AV Watchアワード

ソニーのミニLEDテレビ「BRAVIA 9」。'24年最高評価モデルの結果は!?【測定データすべて見せます(7)】

ソニー・ブラビアの液晶テレビ「BRAVIA 9/K-65XR90」

読者へ本当にオススメしたい製品をセレクトする「AV Watchアワード」。今年も、高画質・高音質なナンバーワンテレビを決めるべく、テレビメーカー7社から全11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、横並びでの比較視聴とデータ測定を行なった。

明日(10月31日)公開の「2025年液晶テレビ大賞」「2025年有機ELテレビ大賞」発表に先立ち、比較視聴を実施した11モデルをブランド別に紹介する。

ブランド別紹介の最後は「ソニー」。

ソニーは今年、ミドルクラスのミニLEDテレビ「BRAVIA 5(XR50)」のみを発売。そのほかのシリーズは'24年モデルを継続販売している。このため、AV Watchアワード2025では昨年と同様、4K有機ELテレビの「XRJ-65A95L」(77万円前後)と、4K液晶テレビ「BRAVIA 9/K-65XR90」(66万円前後)をテストした。

それぞれの概要・仕様と合わせ、マスターモニターとの比較動画および視聴機の測定データを掲載する。なお、2024年アワード取材時の個体と異なったため、全項目を改めて測定している。

有機ELラインナップ

有機ELテレビ「XRJ-65A95L」

ソニーは現在、量子ドット搭載OLEDパネルの「A95L」と、高輝度OLEDパネルの「BRAVIA 8/XR80」の2シリーズ5機種を発売している。

海外では、A95Lの後継として「BRAVIA 8 II/XR80M2」がリリースしているが、残念ながら日本市場での発売は未定。ソニーのフラッグシップ機は“2年更新”が常態化しているため、更新は来年以降になりそうだ。

有機EL
776555
A95L
24年モデル
7760.5
XR80
24年モデル
93.55541.8

最上段の数字は「インチサイズ」。マス目の中の数字は、製品発表時(2024年)の市場想定価格(万円)

シリーズ別比較

エン
ジン
パネル倍速HDRアト
モス
音声
出力
チュ
ーナ
HD
MI
入力
A95LXRQD
OLED
120Hz
(VRR)
Dolby
Vision

HDR10

HLG
60W2K:3

4K:3
4
XR80OLED50W
or
56W

液晶ラインナップ

4K液晶テレビは、フラッグシップの「BRAVIA 9/XR90」を筆頭に、量子ドット×ミニLEDの「BRAVIA 7/XR70」、お手頃なミニLEDテレビ「BRAVIA 5/XR50」の3シリーズ12機種をラインナップする。大きさは55型から98型まで5サイズ。価格は25.3万円前後から。

液晶

シリーズと市場想定価格

9885756555
XR90
24年モデル
11082.566
XR70
24年モデル
71.5554435.2
XR50
25年モデル
11049.542.93325.3

最上段の数字は「インチサイズ」。マス目の中の数字は、発表時の市場想定価格(万円)

シリーズ別比較

エンジンミニ
LED
量子ドット倍速HDRアトモス音声出力チューナHDMI入力
XR90XR120Hz
(VRR)
Dolby
Vision

HDR10

HLG
70W2K:3

4K:3
4
XR7040W
XR50

有機ELテレビ「XRJ-65A95L」について

ソニーの有機ELテレビ「XRJ-65A95L」

A95Lは、4K有機ELブラビアのフラッグシップシリーズ。

量子ドット技術を採り入れたQD-OLEDの第二世代モデルで、4K/3,840×2,160解像度のパネル(倍速対応)を搭載。

2022年発売の「A95K」よりも新しいQD-OLEDパネルと、独自の「XR トリルミナス マックス」技術により、人間が美しく感じる自然な色合いと色相を再現。あらゆる輝度レベルで鮮やかな色とリアルな質感を実現している。

「XRJ-65A95L」の背面

発光制御技術「XR OLED コントラスト プロ」でパネルの発光性能を最大化。前モデル比で、倍のピーク輝度に高めている。

液晶テレビ「BRAVIA 9/K-65XR90」について

ソニーの液晶テレビ「K-65XR90」

XR90は、ソニーが「有機ELを超えるポテンシャルを持つデバイス」として位置付けるミニLEDバックライト技術搭載のフラッグシップ液晶シリーズ。

光源には、微細な青色LEDを全面に敷き詰めて、高精度に部分制御させるミニLEDバックライトシステムを導入。色変換効率に優れ、純度の高い波長が得られる量子ドットシートと組み合わせることで、高コントラストかつ広色域な映像表示を可能にした。

LEDドライバーは従来の16bitから22bit制御へ進化。前モデル(X95L)比でエリア分割数は3倍超、ピーク輝度は1.5倍と達成しながら、消費電力の削減も実現している。

「K-65XR90」の背面

有機EL「A95L」、液晶「XR90」ともに、独自の認知特性プロセッサー「XR」を搭載。最新バージョンでは、AIを使った新たな検出機能を搭載したことで画質のさらなる向上を実現。特に、緑色のオブジェクトと人間の顔の認識精度を強化した。

OSは「Google TV」。独自のSONY PICTURES COREほか、NetflixやPrime Video、Hulu、Disney+、TVer、ABEMA、U-NEXT、Apple TV、YouTube、DAZNなどの各種映像配信サービスが楽しめる。

搭載チューナーは、2K・4K放送ともに3チューナー仕様。別売の外付けHDDを接続すれば、4K放送の2番組同時録画も行なえる。

HDMI入力は4系統。4K120fps入力や可変リフレッシュレートのVRR、自動低遅延モードのALLMに対応する。4K/144fps信号はサポートしない。

消費電力・年間消費電力は、有機EL「A95L」が449W・191kWh/年、液晶「XR90」が350W・208kWh/年。

標準設置時の外形寸法/重量は、有機EL「A95L」が144.3×33.9×84.4cm(幅×奥行き×高さ、スタンド含む)/24.9kg、液晶「XR90」が144.3×34.9×84.6cm(幅×奥行き×高さ、スタンド含む)/34.8kg。

マスターモニターとの比較動画

有機EL
4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、ソニーの4K有機ELテレビ「XRJ-65A95L」(左、映像モードは「プロフェッショナル」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像

※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
液晶
4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、ソニーの4K液晶テレビ「K-65XR90」(左、映像モードは「映画プロ」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像

※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65

ディスプレイ性能

有機EL「A95L」

映像モード「スタンダード」(HDR)

映像モード「スタンダード」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D93」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

映像モード「シネマ」(HDR)

映像モード「シネマ」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

映像モード「プロフェッショナル」(HDR)

映像モード「プロフェッショナル」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

ディスプレイ性能

液晶「XR90」

映像モード「スタンダード」(HDR)

映像モード「スタンダード」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D93」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

映像モード「シネマ」(HDR)

映像モード「シネマ」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

映像モード「プロフェッショナル」(HDR)

映像モード「プロフェッショナル」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

輝度

有機EL
映像モード
「スタンダード」
A95L
(24年モデル)
再測定
A95L
(24年モデル)
A95K
(22年モデル)
10%輝度1,273cd/m21,278cd/m2
1001cd/m2
全白輝度251cd/m2224cd/m2212cd/m2
映像モード
「シネマ」
A95L
(24年モデル)
再測定
A95L
(24年モデル)
A95K
(22年モデル)
10%輝度1,320cd/m21,325cd/m2940cd/m2
全白輝度267cd/m2258cd/m2120cd/m2
映像モード
「プロフェッショナル」
A95L
(24年モデル)
10%輝度1,319cd/m2
全白輝度249cd/m2
液晶
映像モード
「スタンダード」
XR90
(24年モデル)
再測定
XR90
(24年モデル)
X95L
(23年モデル)
10%輝度2,487cd/m23,144cd/m2809cd/m2
全白輝度724cd/m2925cd/m2799cd/m2
映像モード
「シネマ」
XR90
(24年モデル)
再測定
XR90
(24年モデル)
X95L
(23年モデル)
10%輝度2,419cd/m22,839cd/m2660cd/m2
全白輝度618cd/m2779cd/m2709cd/m2
映像モード
「プロフェッショナル」
XR90
(24年モデル)
10%輝度2,271cd/m2
全白輝度614cd/m2

カラースペクトラム

有機EL「A95L」
映像モード「プロフェッショナル」時のカラースペクトラム
液晶「XR90」
映像モード「プロフェッショナル」時のカラースペクトラム

色域

有機EL「A95L」
映像モード「シネマ」時の色域
映像モード
「シネマ」
A95L
(24年モデル)
再測定
A95L
(24年モデル)
A95K
(22年モデル)
BT.2020
1931カバー率
85.50%85.85%85.65%
BT.2020
1976カバー率
89.38%89.56%89.55%
液晶「XR90」
映像モード「シネマ」時の色域
映像モード
「シネマ」
XR90
(24年モデル)
再測定
XR90
(24年モデル)
X95L
(23年モデル)
BT.2020
1931カバー率
69.37%70.39%72.76%
BT.2020
1976カバー率
78.33%78.19%78.99%

画素構造

有機EL「A95L」
液晶「XR90」

映り込み

有機EL「A95L」
液晶「XR90」

入力遅延

有機EL
映像モード
「ゲーム」
A95L
(24年モデル)
再測定
A95L
(24年モデル)
A95K
(22年モデル)
4K60p12.6ms12.6ms12.4ms
2K120p4.2ms4.2ms4.3ms
液晶
映像モード
「ゲーム」
XR90
(24年モデル)
再測定
XR90
(24年モデル)
X95L
(23年モデル)
4K60p13.7ms13.7ms13.5ms
2K120p5.2ms5.2ms5.2ms

HDMI仕様

有機EL
HDMI入力信号A95L
(24年モデル)
A95K
(22年モデル)
4K120fps
4K144fps
ゲーム用HDR10
ゲーム用Dolby Vision60Hzまで
4K50Hz
1440p
非圧縮ステレオ
非圧縮5.1ch
非圧縮7.1ch
ドルビーデジタル
DTS
Dolby Atmos
DTS:X
その他A95L
(24年モデル)
A95K
(22年モデル)
電源ケーブル着脱
スイーベルスタンド
液晶
HDMI入力信号XR90
(24年モデル)
X95L
(23年モデル)
4K120fps
4K144fps
ゲーム用HDR10
ゲーム用Dolby Vision60Hzまで
4K50Hz
1440p
非圧縮ステレオ
非圧縮5.1ch
非圧縮7.1ch
ドルビーデジタル
DTS
Dolby Atmos
DTS:X
その他XR90
(24年モデル)
X95L
(23年モデル)
電源ケーブル着脱
スイーベルスタンド
測定について

・パネル性能の測定には、キャリブレーションサービスを行なっている株式会社エディピットに協力を依頼した
・「シネマ系」「おまかせ系(無い場合は標準)」の2つのモードで測定(プレキャリブレーション)を実施した
・パターンジェネレータから、色温度D93/D65のHDR信号をテレビに入力。カラースペース(BT.2020)、EOTF、RGBバランス、色精度(デルタE)、10% Window(ピーク輝度)、100% Window(全白輝度)を、ソフトウェア「Calman Ultimate」で測定した
・測定環境は全暗。テレビは全モデル、工場出荷時にするため初期化し、センサー系の機能は全てオフとした
・「シネマ系」「おまかせ系」のモードは、デフォルト状態で測定した。ただし、デフォルトで明るさが低く抑えられている機種については、明るさを調整し、輝度が最大になる状態でも測定を行なった
・測定は何度か実施し、最も良い数値をセレクトした
・測定値で異常が見られた場合は、機器の状態や設定、接続などを見直し、テレビやPC、ジェネレータの再起動などを実施した。それでも変化が見られない場合は、メーカーに問い合わせを行なった

阿部邦弘