小寺信良の週刊 Electric Zooma!

第1239回

Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語

スリム+新リモコン、Amazon「Fire TV Stick 4K」

9月30日より発売が開始された新「Fire TV Stick 4K」

ストリーミング視聴の標準機

Amazon「Fire TV Stick」シリーズは、Amazon Prime Videoにとどまらず、Netflix、Hulu、YouTubeなどのストリーミングサービスを視聴するためのデバイスとして、日本では標準機と言っていいポジションにある。過去にはボックス型の製品もあったが、現在主力モデルはスティック型となっている。

そんな定番シリーズだが、今年リニューアル版の販売が開始された。4月にはエントリーモデルの「Fire TV Stick HD」が、9月には「Fire TV Stick 4K」が発売されている。今回はこのFire TV Stick 4Kをお借りできたので、ご紹介したい。

これまでOSはAndroidをベースにした「Fire OS」だったが、昨年秋に発売された「Fire TV Stick 4K Select」以降、新たに出たモデルはAmazonが独自に開発したLinuxベースの軽量OS「Vega OS」に変更された。

本体はFire TV Stick HDで採用されたスリムデザインを踏襲し、リモコンのデザインも一新されている。販売価格も11,980円とリーズナブルだ。10月16日から19日までの「プライム感謝祭」では半額の5,980円で販売されていた。残念ながらこの記事が載る頃には感謝祭はすでに終わってしまっているが、年末に向けてのセールでまた安くなる可能性もあるだろう。

4K版のエントリーモデルとも言える新Fire Stick 4Kを、さっそく試してみよう。

使い勝手が向上したリモコン

Fire TV Stickシリーズは名前が同じで「世代」で分けているため、現行商品や最新モデルが分かりにくくなっている。ここではいったん、現在も入手できるシリーズをまとめてみる。

製品名発売年・世代最大解像度OS
Fire TV Stick 4K Max2023年・第2世代4KFire OS 8
Fire TV Stick 4K Plus2025年4KFire OS 8
Fire TV Stick 4K Select2025年4KVega OS 1.1
Fire TV Stick HD2026年・第2世代フルHDVega OS 1.1
Fire TV Stick 4K2026年・第3世代4KVega OS 2.0

なおOSのバージョンは発売時点のもので、そこからバージョンアップできるかは機種によって異なる。

特にややこしいのが、2025年のSelectとPlusの位置付けである。Fire TV Stick 4K Selectは前段でも述べた通り、ここから新OSとなっており、ある意味「Vega OS」のお披露目モデルである。一方Fire TV Stick 4K Plusは、2023年発売の第2世代Fire TV Stick 4Kを改称して販売継続されたものだ。

よって2025年時点では、4K対応入門機が4K Select、中級機が4K Plus、上位モデルが4K Maxというラインナップだった。今回の第3世代Fire TV Stick 4Kの投入により、機能的に近いFire TV Stick 4K Selectは終売になる可能性が高いと思われる。なお機能が高いFire TV Stick 4K MaxとFire TV Stick 4K Plusは、旧OSながらそれに代わるモデルがないので、しばらくは現役だろう。

筆者の手元には、個人的に購入した2023年第2世代の「Fire TV Stick 4K Max」がある。これと比較しながら、新モデルのポイントを押さえていこう。

まず本体だが、過去のStickはHDMI直結と言いながら横幅があり、テレビ背面のHDMI端子に挿すと、隣の端子には何も挿せなくなってしまうというデメリットがあった。これを解消するために、短いHDMIの延長ケーブルが付属していた。

Fire TV Stick 4K Max(左)よりだいぶスリムになった
4K Max付属のHDMI延長ケーブル

今年からはボディをスリムにして、端子の干渉がないように工夫されている。長さも実測で7.5mmほど短くなっている。とはいえ全長は9cmちょっとあるので、壁際にくっつけているテレビに差し込む場合は、入らないこともあるだろう。

給電端子は、2026年のFire TV Stick HD以降はUSB-C端子となっている。それ以前はMicro-USBだった。Micro-USB時代は電源用にACアダプタが付属していたが、今年のモデル以降はこれが廃止され、テレビのUSB端子から電源を取るためのUSB-C to USB-Aの短いケーブルが付属するようになった。

給電端子は Micro-USBからUSB-Cへ変更
新モデルに付属の給電ケーブル

旧モデルは付属のACアダプタでの給電が前提で、テレビのUSB端子では電力が足りないことが多かった。今年のモデルは、テレビのUSB端子からの給電を前提に設計されている。

リモコンのデザインは一新された。サイズ感は同じだが、背面にあったくぼみがなくなり、前へ向かってすこしすぼまっている。ちょうど力が加わる十字ボタンの下を薄くすることで操作しやすくしたもので、配慮としては旧リモコンのくぼみと同じ意味だろう。

旧リモコン(左)からデザインを一新
新リモコン(右)は先端が絞り込まれたデザイン

十字キーは、以前はリングが出っ張っているスタイルだったが、今回は中央に向かってすり鉢型に凹んだデザインとなった。使用感は変わらないが、印象としてはシャープになる。

ホームボタンが目立つメタリックオレンジに変更された。またマイクボタンもAlexaアイコンから一般的なマイクアイコンに変更された。ただ機能的には同じなので、わかりやすくしたということだろう。

新しく追加されたボタンとしては、右側の上下ボタンがある。これはライブTV機能を使っている際にチャンネル切り替えができる。テレビのチャンネルが変えられるわけではない。

ボタンはだいぶ増えた

真ん中には、カスタムボタンが追加された。昨今ストリーミングサービス対応プロジェクタのリモコンなどはカスタムボタンを付ける傾向があり、Fire TV Stickは出遅れ感があったが、それを解消した。

設定ボタンが新設されたのも新しいところだ。ただフル機能にアクセスできるわけではなく、このボタン専用の限定された設定メニューが開く仕様となっている。

ショートカットボタンは、世代によって変更されがちなところだ。MAXとの差としては、DAZNが廃止されてYouTubeとなり、Amazon Musicが廃止されてTVerボタンとなっている。カスタムボタンを加えれば、5つのサービスにダイレクトに飛べるようになった。

エントリーなりの差がある機能

では実際に視聴してみよう。ホームのUIに関しては、OSが違うからといって別画面になっているわけでもなく、基本的には同じ画面である。最上位の4K Maxと比較すると、スクロールなどのレスポンスは飛ぶようにキビキビというわけではないが、普通に操作して困らない程度のレスポンスは確保している。

新4Kと4K Maxのスピード差

この辺りはOSの違いもさることながら、CPUの性能差もある。ちなみにCPUは新4KがCortex-A55で最大1.7GHz×4なのに対し、Fire TV Stick 4K MaxはCortex-A55で最大2.0GHz×4となっている。

映像作品の視聴に関しては、4K作品の早送り/巻き戻しなどのレスポンスも良好で、操作に不満はないだろう。一方で表示能力という点では、4K Maxに劣る点もある。4K MaxではHDR10/HDR10+/HLG/Dolby Visionに対応するが、4K(2026)はHDR10/HDR10+/HLGとなっており、Dolby Visionに対応しない。

今回はライブTV用のチャンネルボタンも増えたので、ライブTVを設定してみたが、筆者の環境ではAmazon Prime VideoとHuluしかライブTVに登録できなかった。4K MaxではABEMAに対応していたのでかなりのチャンネルがあったのだが、4K(2026)では登録できなかった。ただしABEMAが見られないわけではなく、ホームメニューからサービスに入ればライブも視聴できる。ただFire TVの「ライブTV」に登録できないだけである。

新4KではライブTVに登録できるチャンネルが少ない?
4K MaxではABEMAも登録できた

2chしか登録されてない中で、リモコンのチャンネルボタンを操作してみたが、動作しなかった。この辺りはまだアップデート待ちなのかもしれない。

また音声では、Dolby Atmosへの対応にも違いがある。4K Maxは、Dolby MATへの変換とDolby TrueHD(Atmos)のパススルー対応となっているが、新4K(2026)のDolby Atmosは、HDMIオーディオパススルーのみとなっている。

具体的には、4K Maxではストリーミング配信のDolby Atmos(Dolby Digital Plus)が来た場合、圧縮音声をデコードし、PCM音声+Atmos情報(Dolby MAT)としてAVアンプやサウンドバー等へ送ることができる。Dolby TrueHDのAtmosは、そのままパススルーする。4K Maxとサウンドバーの間にテレビを挟む場合は、この機能があった方が確実だ。

一方4K(2026)はDolby Atmosの信号を無変換でそのまま出すだけなので、テレビ側がDolby Atmosのパススルーに対応していないと、サウンドバーまでDolby Atmosの状態で届かない。よって接続としては、4K(2026) → サウンドバー(HDMI入力付き) → テレビ という接続にせざるを得ない。

もう一つは、Alexaホームシアターへの対応だ。4K Maxは対応しているので、例えばEcho Studioといった空間オーディオ対応Echoを2台組み合わせてホームシアターを構成している場合でも、問題なく楽しめる。

一方4K(2026)は Alexaホームシアターに非対応なので、Echoシリーズに音を送ることができない。Bluetooth接続であれば2ch再生は可能だが、それはべつにEchoシリーズじゃなくてもいいので、組み合わせとしてはもったいない。

オーディオ再生環境を空間オーディオにしたい場合は、かなりセッティングのバリエーションが限られる。この辺りがエントリーモデルという意味だろう。

総論

Fire TV Stick 4K(第3世代・2026年)は、リモコンもOSも刷新された新4K端末という位置づけだ。価格も通常価格で11,980円とかなり抑えられている。ただFire TV Stick 4K Selectより1,000円高く、Fire TV Stick 4K Plusより1,000円安いという値付けは、ちょっと微妙な気がする。

製品通常価格
Fire TV Stick HD(第2世代・2026年)9,980円
Fire TV Stick 4K Select(2025年)10,980円
Fire TV Stick 4K(第3世代・2026年)11,980円
Fire TV Stick 4K Plus12,980円
Fire TV Stick 4K Max(第2世代)15,139円

今から4K Selectを買う意義はないが、Dolby Atmosの扱いという点では4K Plusは4K Maxと同じ仕様なので、1,000円しか変わらないならそっちを買った方がシステムとしては組みやすいとは思う。ただOSが古いので、これもいずれ廃盤となり、Vega OS対応のミドルレンジおよびハイエンド製品が来年あたり登場するというシナリオもなんとなく見えてくる。

これまで4K対応製品を持っていない、オーディオにはこだわらないので入門したい、というのであれば買いだが、将来空間オーディオにシステムアップしたいという計画があるなら、現行の上位モデルを買うか、次期モデルまで待った方が無難だろう。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「小寺・西田のマンデーランチビュッフェ」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。