、マイクロソフトのプレスカンファレンスの時間帯はサンフランシスコでWWDCを取材中で参加できなかった。すでに新ハードウェアの報道もあるし、僚誌GAME Watchのレポートもある。

E3会場のマイクロソフトブース。あくまでタイトルのアピールが中心

 ここでは、ブースに展示された機材の写真と、会場で得た情報を加味してお伝えしたい。

大幅に小型化、縦置きにも対応

 製品として明らかになっているのは、Xbox Oneのスリム版といえる「Xbox One S」と、将来に向けたVR対応機である「Project Scorpio」の2つ。後者についてはプレスカンファレンスで存在が公表されたものの、ブースにはハードウェアの展示はない。Xbox One Sは発売も近いことから、ハードウェアが実際に展示された。ただし、現地に説明員もおらず、単に展示されていただけである。

Xbox One S。縦置き・コンパクトになり、印象がかなりPS4に近くなった。
Xbox One S正面。ドライブはUHD BD対応に変わったが、見た目にはそれとはわからない

 Xbox One Sの第一印象は「やっとこのサイズになった」という印象。特にXbox Oneは、縦置きできない上に巨大なACアダプターもあったため、ライバルであるPlayStation 4に比べ大柄でかさばる印象は否めなかった。しかしXbox One Sは、ボディ全体がぐっと小さくなり、縦置きもできるようになり、なにより、ついに電源が内蔵になった。ようやく追いついた、ともいえるが、改善されたことに変わりはなく、前向きに評価したい。

 ここまでの小型化は、設計変更だけでなくSoCの低消費電力化が重要なので、GLOBAL FOUNDRIESの14nm FinFETプロセスで製造されているのでは、と予想できる。

上面(縦置き時は右側面)。エアフローを確保するためと思われる、大きなファンが目立つ
下面(縦置き時は左側面)。こちらはごくシンプル

 テレビ系機能のためのHDMI Inがなくなるのでは……との噂もあったが、きちんとそのままで、Xbox Oneから機能的に落ちたところは殆ど無い。Kinect専用端子がなくなったが、別途アダプターを介し、USB端子に接続することでそのまま使えるという。

 ただし、アダプターが必要になったということは、Xbox OneにおいてKinectの利用は後退気味である、とみて間違いなさそうだ。Kinectの技術はHololensにかなりフィードバックされているし、ゲームとしての「体感系」は退潮し、VRに統合されていく流れだ。そう考えると、Xbox One世代にとっての重要度は落ちた……といえる。

背面。上から、Ethernet、光出力、IRブラスター、USB×2、HDMIのINとOUTがあり、ACアダプターではなく、本体接続型がメガネ型の電源ケーブルで直結する

4Kは動画+HDRにのみ対応。完全刷新は「Project Scorpio」向けか

 ハードウェアが小型化されただけでなく、強化されたこともXbox One Sの特徴だ。ポイントは「4K」、ただし動画の4Kである。

 4K動画とHDRに対応していることから。Xbox One Sでは搭載されているHMDIインターフェースの世代がHDMI 2.0a、もしくは2.0b世代へと更新されているようだ。

 動画での4K、という点が重要で、Xbox One Sでは、グラフィックのパフォーマンスそのものには変化がない。すなわち、ゲームのパフォーマンスは現行モデルと同じである。

 ただし、HDRレンダリングについては、もともとGPU負荷がほとんどないので、ソフト側が対応すれば問題なく実現できる。事実、「Forza Horizon 3」はHDR対応が行なわれており、Xbox One SとのセットではHDRで表現される。デモブースでも、他のタイトルが現行モデルを使う一方、Forza Horizon 3ではXbox One Sが使われていた。

「Forza Horizon 3」のデモにはXbox One Sが使われていた

 また、映像面では、Netflixなどの4K+HDR動画はもちろん、Ultra HD Blu-rayにも対応する点が見逃せない。Ultra HD Blu-rayは3層100GBのメディアを使うため、ドライブがBDXL対応でなくてはいけない。これもカバーされるようだ。

 発表やニュースリリースを確認する限り、Ultra HD Blu-rayへの言及が薄いようだ。 マイクロソフトの製品担当者が捕まらなかったので詳しいことは不明だが、現地で聞く限り、(言及が薄いことに)「特に深い意味はないと思う」とのこと。アメリカでディスクビジネスへの期待が弱い、ということかもしれない。

 残念ながらXbox One Sの発売時期は、日本では「年内予定」としか公表されておらず、欧米よりも遅れての登場となる。E3でも詳しい取材は難しそうである。

 マイクロソフトは、この先に「Project Scorpio」を2017年末発売に向けて準備中だ。これは、Xbox Oneの初期設計ではボトルネックとなったGPUやメモリー帯域といった部分に手を入れ、よりパフォーマンスが出せるものになるようである。しかし、Xbox One Sはあくまで「小型化+HDMIの世代刷新+ドライブの世代刷新」にとどまり、ゲームプラットフォームとしては「Xbox Oneそのまま」である。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
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