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テレビ番組のダビングはおまかせ! Synology「DS218j」ではじめる録画新時代

 スマホやPCをガッツリ使い込むようになると、必ず気になってくるのが保存容量だ。特に最近は、あらゆる場面で動画の出番が増えている。自撮り、ゲームのプレイ動画などを片っ端から保存していると、すぐ手元の端末の空き容量が少なくなってしまう。

 NAS(Network Attached Storage)は、そんな悩みを解決するためのソリューションだ。デスクトップPCよりもコンパクトな筐体に、お好みの容量のハードディスク(HDD)を組み込み。これでまず数TB分のストレージが確保できる。NASはその名の通り単体でネットワークが接続できるので、自宅内あるいは外出先からNASへアクセスして、ファイルを再生したり、保存できる。

 台湾のSynologyから発売中の「DiskStation DS218j」は、価格もさることながら機能面でも注目点が多い。なんと別売ソフトウェア「DiXiM Media Server」の併用により、録画番組の保存先(コピー先)として使えるのだ。果たしてどんな使い勝手なのか? 詳しく見ていこう。

好みのHDDを2台組み込める「DS218j」、魅力はサポート実績とコスパ

DiskStation DS218j

 NASのメーカーは数あれど、Synologyは近年急速に日本国内での知名度を高めている。かくいう筆者も2014年末にはじめて同社製NASを購入。以来、3年半に渡って自宅での利用を続けている。

 その経験上、今でもとにかく驚かされているのが「サポートの手厚さ」だ。一般的なPC周辺機器の場合、発売から半年~1年もすれば、ファームウェア更新やサポートソフトウェアの更新サイクルは落ち着いてしまう。

 それがSynologyはどうだろう。筆者が買ったのはDS414jというモデルなのだが、2018年8月の段階でもまだ内蔵ソフトウェア更新が頻繁に行なわれている。加えて、スマートフォンのアプリストアに相当する「パッケージセンター」のおかげで、新機能の追加も可能だ。最近だと、Dropbox風のオンラインストレージ機能を実現する「Drive」が利用できるようになった。

 製品ラインナップは法人向けから家庭用まで幅広いが、今回ご紹介するDS218jは、仕様と価格のバランスがとれたおすすめモデルだ。実売価格は2万円台前半。HDDを2台内蔵できるので、自分好みのものをチョイスすればいい。秋葉原のPCパーツショップなどでおなじみの単体剥き出し売りのHDDを使えば、コストパフォーマンスはさらに上がる。最近は4TBのHDDが余裕で1万円を切っているので、すべて揃えても4万円で足りるだろう。設定にもよるが、最大で8TB(RAID0)、データ保護を優先するなら4TB(RAID1)のストレージが手軽に完成する。仮に丸3年運用すると、1月あたりのコストは1,111円(電気代別)。月額制のクラウドストレージと比べて価格容量比は圧倒的だ。もちろん、手元に余っているHDDを1台だけ接続する節約運用の道もある。

正面
電源はACアダプタ
背面

 もちろんNASを活用にするには、光ファイバーなどの固定インターネット回線を自宅に引き込み、LANを構築するのが前提となる。DS218jのネットワーク接続は有線限定だが、一方でディスプレイを繋ぐ必要はなく、ほぼすべての設定・操作はPCやスマホからネットワーク越しに行なう。そのためルータさえあるご家庭なら、設置場所に特に困ることはないと思う。

HDD取り付けとセットアップも簡単

 製品パッケージを開けたら、まずは本体にHDDを手作業で組み込む。とはいえ、これもそれほど難しいものではない。プラスドライバーを1本用意し、説明書を見ながら順々に作業しよう。

本体を開けたところ。この通り、中に3.5型HDDを2台分組み込むスペースがある
HDDを組み込むといっても、それほど難しい作業ではない。必要な工具はドライバー1本だけ

 ネットワークに繋ぎ、電源を入れたら、今度は設定だ。Windows/Macなどでブラウザを立ち上げ、そこからNASの設定画面にアクセスするのがオススメ。画面の指示に従っていけば、ログイン用のアカウント・パスワードを設定できる。

PCブラウザから「http://find.synology.com」というURLにアクセス。すると、ローカルネットワーク内に接続されたDS218jを見つけてくれる
まず最初に「DiskStation Manager」(DSM)をインストール。Synology製NASで採用されている、共通OSだ。ネットワークに繋がっていれば、インストールデータのダウンロードなどもほぼすべて自動

 また、NASそのもののアカウント設定とは別に、「Synologyアカウント」も作ることになる。こちらはSynologyの各種サービスの利用、あるいは課金の際に使われる。DS218jをフルに使い倒すためにも、必ず取得しよう。

DSMをインストール中
DS218jを利用するための管理者アカウントを作成
「Synologyアカウント」の新規作成は、一連のセットアップ手順の中で行える
また、Synologyアカウントに紐付く形で「QuickConnect ID」も取得する。これはNAS1台ごとに割り当てられるIDで、たとえば外出先から自宅に置いてあるNASへアクセスするために使われる
セットアップ完了後は、このデスクトップ風のメインメニューからほとんど全ての操作が行なえる。上部のURL表示で分かるように、ブラウザ内にこのデスクトップが表示される格好だ。ここにショートカットアイコンを配置することも可能

 NASなので、当然、パソコンのデータやデジタルカメラの写真などを大量に保存可能。Macユーザーであれば、TimeMachineによるシステムバックアップ先としてDS218jを利用できる。

 しかも2台のHDDを使ったRAID対応で、データ保存の安心感もある。今回は2台のHDDに同じデータを記録し、1台が万一故障した場合も、その1台を交換すれば復旧が可能なRAID1(ミラーリング)構成で、容量4TBで運用した。

録画番組管理を担う「DiXiM Media Server」

 ここからは録画番組の保存法を見ていこう。機能を利用するために必要なのが「DiXiM Media Server」というアプリだ。前述のSynology製NAS用パッケージセンターからダウンロード購入できる。お値段は8.5ドル。決済が終わればその場でダウンロードでき、すぐさまDS218jで利用可能になる。

 DiXiM Media Serverを利用するには、DS218jにPCブラウザでログイン後、メインメニューからアイコンをクリックすればOK。以下のようなメイン画面が表示されるはずだ。

DiXiM Media Serverは「パッケージセンター」で販売されている。購入すれば、即利用可能
インストールが完了すると、その他のアプリと並んでDiXiM Media Serverが表示される(画面下部に注目)

 さて今回は録画サーバーとしてのNAS。パナソニック製レコーダ「DMR-UBX4050」で録画した番組をDiXiM Media Serverへダビングしてみよう。

レコーダの「DMR-UBX4050」と「DS218j」を連携

 操作は、全てDiXiM Media Serverから実行できる。つまり、レコーダの赤外線リモコンをポチポチ押すことなく、使い慣れたブラウザを操作するだけでダビングが完結するのだ。また、ユーザーインターフェイスはPCとスマホにそれぞれ最適化済み。アクセス用のURLは、ぜひスマホのブラウザにもお気に入り登録しておきたい。

DiXiM Media Serverのメインメニュー画面
PCブラウザでは2ペイン表示
スマホでDiXiM Media Serverにアクセスすると、こんな感じで表示される。PC版と比べて特に機能的な制限もないようだ

 まずは手動でのダビング操作にトライしてみよう。DiXiM Media Serverのメニューから「ダウンロード」→「メディアサーバーからのダウンロード」を選択。UBX4050が一覧に出るので、フォルダー分けされた中から番組を見つけ、チェックマークを入れてダウンロードを実行する。この際、今すぐダウンロードを開始するか、あるいは深夜などの時間を指定して実行するかも選択可能だ。

 基本的にはこれだけ。番組を複数同時に指定もできる。HDDの容量がそろそろ減ってきたなと感じたら、その都度この操作を実行。ダビング完了後は、HDDから番組を削除して容量回復……という流れだ。

手動でダビングしたいときは「メディアサーバーからダウンロード」を選択
続いてダウンロード元を指定。今回は「UBX4050」を選ぶ
ダビングしたい番組にチェックマークを付け、続いて「ダウンロード」をクリック。
ダウンロード先フォルダーの指定に続いて、処理実行タイミングを選ぶ。すぐさまスタートすることも可能
スマホでの視聴を考えている場合は「低解像度優先でダウンロードする」にチェック。もちろん画質は落ちるが……
ダビング実行中。録画モードによっても所要時間は異なるので、気長に待とう

 DiXiM Media Server側にダビングしてしまえば、あとはもう番組の楽しみ方は人それぞれ。自宅内にある別のテレビからネットワーク経由で再生したりできる。当然、一時停止や早送り/巻き戻しの操作も自在に行なえる。

 ただし、DiXiM Media Server側にはトランスコード機能がないので、録画モード(DR/AVCなどなど……)と機器側のコーデック対応状況によっては、番組を再生できないケースがある。

 また、DiXiM Media Serverに保存した番組をスマホで再生したいとお考えの人も多いだろう。その時は、iOS/Android向けの「DiXiM Play」アプリを使うのが早道だ。ただ、 UBX4050内に保存されている番組を再生している訳ではないので、やや勝手は異なる。

こちらはUBX4050の操作画面。DiXiM Media Serverに保存した番組を選んで、再生を開始
再生中はこんな感じ

 まず、宅外からモバイル回線/公衆無線LANなどを経由して番組を視聴する「リモート視聴」はムリ。DiXiM Media Serverがそもそもリモート視聴に対応していないためだ(ちなみにレコーダのUBX4050はリモート視聴に対応している)。

 加えて、スマホのDiXiM Playで番組一覧を表示すると、各番組名がグレーアウトしていて、再生できないケースがある。これを回避するには番組転送時に「低解像度優先でダウンロードする」にチェックをいれる。こうするとAndroidスマートフォンなどからでも番組を再生できる。

スマホ再生には「DiXiM Play」アプリが便利。ただし、宅外からのリモート視聴は不可
また、ダビング時に低解像度設定をしておかないと再生不可。この画面で言うと、「じゅん散歩」は再生できる。それ以外の番組は、タップしても再生できない

DiXiM Media Serverの仕組みと限界

 少々技術的な話になるが、DiXiM Media Serverのハイライトは「DTCP-IPムーブ・コピー」の“受信”機能を備える点にある。このおかげで、録画番組に厳格な複製防止処理を行ないつつも、宅内ネットワークで自由に番組を視聴できる。

 DTCP-IPムーブ・コピーの受信機能を備えた製品は、それこそ家電各社のレコーダであったり、録画に完全特化した専用機器などが主流だ。ただ、価格も高い傾向にあった。

 しかしDS218jであれば、懐具合に応じてHDDの容量を変えることはもちろん、本来ならPC用データの保管が主役であるNASに、録画番組保存機能を“後付け”できる。何気なくDS218jを買って、それこそ半年~1年経過した後に「あ、8.5ドル追加するだけで録画番組が保存できるんだ。ラッキー♪」と気付くケースもありうる。この拡張性こそが、DS218jとDiXiM Media Serverの利点だ。

DiXiM Media Serverのサポート情報ページ。重要な事が色々書かれているので、ぜひご参照あれ

 一方、気を付けておきたいのが、DiXiM Media Serverへ一旦ダビングした番組を、さらに別の機器へムーブアウトすることはできない点。つまり「DTCP-IPムーブ」の“送信”が不可能なのだ。これはFAQでも明言されている(https://support.digion.com/cs/synology-nas-dms/27)。一旦録画した番組をDiXiM Media Server経由で延々とムーブし続ける……なんてことは難しいのでご注意を。

絶対使いこなしたい「自動ダウンロード」~寝ている間に自動ダビング

 そして、DiXiM Media Serverを使う上で絶対に使いこなしたいのが「自動ダウンロード」機能だ。先ほどは手動で番組をダウンロードしたが、毎週・毎月のように同じ操作を繰り返すのは骨が折れる。その時こそ、自動ダウンロードを試したい。

 設定はやはり「ダウンロード」メニューから行なう。まず最初に録画元機器を選択するのだが、ここで絶対注意したいのがフォルダー指定。とにかく「サブフォルダー以下の番組は録画対象にならない」。これを覚えておいてほしい。

 UBX4050を例に取ると、普通であれば「HDD」のフォルダーを指定すれば良いように思える。しかし実際にはHDDフォルダーのさらに下の階層──具体的には「ビデオ→すべて」を選択しないと、自動ダウンロードの条件にひっかからない。

自動ダウンロード設定は、複数登録しておける
ここでチェックマークを入れてしまってはダメ。チェックせず、機器名をクリック
このような下位フォルダーがあるので、個別番組名が表示される“1つ上の階層”のフォルダを指定すること

 その上で、自動ダウンロードする番組をフィルターによってコントロールできる。フィルター条件項目はタイトル・詳細情報・チャンネル・ジャンル・録画時間・コピーカウント・日付・曜日・番組開始時刻・番組終了時刻・放送波の11種類。録画予約した番組のうち、例えば映画・ドラマだけをDiXiM Media Serverへ自動でダウンロードできる。

 ダウンロードを実行する時間も指定できる。就寝中であったり、仕事で出かけている日中に実行するなど、生活パターンに合わせた調整が可能だ。

フィルターは複数組み合わせられる
フリーワードで番組名を指定してもいい

全録との相性もバツグン

 勘の良い方ならお気付きかと思うが、UBX4050にはチャンネル録画機能、いわゆる「全録」が可能だ。指定したチャンネル(最大6チャンネル)を24時間体制で自動録画し続け、古くなった番組は自動削除される。SNSで話題になった番組を、放送後に遡って視聴できる訳だ。

 このチャンネル録画で蓄積された番組についても、DiXiM Media Serverは自動でダウンロードできる。チャンネル録画はその仕組み上、とにかく沢山の番組が録画されるが、普通の生活をしながら全て見ることは当然難しい。番組をダビングしておきたいというニーズは、おそらく通常仕様のレコーダを使っているユーザーよりも高いだろう。

 設定も特に難しくはなく、フォルダー指定で「チャンネル録画」の下階層を指定するだけ。ただし「すべて(の録画番組)」の設定がそもそもなく、必ず「チャンネル別」「ジャンル別」などと指定することになる。

手動でも自動でも「チャンネル録画」の番組をダウンロードOK
ただし、フォルダー指定が手動と自動ではちょっと異なる

 これは番組数の膨大さや、ハードウェア的な負荷を考慮した上での制限であろう。ただ、それでもフィルター設定が緩すぎると際限なく番組がダウンロードされ続けてしまう。自動ダウンロードの状況は履歴から確認できるので、それを見ながら上手く調整したい。ちなみに、NAS側の残容量が一定値を下回ったときに自動で番組を削除する機能も一応ある。

まとめ~1台で色々使いたいなら絶対NAS!

 今のところ、DiXiM Media Serverが使えるSynology製NASはDS218jだけ。

番組がズラッと並んでも相当余裕がある。これぞ汎用NASによる録画番組管理のメリットだ

 今回2週間に渡って稼働状況をチェックしてみたが、基本的に安定して動作した。ただ、一度だけNASそのものは起動していてもDiXiM Media Serverがダウンしているほか、また、ダビングの失敗が数回あった。原因はよくわからないのだが、このあたりの安定性と何が原因だったかがわかりやすくなるとよいのだが。また、DiXiM Media Serverのレコーダ側の機器対応状況については、もう少し詳しい情報公開を期待したい。

手動ダウンロードの転送履歴を確認。エラー表示が出るのは有り難いのだが、原因がわかりづらい

 繰り返しになるが、NASの魅力はその自由度・汎用性だ。DS218jの例を見ても、HDDを自由に選べるし、保存できるコンテンツの制限も事実上ない。人によっては、DiXiM Media Serverでの録画番組保存が副次的なもので、PCで作成したデータのバックアップがあくまでメインでもいい。PC用ファイルサーバーとしての機能はきっちり作り込まれているから安心だ。QuickConnect機能を使えば、外出先から簡単にDS218jへアクセスし、持ち出し忘れたファイルをオンラインで取得できる。

 また、コピー制限されていないMP3などの音楽ファイルをDS218jにおいておけば、簡単に音楽を共有・再生できる。端末にいちいちファイルをコピーする必要もない。

 家族旅行、結婚式、運動会などのビデオを保存しておくのも便利そうだ。これらの動画は、BD/DVDなどのディスクメディアに焼いて保存するという人も多いだろう。ただ映像配信サービスがこれだけ普及してきた以上、プライベートな動画であってもファイルのまま残すのが今後は当たり前になっていくはず。BD-Rの節約にもなるし、なにより「どのディスクになにを保存したか分からない」「ディスクをなくした」なんて悩みが減るかもしれない?!

 一度もNASを使ったことがない人はもちろん、数年来使ったNASの買い替え先としてもDS218jは非常に良い選択肢だと思う。機能性、拡張性、そして何よりコストパフォーマンスを重視する方なら、ぜひ一度チェックしてみてほしい。

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