■ ちょっと違った層へ
従来のDIGAラインナップでも機能を絞った低価格モデルは存在したが、今回はがらっとデザインも変えて、従来のレコーダらしくない形にトライしたところも、ウケているようだ。カラーも白と黒の2種類あり、サイドパネルは着せ替えができるということで、見た目もカジュアルさを相当意識している。
BF200はDIGAブランドの一員ということになっているが、おそらくこれまでレコーダをあまり追いかけてこなかった人たちが、関心を持つ機器ではないかと思う。何がどこまでできるのか、気になっている人も多いだろう。今回はおさらいも含めて、基本的なところももう一度解説していく。ではさっそく小型DIGA BF200の実力をチェックしてみよう。
■ かなり作りはしっかり
BF200のボディカラーはホワイトとブラックの2つがある。リモコンも本体の色と同じカラーのものが付属する。今回はホワイトのほうをお借りしている。
まずボディデザインだが、体積としては従来DIGAの約半分程度。縦でも横でも使えると言うことで、縦置き用にボディに噛ませるスタンドが付属している。このスタンドを付けるとやや上向きに立つことになるので、写真を見てWiiのような印象を持たれた方もあるだろう。しかし、さすがにWiiほどは小さくないので、設置場所スペースが心配な方は一度現物を見てサイズ感を確かめた方がいい。
厚みはあるが、フットプリントは小さいボディ | スタンドに立てるとやや上向きになる |
ホワイトモデルだと一見軽そうに見えるのだが、重さは2.2kgあり、見た目よりもずっしり重い。内部にBDドライブとHDDが入っているわけだから、それはそこそこの重さになる。
前面は電源ボタンとイジェクトボタン、あとはリモコン受光部とステータスLEDがあるのみで、シンプルだ。BDドライブはスロットインタイプで、本体厚みがある側に記録面を向けて挿入する。
正面は2ボタンしかなく、シンプルの極み | BDドライブはスロットイン型 |
天板を開けるとスロット類がある |
内蔵HDDは320GBで、TBが当たり前になってきたレコーダとしては少ない方だが、圧縮記録もできる。画質にこだわると足りなくなるが、ためておいて休みの日ににまとめて見るぐらいの使い方ならば、そんなには困らないだろう。通常の番組であれば、HLモードぐらい落としても視聴には支障ないはずである。
録画モード | ビットレート | 録画時間 (内蔵HDD) |
---|---|---|
DR | 17Mbps | 約40時間 |
HG | 約12.9Mbps | 約52時間 |
HX | 約8.6Mbps | 約80時間 |
HE | 約5.72Mbps | 約120時間 |
HL | 約4.27Mbps | 約160時間 |
HM | 約 2.96Mbps | 約232時間 |
HB | 約2.4Mbps | 約290時間 |
背面に回ってみよう。ボディのコンパクト化ということで、端子類もかなり大胆にまとめてある。RF端子は地デジのみということで、入力とスルーの1セット。出力はアナログAVとHDMIのみだ。そのほかネット接続用のEthernet端子がある。
電源はメガネ型端子で、電源ファンが多少出っ張ってはいるものの、この中に電源まで入れたというのはよく頑張ったと思う。ACアダプタにすればもっと小さくなるのかもしれないが、実際に使う側の立場からすると、足下にでっかいアダプタが転がっているのはいただけない。このあたりはトータルで設置面積を小さくしたという努力が感じられる。
リモコンも見てみよう。放送波が地デジしかないので多少ボタンが少なくなってはいるが、フルサイズDIGAと機能的にはほとんど同じことができる。またチャンネルボタンなどを省いた「シンプルリモコン」も別売されている。これを使ったときだけ表示されるサポート画面もあるそうで、文字入力して検索するなどの機能をあまり使わないのであれば、シンプルリモコンでも十分だ。
端子類は必要最小限のものだけ | フルサイズDIGAより少しボタンが少ない |
■ 上位モデルと遜色ない作り
最大19チャンネル表示の番組表 |
では実際に録画機能から見ていこう。番組表はフルサイズDIGAと同じで、最大19チャンネル表示まで可能。大型テレビならこれぐらいでも読めるが、ここはテレビサイズに合わせて変更すればいい。番組はジャンルごとに色分けされるほか、サブメニューの「ジャンル表示」で、特定ジャンルだけをハイライト表示にもできる。
今年の夏モデルでは、注目番組の中にNHK特集ページが追加され、2週間先の番組情報まで知ることができたが、これはBF200には搭載されていないようだ。注目番組一覧に「地上Dの全チャンネル」しか表示されないのは、寂しい限りである。従来のおすすめ番組は使えるので、それで我慢するしかなさそうだ。
「ドラマ」に絞り込んでハイライト表示したところ | NHK特集ページの実装は見送られた | 注目番組機能は搭載されている |
夜ドラマとアニメだけは新番組おまかせ録画が可能 |
録画機能でこれから役に立ちそうなのが、「ぴったり録画」機能である。これは現在放送中の番組を、録画時間を決めてディスク1枚にエンコードする機能だ。これから年末・お正月特番のシーズンになるが、番組表でチェックし忘れた長時間番組をざっくり録るときに便利に使えるだろう。
録画番組の再生、部分消去なども一通り試して見たが、低価格商品だからといってレスポンスが劣るようなことはなかった。上位モデルと基本的には同じ操作性を維持している。動作制限としては、録画中の番組書き出しができないが、録画中の別番組再生、BD再生などは問題なくできる。
お正月には重宝しそうな「ぴったり録画」 | 編集機能も動作は快適 |
夏モデルで話題になったBDからの書き戻しは、このモデルでも対応している。BDメディアを外部ストレージ代わりにして番組を待避させておき、あとで本体内に書き戻して編集、再度BDに書き出しということもできる。HDD容量が少ない点は、この機能を利用すればだいぶカバーできる。4万円を切る低価格機でここまでできれば、満足度は高い。
またワンセグ録画、SDカード書き出しする「持ち出し番組」機能も搭載している。シングルチューナということで2番組同時録画ができないが、機能をフル稼働させれば家庭でモバイルでと、いろいろ役に立ちそうだ。
■ ネット機能も充実
オンラインサービスを利用できる「テレビでネット」 |
次はネット機能をいろいろ見ていこう。基本的にこのあたりは上位モデルも同じなのだが、しばらくレビューしていなかったので、改めて確認しておこう。
ホームネットワーク機能としては、録画番組を別室の対応テレビなどで再生する「お部屋ジャンプリンク(サーバー/クライアント機能)」にも対応している。ネットダビングではなく、あくまでも再生を行なうのみだが、対応機器やパソコンと対応クライアントソフトがあれば、いつも同じ場所でテレビを見なくても良くなるというメリットがある。
「テレビでネット」機能の中には、アクトビラ、TSUTAYA TV、YouTubeの3つの窓がある。アクトビラとTSUTAYA TVは、いわゆるビデオ・オンデマンドサービスで、レコーダをブロードバンド接続すると、コンテンツダウンロードやストリーミングで有料コンテンツが楽しめる。
双方品揃えが違うのはもちろんだが、アクトビラは月額固定のパック料金で特定のジャンルが見放題になるプランが豊富に揃っている。一方TSUTAYA TVは、ペイパービュー以外に時間限定のレンタル料金もあり、低価格で映画などが楽しめる。双方とも無料番組もあるので、画質のチェックなども含めて、試しに使ってみるといいだろう。
YouTubeは、インターネットのYouTubeがテレビで見られるというサービスである。ただしリビングで視聴しても困ったことにならないよう、ある程度のフィルタリングがなされているようだ。初めて利用すると英語の番組ばかりで面食らうが、ユーザーアカウントを作ってログインすると、国の情報を読み取って日本のコンテンツを中心に表示されるようになる。
無料動画も豊富なTSUTAYA TV | ユーザーアカウントでログインすると、日本の動画を中心に表示される |
オンラインでDIGAをコントロールできる「DIMORA」 |
あれから何度かのリニューアルがあり、現在は予約機能も含めて無料で利用できるようになっている。ケータイからでも予約が可能になるので、DIGAユーザーは登録しておくとお得だ。
さて実際にこのサービスとDIGA本体をひも付けするためには、初期設定の中に入って本体IDをメモする必要があるが、面倒なのはそれぐらいで、サイト上の手続きだけですぐに利用可能になる。本体の設定の仕方もサイトに詳しく書いてあるので、マニュアルを見なくても大丈夫だ。
キーワード設定は簡単で、番組名は出演者など、キーになる言葉を入力し、絞り込みたければ除外キーワードやジャンル、放送時間帯などの絞り込み条件を設定する。ここで登録した予約は、直前のもの1つだけがレコーダに転送されるようだ。それ以降のものは放送時間変更など、データ更新に備えて、まとめていっぺんに送らないようにしているのだろう。
基本的には「ブロードバンドレシーバー設定」の設定を変えるだけ | キーワード設定だけで、自動録画できる |
レコーダ本体のリモート操作も可能 |
自動予約は10個まで登録できるようだ。まずこれだけあれば、自動録画機能としては困らないだろう。サイト上では、登録ワードによる自動録画予約以外にも、番組表を見ながらの予約やレコーダの本体操作、録画番組の消去など、本来ならば本体の前でリモコンを使ってやらなければならない機能もコントロールできる。
■ 総論
3D対応ダブルチューナのフラッグシップ「DMR-BWT3100」からするとだいたい実売で1/4程度の価格となるBF200。地デジ専用でシングルチューナという以外にいろいろガッカリポイントもあるだろうと思っていたのだが、録る・見る・焼くの基本的な機能は上位モデルとほとんど変わりがない。
古いアーキテクチャだったり、DIGAと別ラインナップだったりするわけでもなく、こだわる人向けの機能をさっぱり切り落としただけというその潔さとコンパクトさで、納得する人も多いだろう。BS・CS好きにとっては物足りないだろうが、テレビ離れして久しい人も、これでまた録画文化に戻ってくるかもしれない。
特にこの価格で、BDの書き戻し機能も実装した点は評価したい。BF200の登場で、この機能も一躍メジャーな機能に昇格するだろう。
いやそれにしても、レコーダも安くなったものである。地デジテレビだけでいいや、と思っていた層にも家電としてフィットし、さらにBD書き戻し用のサブ機が欲しいマニア層まで幅広くマッチする機器だと思う。