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マランツ、新世代DACと新パワーアンプで進化した中級AVアンプ。薄型「CINEMA 70s SERIES 2」、「CINEMA 60 SERIES 2」

7.2chでスリムデザインの「CINEMA 70s SERIES 2」

マランツは、ミドルクラス・AVアンプ2機種を10月30日に発売す。価格は、7.2chでスリムデザインの「CINEMA 70s SERIES 2」が187,000円、「CINEMA 60 SERIES 2」が242,000円。どちらのモデルもカラーはブラックのみとなる。

「CINEMA 60 SERIES 2」

CINEMA 70s SERIES 2とCINEMA 60 SERIES 2の大きな違いは、プリアンプ部分。「プリアンプ回路をおごれば、より音が充実する」をポリシーとするマランツとして、上位機のCINEMA 60 SERIES 2のプリ部に、Hi-Fiコンポで採用している独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA2」を投入した。

ワイドレンジ、ハイスピードを実現する回路設計のノウハウを用いており、広帯域にわたるフラットな周波数特性とハイスルーレートにより、ワイドバンド化するサウンドトラックやハイレゾ音源も忠実に再生できるという。

CINEMA 60 SERIES 2のプリ部には、「HDAM-SA2」を投入

また、HDMI端子の数に違いがあり、CINEMA 70s SERIES 2は6入力1出力だが、CINEMA 60 SERIES 2は6入力2出力となる。

CINEMA 70s SERIES 2とCINEMA 60 SERIES 2の主な違い

2機種に共通する特徴

CINEMA 70s SERIES 2、CINEMA 60 SERIES 2のどちらにも、上位機「CINEMA 40」で培ったパワーアンプ回路を、このクラスで初めて投入した。

CINEMA 70s SERIES 2の内部
CINEMA 60 SERIES 2の内部

パワーアンプ回路は、パーツ一つ一つの選定や回路設計の自由度が高いフルディスクリート構成。シンプルで素直な特性が得られるAB級のリニアパワーアンプ回路になっており、「シンプルであるがゆえに、その性能を確保するのがとても難しい」という。

そこで、カレントミラー回路と定電流源回路を組み合わせることでこの課題を克服。安定した性能と高音質を両立したリニアパワーアンプ回路を完成させ、様々なスピーカーに対する優れた駆動能力と、ノイズや歪みの大幅な低減も実現。

CINEMA 60 SERIES 2では、肉厚なアルミ押し出し材を使用したヒートシンクにパワーアンプ基板を取り付けることで放熱性に優れ、振動にも強い構造を実現。実用最大出力は200W(6Ω、1kHz、THD 10%、1ch駆動)で、低能率なスピーカーも余裕をもって駆動できるという。

接続するスピーカーのインピーダンスは4~16Ωに対応。どちらのモデルも、サラウンドバックおよびハイトスピーカーを使用しない場合には、フロントスピーカーをバイアンプ接続して駆動力をアップできる。2組のフロントスピーカーを切り替えて使用することも可能。

DACチップは、様々な条件を比較検討した結果、シーラスロジックの8ch対応DACを搭載。最新世代の32bit DACとなる。

DACの電源回路、クロック回路などに、主に電源のデカップリングコンデンサーを採用。後段のアナログオーディオ信号のI/V変換回路、合成回路には薄膜抵抗、カップリングコンデンサーなどを投入。いずれも、マランツのサウンドマスターである尾形好宣氏が選定したもの。さらに、マランツのCDプレーヤーなどと同様に、デジタルフィルターの切り替え機能を搭載する

尾形氏は、新たなDACチップについて、「新しいチャレンジ。チップを評価した時に可能性を感じ、カスタムパーツと組み合わせる事で、最終的に納得できる音に仕上がった」という。

マランツのサウンドマスターである尾形好宣氏

HDMI端子から入力されるデジタルオーディオ信号に対するジッターリダクション機能を搭載。すべてのHDMI入力ソースに対して作用し、D/A変換の精度を向上。マスタークロックに含まれるジッターを低減することで、より正確なタイミングでのD/A変換を可能にする。

クリーンで安定した電源供給のために、アナログオーディオ回路用に専用の電源トランスを搭載し、デジタル回路との相互干渉を排除。パワーアンプ回路とプリアンプ回路のトランスの巻き線を独立させ、回路間の干渉も排除した。

ブロックコンデンサーには、各モデル向けに、専用開発したカスタムコンデンサーを採用。CINEMA 70S SERIES 2用には6,800μF×2、CINEMA 60 SERIES 2用には10,000μF×2のコンデンサーを採用。尾形氏とコンデンサーメーカーが試作を繰り返して作り上げたカスタム品となる。

オブジェクトオーディオのDolby Atmos、DTS:Xに対応。サラウンドバックを使用する7.1chまたは5.1chに1組のハイトスピーカーを加えた5.1.2chまでのシステム構築が可能。2系統のサブウーファーを備え、同じ信号が出力される。

ソースがハイトスピーカー信号を含まない従来のチャンネルベースのコンテンツであっても「Dolby Surround」や「Neural:X」で3Dサウンドにアップミックスして立体的な3Dサウンドを再生可能。

Dolby Atmos Height Virtualizer、DTS Virtual:Xも利用でき、ハイトスピーカーやサラウンドスピーカーを設置していないステレオ、5.1ch、7.1chなどの環境においても、高さ方向を含むあらゆる方向からのサウンドに包み込まれるイマーシブオーディオ体験が可能。

また、再生中の各スピーカーの音量をリアルタイムで画面上に表示する「チャンネル・レベル・モニタリング機能」を搭載。どのスピーカーから音が出ているのかを視覚的に確認できる。

再生中の各スピーカーの音量をリアルタイムで画面上に表示する「チャンネル・レベル・モニタリング機能」

専用マイクによるオートセットアップ機能「Audyssey MultEQ XT」も搭載。最大8ポイントでの測定結果をもとに、スピーカーの距離、レベル、およびサブウーファーのクロスオーバー周波数を最適な状態に自動設定してくれる。

接続されたスピーカーとリスニングルームの音響特性を測定し、時間軸と周波数特性の両方を補正することで、ルームアコースティックを最適化。かんたんな操作でクリアな定位、シームレスで流れるようなサラウンド効果を楽しめる。セットアップマイクと、それを取り付けるためのマイクスタンドも付属する。

HDR信号のパススルーに対応。HDR10、Dolby Vision、HLGに加えて、HDR10+およびDynamic HDRにも対応。HDMI出力端子(TV1)は、ARCおよびeARCに対応。新たに1440pの映像信号の入出力にも対応。AMD FreeSyncにも対応する。

HEOSのネットワークオーディオ機能も搭載。Amazon Music HD、AWA、Deezer HiFi、Qobuz、Spotify、SoundCloudなど、幅広い音楽ストリーミングサービスをサポート。Roon Ready対応。NASやPCなどのミュージックサーバーやUSBメモリーに保存したDSDファイル、ハイレゾ音源の再生も可能。DSDは5.6MHzまで、PCM系は192kHz/24bitまで。

AirPlay 2とBluetoothにも対応。Bluetooth送信機能も備えており、AVアンプで再生している音を、ワイヤレスヘッドフォンに転送できる。MM対応のPhono入力も備えた。

進化したインシュレーターは、マランツのフラッグシップHi-Fi「10シリーズ」に採用したインシュレーターから着想を得た、新しいフェルト素材をインシュレーターを採用。ラックを通して伝わる振動による影響をコントロールする。

キャビネットの固定には、AV 10やAMP 10でも使用する音質を追求した銅メッキビスを採用。サウンドマスターの尾形氏は、「以前、CINEMA 30開発時に、銅メッキビスを使うことで、音がガラッと変わった。その音を聴いてしまったからには、コストは上昇するけれども、使わないわけにはいかない。今回はミドルクラスのモデルだが、音に関しては妥協できないので、全面的に採用した」とのこと。

従来モデルの側面
CINEMA 60 SERIES 2の側面。銅メッキビスに変わっているのがわかる

インシュレーターは、フラッグシップHi-Fiコンポ「10シリーズ」に採用されたインシュレーターから着想を得た、新しいフェルト素材をインシュレーターを採用。ラックを通して伝わる振動による影響をコントロール。付属リモコンはバックライト付き。

CINEMA 70s SERIES 2の背面

CINEMA 70s SERIES 2の搭載パワーアンプ数は7chで、定格出力は50W + 50W(8Ω、20Hz ~20kHz、THD 0.08%)、実用最大出力は100W(6Ω、1kHz、THD 10%、1ch駆動、JEITA)、スピーカーの適合インピーダンスは4~16Ω。

HDMI端子は入力×6(8K対応入力×3)、出力×1(8K対応)。音声入力端子はアナログ×3、Phono(MM)×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1。音声出力は7.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×1、ヘッドフォン×1。ネットワーク×1、USB-A(フロント)×1、USB-A(リア、給電専用 5V/1.5A)×1なども備える。

最大外形寸法は442×384×109mm(アンテナを寝かせた場合/幅×奥行き×高さ)で、重量は8.7kg。

CINEMA 60 SERIES 2の背面

CINEMA 60 SERIES 2の搭載パワーアンプ数は7chで、定格出力は100W + 100W(8Ω、20Hz ~20kHz、THD 0.08%)、実用最大出力は200W(6Ω、1kHz、THD 10%、1ch駆動、JEITA)、スピーカーの適合インピーダンスは4~16Ω。

HDMI端子は入力×6(8K対応入力×3)、出力×2(8K対応出力×2)。音声入力端子はアナログ×4、Phono(MM)×1、光デジタル×2、同軸デジタル×2。音声出力は7.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×1、ヘッドフォン×1。ネットワーク×1、USB-A(フロント)×1、USB-A(リア、給電専用 5V/1.5A)×1なども備える。

最大外形寸法は442×354×165mm(アンテナを寝かせた場合/幅×奥行き×高さ)で、重量は10.9kg。

音を聴いてみる

製品発表会にて、2モデルを試聴したので、ファーストインプレッションをお届けする。

CINEMA 70s SERIES 2

まずは薄型のCINEMA 70s SERIES 2から。従来モデルのCINEMA 70sと、CINEMA 70s SERIES 2の進化をチェックする。ソースとして、マランツのCDプレーヤー「CD 70」を用意。そこから同軸デジタルで出力し、CINEMA 70sとCINEMA 70s SERIES 2を聴き比べた。アンプの進化と共に、DACの違いも確認した。

まず、ジャズ・シンガーのマレン・モーテンセン「Where Would I Be Without You」を再生。

旧モデルを聴いた後で、CINEMA 70s SERIES 2に切り替える。どちらも薄型筐体で、デザイン的に大きな違いはないのだが、出てくる音はまるで違う。激変と言っていいレベルだ。

まずSN比がよくなっており、CINEMA 70s SERIES 2の方が無音の部分がより静かで、その静かな空間からズバッと音が出てくる様子も鮮烈だ。音のクリアさ、音場にスッと立ち上がるボーカルの実在感もCINEMA 70s SERIES 2の方がリアルだ。新たに採用されたDACと、その使いこなしの効果が出ていると感じる。

ピアノの左手や、ドラムの低音も、CINEMA 70s SERIES 2の方が押し出しがパワフル。それでいて、描写される空間もCINEMA 70s SERIES 2の方が広く、横方向、奥行き方向のどちらも、より奥まで音の広がる余韻が見通せる。パワーアンプ部分の進化を実感するサウンドだ。

CINEMA 70s SERIES 2

サラウンドも聴いてみよう。フロアが5ch、天井に2ch、サブウーファー×2台の5.2.2環境を、CINEMA 70s SERIES 2で駆動する。

大野雄二の80歳記念ライブを収録したBlu-ray「大野雄二ベスト・ヒット・ライブ ~ルパンミュージックの原点~」から、「ルパン三世のテーマ'78 Vocal:松崎しげる」を再生する。

先ほどの2ch再生でも、SN比の良さ、音場の広さを実感できたが、サラウンド再生で、その進化をより実感できる。演奏の音はもちろん、会場の歓声・拍手からも、ライブ会場の広大さが伝わる。

ステージ上のトランペットやコーラスなどの音像も、定位がクリアで、細かな音の違いがよくわかる。それでいて、神経質なサウンドになっておらず、松崎しげるの声の深さや、歌い上げた時の、伸びやかな声の魅力が気持ちよく聴ける。

薄型AVアンプと聞くと、どうしても「音はそれほど広がらず、音場がこぢんまりとするのでは」とか「低音は弱いのでは」と心配してしまうが、そうした予想を、気持ちよく裏切ってくれるのがCINEMA 70s SERIES 2。従来モデルからの進化幅も大きく、“薄型でも本格サウンドのAVアンプ”として要注目モデルと感じる。

CINEMA 60 SERIES 2

CINEMA 70s SERIES 2を聴いていると、「もうこの薄型AVアンプで十分なのでは」と思えてくるが、上位機の「CINEMA 60 SERIES 2」に切り替えると、「ああ……やっぱり上には上がいるな」という音になる。

「大野雄二ベスト・ヒット・ライブ ~ルパンミュージックの原点~」の音場がより広くなるだけでなく、1つ1つの音が、CINEMA 70s SERIES 2よりもハイスピードになり、鮮烈な鋭さを感じるようになる。これは明らかに、HDAM-SA2を使ったプリアンプ部分の良さだろう。

ブラッド・ピット主演の「F1/エフワン」から、序盤のデイトナ24時間参戦シーンを再生すると、上空で炸裂する花火の高さ、会場に響き渡るアナウンサーの声などから、レース会場の広大さが伝わってきて、自分が屋外にワープしたような気分になる。

レースシーンでは、高回転エンジンの咆哮がトランジェント良く描写され、心拍数が上がっていく。エンジンの音と、ドライバーの息遣い、歓声が押し寄せる中においても、タイヤが砂粒を巻き上げた「シャッ」という微細な音まで聴き取れる。迫ってくるライバルカーの存在も、音の移動感で表現され、イマーシブオーディオの醍醐味を味わうことができた。