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待たせたな。ピーク輝度2倍の第二世代QD-OLEDブラビア。PrimeVideoも最適画質に

65型「XRJ-65A95L」

ソニーは、4K有機ELテレビの新製品として、QD-OLED搭載「A95L」シリーズと最新のUX機能を盛り込んだ「XR80」(BRAVIA 8/ブラビア 8)シリーズを8月10日から順次発売する。価格は全てオープンプライス。シリーズのラインナップと店頭予想価格は以下の通り。

QD-OLED「A95L」シリーズ
・65型「XRJ-65A95L」 770,000円前後 8月10日発売
・55型「XRJ-55A95L」 605,000円前後 同上
有機EL「XR80」シリーズ
・77型「K-77XR80」 935,000円前後 8月31日発売
・65型「K-65XR80」 550,000円前後 同上
・55型「K-55XR80」 418,000円前後 同上

A95Lシリーズは、2022年発売の「A95K」の後継機。量子ドット技術を採り入れた有機ELパネル“QD-OLED”の第二世代モデルで、欧米発売から1年遅れての国内導入となった。

K世代からの主な進化点は、パネルの明るさ向上とXRプロセッサのアルゴリズム更新。特に前者は、従来モデルから約2倍のピーク輝度を達成。ハイライト部分の煌めき感が、よりリアルに描写できるようになった。

55型「K-55XR80」

XR80は、2023年発売の「A80L」の後継機。ピーク輝度が1.2倍伸長し、高コントラストな映像を実現。また画質面だけでなく、スマホアプリからテレビを操作できる「ブラビアコネクト」や、人の声だけを抽出して聴き取りやすくする「ボイスズーム3」などの便利機能も追加された。スタンドを含まない、本体部分の奥行きもA80Lの5.3~5.4cmから、3.7~3.8cmに薄型化。よりリビングに溶け込むデザインとした。

新モデルの投入で、旧モデルは順位販売終了となるが、A90Kの48型は今期も販売を継続する。

なお、同時発表のミニLED液晶「XR90」(BRAVIA 9)と、「XR70」(BRAVIA 7)シリーズに関しては、別記事を参照のこと。

「A95K」シリーズ:ピーク輝度は倍に。Prime Video画質モード追加

65型「XRJ-65A95L」

前述の通り、A95Lは4K/3,840×2,160ピクセルのQD-OLEDパネル(倍速対応)を搭載しているのが特徴。QD-OLEDは、トップエミッション構造の青色有機EL層と、波長変換を行なう量子ドット(Quantum Dot)シートを組み合わせたもので、一般的なWOLEDタイプに比べて、純度の高い発色や明部の色鮮やかさ、視野角に強い特徴を持つ。

A95Lでは、K世代よりも新しいQD-OLEDパネルと独自の「XR トリルミナス マックス」技術で、人間が美しく感じる自然な色合いと色相を再現し、あらゆる輝度レベルで鮮やかな色とリアルな質感を再現。

また発光制御技術「XR OLED コントラスト プロ」でパネルの発光性能を最大化し、前モデル比で倍のピーク輝度を実現した。

A95L(左)とA95Kの比較。A95Lが明るく見える

XRプロセッサ側では、映像のブレを改善する「XR クリア イメージ」を導入。これは、従来のノイズリダクション、超解像技術の進化版で、解像度やエンコード情報、ビットレートといった信号種類や品位に応じて、処理のさじ加減を調整するように変更。これにより、特に放送波やネット動画などの低品位コンテンツで、ノイズやジャギー、撮像ボケなどを抑えたクリアな描写を可能にした。

動画配信サービス・Prime Video向けの画質モードが追加されたのも、新機種のポイント。ブラビアはこれまで、NetflixとSONY PICTURES CORE(旧BRAVIA CORE)向けの画質モードを搭載していたが、2024年モデルからはPrime Videoも追加される。

各サービスで名称は異なるが、基本的な狙いは“クリエイターの意図を忠実に再現する”もの。ソニーとVODサービス会社が協業することで、VODコンテンツを視聴する際、部屋の環境に合わせて自動的にブラビアが最適な画質設定に調整してくれる。「制作者の意図通りに表示する」という近年の潮流に沿ったもので、コンテンツのメタデータ情報を参照しつつ、視聴環境に応じた画に変化させるのだという。

基本的に、上記モードは自動でONになるそうだが、OFFにすることも可能。ただし、SONY PICTURES CORE画質モードは明るさ設定が固定となる。

明るさと色温度を判別する環境光センサーを搭載。HDR規格は、HDR10、HLG、Dolby Visionをサポートする。

スピーカーシステムは「アコースティック サーフェス オーディオ プラス」で、アクチュエーター×2、サブウーファー×2の計60W出力。Dolby Atmosほか、センタースピーカーモードも備える。

「XR80」(BRAVIA 8)シリーズ:最新プロセッサと進化したUX

55型「K-55XR80」

XR80は、4K/3,840×2,160ピクセルの最新世代WOLEDパネル(倍速対応)を採用。前機種・A80L比で、ピーク輝度約1.2倍の高コントラスト化を実現した。

独自の認知特性プロセッサー「XR」の最新バージョンを搭載。A80L搭載のXR Picture技術に加え、AIを使った新たな検出機能を搭載したことで画質向上を実現。特に、緑色のオブジェクトと人間の顔の認識精度が改善し、立体感や質感を高めた。

例えば、A80Lでは緑色のものを認識するだけだったが、XR80では、景色の中の緑色のものから“緑色の木”であることを認識して、木の精細感を向上させるような処理を実施。また横を向いた顔やズームで一部が切れてしまった顔、大人数が写っている場合など、A80Lでは“顔”と判断できなかったシーンも、XR80は人の顔と認識して「より自然な顔の表情を映し出せる」という。

コントロールアプリ「ブラビアコネクト」にも対応。ブラビアとスマートフォンをペアリングするとスマホから、入力・チャンネル切り替え、音量調整、電源、詳細設定などが行なえるようになる。

照度のみを判別する明るさセンサーを搭載。HDR規格は、HDR10、HLG、Dolby Visionをサポートする。

スピーカーシステムは「アコースティック サーフェス オーディオ プラス」で、アクチュエーター×2、ツイーター×2、サブウーファー×1の計50W出力(77型のみ56W)。Dolby Atmosも対応する。

A95KとXR80の共通機能

音声機能としては、ボイスズームが進化。ボイスズームは人の声の成分を取り出して、クリアな聴こえ方になるようコントロールする機能だが、新しい「ボイスズーム3」では、AIサウンドセパレーションが追加。

人間の音声をAIで抽出することで、音声以外の音量は変えずに、声の音量だけを変えることが出来るようになった。調整はクリック設定から呼び出し可能で、+6から-6までの13段階をセレクト可能。これはサウンドバーを接続した場合も動作できるようになっている。

ソニー製のサウンドバーと接続して、ブラビアのスピーカーを“センタースピーカー”として駆動する「アコースティックセンターシンク」もアップデート。

最新サウンドバー(HT-A9M2/HT-A9000/HT-A8000)を組み合わせると、テレビとサウンドバーの音響特性の違いを、お互いが自動で調整。ブラビアの特性、サウンドバーの特性を最適化することで、組み合わせた時の一体感が向上。「音の定位感と臨場感を一層高めることができた」という。

ゲーミング機能としては、専用インタフェース「ゲームメニュー」を搭載。PlayStation 5などのゲーム信号を検知すると、ゲームのステータスや設定などのアシスト機能を集約したメニューが表示できる。

ほかにも、画面を小さくして表示できる「画面サイズ調整」、シューティングゲームで活用できる中心点表示「クロスヘア」、暗部を持ち上げて視認性を高める「ブラックイコライザー」、プレイ画面のちらつきやカクツキを抑える「VRR」などを用意する。

新たに「PSリモートプレイ」機能をサポート。PSリモートプレイアプリ(プリインストール済み)を使って、A95KやXR80シリーズのブラビアと高速インターネット環境で接続すると、他の場所からPlayStation本体を遠隔操作できる。

搭載チューナーは、BS4K/110度CS 4K×3、地上/BS/110度CS×3。別売の外付けHDDを接続すれば、2番組の同時録画も可能。放送視聴中の裏番組録画や2番組同時録画が行なえる。

OSは「Google TV」。独自のSONY PICTURES COREほか、NetflixやPrime Video、Hulu、Disney+、TVer、ABEMA、U-NEXT、Apple TV、YouTube、DAZNなどの各種映像配信サービスが楽しめる。Bluetooth式リモコンには「U-NEXT」「Netflix」「Hulu」「Prime Video」「FOD」「Disney+」「ABEMA」「YouTube」の8つのダイレクトボタンを用意する。

無線LANは2.4GHz・5GHzに加えて、新しく6GHzの「IEEE802.11ax」が追加。Googleアシスタント、ハンズフリー音声検索、Chromecast built-in、Apple AirPlay 2ほか、ホームネットワーク機能(DLNAクライアント)も備える。

HDMI入力は4系統で、入力3・4がHDMI 2.1をサポート。4K120p入力や可変リフレッシュレートのVRR、自動低遅延モードのALLMに対応する。eARCは入力3のみ可能。PS5連携機能のオートHDRトーンマッピング、コンテンツ連動画質モードにも対応。4K120p入力時のフル解像度表示も行なえる。

HDMI以外の端子として、ビデオ入力(4極ミニ)、光デジタル音声出力、センタースピーカー入力、ヘッドフォン出力、USB、LANを備える。

A95Lのサウンドバースタイル時
XR80の内側スタンド時
XR80のサウンドバースタイル時

スタンド設置は、A95Lが「標準」「サウンドバー」、XR80が「標準」「内側」「サウンドバー」スタイルを選ぶことができる。

消費電力と年間消費電力、外形寸法、重量は以下の通り。

【消費電力と年間消費電力】
・XRJ-65A95L:449W 191kWh/年
・XRJ-55A95L:353W 170kWh/年

・K-77XR80:608W 249kWh/年
・K-65XR80:449W 195kWh/年
・K-55XR80:351W 167kWh/年

【スタンドを含めた外形寸法(幅×奥行き×高さ)と重量】
・XRJ-65A95L:144.3×33.9×85.9cm/標準
        144.3×33.9×92.0cm/スタンドバー 24.9kg
・XRJ-55A95L:122.4×27.5×73.7cm/標準
        122.4×27.5×79.8cm/スタンドバー 19.0kg

・K-77XR80:171.3×40.5×101.2cm/標準・スタンド内側
       171.3×40.5×106.6cm/サウンドバー 34.0kg
・K-65XR80:144.2×24.8×85.5cm/標準・スタンド内側
       144.2×24.8×90.9cm/サウンドバー 23.2kg
・K-55XR80:122.3×24.8×73.2cm/標準・スタンド内側
       122.3×24.8×78.6cm/サウンドバー 18.0kg