SCEのネットワークレコーダ「nasne」を体感
-ネットワークを意識させない操作感を動画で紹介
nasne |
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は21日、7月19日に発売するレコーダ「nasne(ナスネ)」の説明会を開催した。
nasneの概要は発表時の記事で紹介しているが、かんたんにおさらいすると、Ethernet端子と地上/BS/110度CSデジタルチューナ各1基(アンテナ入/出力:地上/BS/110度CS混合を各1系統)、500GB HDDが内蔵した「ネットワークレコーダ」だ。価格は16,980円。
録画/放送番組の家庭内ネットワークにおけるDTCP-IP配信と、録画番組のDTCP-IP moveに対応。製品に同梱されている、PS3用アプリ「torne」(ver4.0)をPS3にインストールし、PS3からLAN経由でnasneを制御できる。USB端子も装備し、外付けHDDを接続することで、HDD容量を拡張できる。
録画機としては単体で動作するが、操作のためにPS3などのtorneアプリを利用。PS3のほか、PlayStation Vita、PC(VAIO)、Sony Tablet、Xperiaなどから操作/再生できる。HDMIなどの映像出力端子は備えておらず、録画した番組はネットワーク経由でPS3やタブレットなどの対応デバイスに出力する。
7月19日の発売当初には、PS3とVAIO、Sony Tabletから利用可能となるほか、PlayStation VitaとXperiaには2012年内対応予定。また、nasneのフル機能を利用するためには、torneやソニー製の対応アプリが必要だが、録画番組のネットワーク視聴については、DTCP-IP/DLNAに対応した他社製プレーヤーなどでも利用可能になる見込み。
nasneの概要 |
同梱品 | パッケージ |
■ ネットワークを意識させない高速なレスポンス
SCE 商品企画部 ハードウェア企画課 渋谷課長 |
商品企画を担当した、ソニー・コンピュータエンタテインメント 商品企画部 ハードウェア企画課 課長の渋谷清人氏がnasneの概要を説明。「ネットワークレコーダー」と「メディアストレージ(NAS)」という2つの機能を中核とするが、まずはレコーダとしての機能を訴求していく。
渋谷氏が強調したのは“映像出力が無い”ということ。HDMIやコンポーネントなどの出力端子を備えておらず、nasne内の番組を、PS3やVAIO、Tabletなどのクライアント機器からネットワーク経由で再生するという機器のため、「ネットワーク機器と連携して、はじめてその実力を発揮できる」と語る。
ネットワークレコーダとしては、500GBのHDDと地上/BS/110度CSデジタルチューナを搭載。録画モードは「DR」と「3倍」の2種類。録画時にはVitaやタブレットでの持ち出し用に720×480ドットのファイルも作成しており、これをLAN内のSony Tabletなどへの配信に利用する。
ネットワークレコーダーとメディアストレージの2つの機能が中核 | ネットワークレコーダとしての主な特徴 | PS3のほか、Vita、Sony Tablet、Xperiaなどさまざまなソニー製品と連携 |
PS3のtorne 4.0トップページ | 3倍モードも搭載 |
PS3 1台に対して、nasneは最大4台まで登録可能で、4台の同時録画に対応。発売中のUSBチューナ「torne」と一緒に使った場合は、最大で5番組の同時録画が可能になる。また、(アプリの)torneからはその数を意識することなく、利用するチューナの振り分けが自動的に行なわれ、どのnasneに録画されていても、ひとつのリストとして管理、検索、絞り込みができる。
nasneの背面 | 4台までのnasneを同時利用できる | 複数のnasneのHDDをユーザーは意識せずに利用できる |
トップページ | BS予約 | CS番組表 |
チャンネルパネル | シーンサーチ | W録画 |
nasne情報からLAN内のnasneを検索 | 設定画面 |
Webブラウザからnasneを設定 |
nasneのWeb設定画面 |
録画番組の2番組同時配信にも対応するほか、放送をライブ視聴中に、録画番組を他のPS3のtorneなどから視聴することもできる。番組配信できるのはLAN内となるが、同社のブルーレイレコーダなどでも対応しているスマートフォン向けWebサービス「CHAN-TORU」を使った外出先からの録画予約も可能となっている。
torneの特徴といえる軽快な動作も継承。ネットワークを経由でのレコーダ操作に対応した機器は多いが、レスポンスは通常の再生操作に比べるとイマイチという製品は少なくない。今回は、PlayStation 3のtorne 4.0を中心にデモを行なったが、10秒スキップや、シーンサーチなどのトリックプレイも非常に高速。従来の(USBチューナの)torneと遜色ないレスポンスが体験できた。ぜひ録画した映像で確認してほしい。
nasne側とtorneなどのソフトウェアのチューニングを進め、とにかくこれまでのtorneの“さくさく感”を失わないよう配慮したとのこと。これはPS3のtorneだけでなく、VAIOやTabletでもこだわったという。
検索のレスポンスの良さもtorneの特徴。BS/CSチャンネルが増えたことで、検索が重要となるがジャンル検索やキーワード検索に対応。ジャンルはARIBの規定に揃えているが、新たにサブジャンルも用意し、「スポーツ」以下の「スポーツニュース」など絞り込み検索が可能となった。さらに、サブジャンルは「以外」検索にも対応し、「スポーツニュース以外のスポーツ」といった絞り込みが可能。
スポーツニュース以外も検索可能に | 有料番組や視聴できる番組(有料チャンネルの無料放送)などから絞り込むことも可能に | キーワード検索 |
なお、Twitter連携の「ライブ」機能もBSに対応したが、CSはツイート数が少ないため、nasne発売時には対応しない予定とのこと。
nasneで気になるのは映像出力を省いたことで、家庭内にLAN環境が必須となるということ。これまでのゲーム流通以外でも、販売に工夫が必要と思われる。渋谷氏は、「torneを進化させるネットワークレコーダということで、これまでどおりにゲーム売り場にはおきたい。また、ソニーマーケティングと議論して、連携する機器の売り場などにもしっかりコーナーを作るような展開を考えている」という。
【nasne対応機器とアプリケーションの組み合わせ】
機器 | アプリケーション |
PS3 | torne 4.0 |
VAIO | VAIO TV for nasne |
Sony Tablet | RECOPLA+DLNAプレーヤー |
Xperia | 未定 |
PlayStation Vita | 未定 |
他社製品 | DTCP-IP/DLNAクライアント (再生時/サポート対象外) |
■ ソニー製品でフル機能を体感。VAIOやSony Tabletが対応
VAIO TV with nasne |
PS3だけでなく、VAIOやXperia、Sony Tabletなどさまざまな機器から操作や視聴ができることもnasneの特徴。nasne発売と同時に専用アプリ「VAIO TV with nasne」を提供するVAIOを中心に説明した。
ソニーでVAIO TV with nasneを担当したVAIO&Mobile事業本部 企画2部 安彦剛志氏は、「torneがPS3コントローラに特化した軽快な使い勝手を実現したように、パソコンでの使いやすさにこだわった」として、VAIO TV with nasneを紹介。torneと同様に軽快な動作が特徴で、パソコンでの再生操作などが可能。さらに、VAIOならではの特徴として、DTCP-IPムーブを使ったnasneからVAIOのHDDやBDに番組書き出に対応した。
VAIOのHDDへの番組をダビングのほか、nasneから直接VAIOのBDドライブを使って書き出しも可能。ただし、レート変換ダビングには対応しない。torneユーザーという安彦氏も「本当に欲しかった機能。大事なコンテンツの保管に使ってほしい」と語る。VAIO TV with nasneは、7月19日にベータ版として提供し、後日正式版にアップデート予定。Windows 7搭載VAIOのユーザーに無償で提供する。対象機種については追って詳細を案内予定としている。
VAIO TV with nasne。録画番組一覧 | BD書き出し番組リスト | VAIOのBDドライブを使ってnasneの番組を書き出し |
Sony Tablet+RECOPLAでnasne対応 |
Sony Tabletでは、24日にAndroid 4.0にアップデートするとともに、レコーダの番組管理用アプリ「RECOPLA(レコプラ)」をGoogle Playで提供する。RECOPLAとSony TabletにプリインストールされるDLNAプレーヤー機能を組み合わせて、録画番組を再生できる。なお、他社製のタブレットでもRECOPLAをダウンロードしてインストールすることは可能。ただし、番組再生には別途DTCP-IP対応のプレーヤーソフトが必要となる。
RECOPLAでは番組の管理や削除が可能で、複数台のnasneやソニーブルーレイレコーダの番組を一括して管理できる。また、録画予約ボタンを押すと、「Gガイド.テレビ王国 CHAN-TORU」に移動。ログインする事で、テレビ王国の番組表から、nasneの録画予約が行なえる。
RECOPLAで利用するnasneを選択 | まとめて操作 | Sony Tablet Pでは、下に操作画面、上の液晶が視聴画面に |
DLNAプレーヤーを起動 |
Sony Tabletでライブ/録画番組を視聴する際の解像度は720×480ドット。Sony Tabletで採用しているTegra 2では1080動画をデコードできないため、DRモードの番組を直接視聴することはできない。また、RECOPLAとソニーブルーレイレコーダを併用する際には、再生時に「このタブレット内」、「接続先のTV」が選択できるが、nasneには映像出力が無いため、タブレットでの視聴のみとなる。
多くのソニー製品から利用可能 | PS Vitaも年内に対応予定 | Xperia+CHAN-TORUから録画予約 |
また、西田氏によるインタビュー記事に詳しいが、nasneのフル機能を使うためには、torne、Sony Tablet、VAIOなどが必要だが、基本的な技術はDTCP-IP/DLNAのため、他社製のクライアントなども利用可能になる見込み。特に「録画番組の再生」については、他社製のプレーヤーやタブレットでも利用できる可能性が高い。これらについては発売時に検証してみたい。
(2012年 5月 21日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]