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イヤフォンの実力解放! ゲーム音も変わるAZLAイヤーピース「SednaEarfit Crystal」

AZLAから登場した、3Dサラウンドにも対応した新交換用イヤーピース「SednaEarfit Crystal」

カナル型イヤフォンのイヤーピースは、クルマでいえばタイヤに相当するくらい重要なアイテムだったりする。というのも、イヤーピースは耳穴とぴったりフィットして高い遮音性を確保しなければならないし、同時にイヤフォンがぐらつくことなくしっかり固定されることも重要。装着感の快適さも求められる。加えて、イヤフォンのノズル部分と接合する内側の軸部分が大きく変形することのないよう、ある程度の堅さが必要だったり、外側の傘部分に皺がよって帯域バランスを崩さないといった、音質的な悪影響を排除する必要もある。わずか直径1センチ程度のパーツに、様々な機能性が求められているのだ。

一方で、イヤフォンに付属している純正イヤーピースは装着感重視の柔らかいタイプが多かったりする。“装着感の良さ”という意味では良好なチョイスだが、遮音性や音質に対しては好ましくない状況に陥りやすい。製品によっては、イヤフォン本来の(特に音質面での)性能を十全に発揮できないことも生じやすい。そんな状況もあってか、近頃は市販のイヤーピースを活用することで“自分にとって”ベストな装着感と音質を求めるユーザーも増えてきている。

そういった状況のなか、高い人気を集めているのがAZLAの「SednaEarfit」だ。新進気鋭のイヤフォンメーカーAZLAが独自開発したイヤーピースで、788人の外耳道を分析したデータを元にしたデザインや、サイズ違いであっても軸の長さは全く同じにして確かな装着位置を確保。サイズもSSからLの6サイズを用意するなど、幅広いユーザーに良好な装着感をもたらしてくれると人気製品になっている。

一般的なイヤフォン用のオリジナルモデルに加えて、完全ワイヤレス(TWS)などに最適なショートタイプ、堅さの違う2タイプを用意するなど、豊富なバリエーションも人気のポイント。さらに、昨年には体温によって形が変わり吸い付くようなフィット感をもたらしてくれるTPE(サーマルプラスティックエラストマー)素材を採用した「SednaEarfit XELASTEC(セラステック)」も登場。AirPods Pro専用バージョンを用意するなど、さらに多くのユーザーに高性能イヤーピースならではの恩恵をもたらしてくれた。

そんな「SednaEarfit」に、第三の選択肢が登場した。それが「SednaEarfit Crystal」だ。

「SednaEarfit Crystal」

新モデルも豊富なバリエーションがあり、「Standard」「for TWS」「for AirPods Pro」の計3シリーズで展開。価格は3サイズ1ペアで3,980円、1サイズ2ペアで2,980円となっている。

「SednaEarfit Crystal」も豊富なバリエーションを用意している

圧迫ZERO設計、ゲームや3Dコンテンツにも対応

“圧迫ZERO設計”をキーワードにして開発された製品で、シリーズ史上最も長時間着けていても疲れにくい製品に仕上げたとのいう。それを実現するため、様々な素材をテストし、最終的には優れた耐熱性と酸化抵抗性、表面張力の高さ、低温柔軟性をもつドイツ製の最高級LSR(リキッド・シリコン・ラバー)をチョイス。密度がありながらも柔らかいLSR素材を採用することで、長時間使用しても耳への負担が少なく、程よい摩擦抵抗と固定力にで落下の防止にも役立つ。また、かゆみやアレルギーに対しての低刺激性や細菌繁殖の抑制など、清潔さについての配慮も嬉しいポイントだ。

もちろん、「SednaEarfit」本来の特徴も健在だ。幅広いユーザーに確実なフィット感をもたらしてくれる形状や、軸部分の固定力の高さや変形のしづらさによる確実な装着、ホーン形状のノズル先端部を採用することで音の直進性を向上させ、音質や音場変化の低減するなど、イヤーピースとしてのバランスのよさはしっかりと保たれている。

SednaEarfit Crystalではさらに、ゲーム環境や3Dコンテンツも想定し、軸部分の高度をさらに高めるなど、フォーカスのよさを目的とした設計やチューニングが行なわれている。また、低域に関しては単純に強調するのではなく“パンチ力のある真の重低音”を表現できるような配慮もなされているという。

進化ポイントを見るかぎり、実力は大いに期待できそう。さっそく製品を借用し、純正イヤーピースとの比較を中心に試聴してみた。

3タイプのCrystal全試聴! 人気イヤフォンと組み合わせ検証

前述の通りSednaEarfit CrystalにはStandardモデル、TWS用、AirPods Pro用と3タイプが用意されている。要するに、これまで市販されてきた「SednaEarfit」全タイプに“Crystal”バージョンが追加されたカタチだ。せっかくの機会なので、全モデルの試聴し、それぞれどういった特徴をもつかも確認してみた。

まずはStandardモデルから。こちら、これまでの製品同様、SSからLまでの6サイズが用意されている。また、シュアなどノズル部が細い製品にも活用できるようアダプターが付属されているのも嬉しいポイントだ。

Standardモデル。従来のSednaEarfit Shortシリーズと比べ、軸内径が4.5mmから3.5mmに変更され、固定力を強化。
ノズル部が細い製品にも活用できるようアダプターが付属されている

本体を触った印象は、“やや弾力の増したSednaEarfit XELASTEC”といったイメージ。「XELASTEC」ほどの吸い付き感はないものの、摩擦抵抗というか装着性はかなり良好だ。同時に、イヤフォンを理想の位置に保持してくれる“しっかりさ”も持ち合わせている。標準モデルと「SednaEarfit XELASTEC」のよいところを掛け合わせたようなイメージ、と言えるかもしれない。

最初は、リファレンスとして多用しているイヤフォン、final「A8000」で試してみる。finalもイヤーピースにはこだわりのあるメーカーなので、特徴の違いを比較するにはよい相手になってくれるだろうとの期待を込めてのチョイスだ。

final「A8000」

SednaEarfit Crystalに交換すると、まずは装着感の高さが光っている。A8000はイヤフォン本体が比較的重い製品だが、final製ピースと比べてピッタリとフィットしてくれるのでとても安心感がある。また、Standardモデルの軸の長さもちょうどよい。

筆者は純正イヤーピースだと軸が長くて不安定な装着感になりやすいため、普段はfinal製のTWS用(純正に対して軸がちょっと短く傘部分はかなり柔らかいのでフィット感が高い)に交換していたりするが、SednaEarfit Crystalはその中間、まるで「A8000」を想定して開発しているかのような、ベストな位置に安定して装着できる。あくまで筆者にとって、という前提がつくが、抜群に相性のよい組み合わせといえる。

一方、音質的にはほぼ変わらず、ややフォーカス感が向上し、中高域の音量が上がったイメージか。音質的な変化のなさも、A8000愛用者にとっては嬉しいポイントだろう。

ビクター「HA-FW10000」

続いて、ビクター「HA-FW10000」でも試して見る。こちらも、音質のよさに定評ある「スパイラルドット+(プラス)」イヤーピースが純正で付属しているため、比較相手としては強敵だ。

SednaEarfit Crystalを装着し、一聴で感じたのが鮮度感の高さ。総量としてはわずかだが、余計な付帯音が一掃されたかのようなフォーカス良いサウンドとなり、おかげで音場的な広がりや定位感がはっきりと把握できるようになった。

試聴の際は、バランス接続で試聴したかったため、ケーブルをfinalのままにしていて、FW10000との組み合わせでは高域にちょっとしたクセが出ていたのだが、それがあまり気にならない、帯域バランスの良いサウンドにも変化してくれた。もちろん、音の好みは人によって千差万別、スパイラルドット+のほうが好みという人もいるだろうが、FW10000の新たなる可能性を感じ取れたのは嬉しいかぎりだ。

Astell&Kern「AK T9iE」

Astell&Kern「AK T9iE」でも試聴してみる。こちら、beyerdynamicとAstell&Kernのタッグによって生み出したモデルで、ヘルメットのような変わったデザインのイヤーピースが付属している。これをSednaEarfit Crystalに交換すると、どういった効用が生み出されてくれるのか。

感触は良好、装着感はかなり良く、イヤフォンがピッタリとフィットしてくれる。もともと、イヤフォンが比較的外側に位置する製品のため、チョイスするピースのサイズはワンサイズ大きめが良さそう。サウンドについては、キレの良さはそのままに、軽快な低域のややライトなイメージの音色傾向となった。

newspringの「NSE1000-G」

もうひとつ、ちょっとした変わり種というか、国産新ブランドnewspringの有線イヤフォン「NSE1000-G」でも試してみた。こちらは音の変化が顕著だった。純正に比べてかなり客観的というか、バランスの整った表現になる。低域も素の音色が分かりやすく、イヤフォンの魅力をより引き出しているように感じた。好みはあるかもしれないが、オススメできる組み合わせだ。

逆に、手頃な価格帯のイヤフォンとの組み合わせだとどうなるのだろう。グラフェンドライバー搭載ながら、実売約6,200円のTFZ「LIVE 1」は、低価格ながらカタチの異なる2タイプが付属するなど、イヤーピースにもある程度のこだわりが見られる。

他のイヤフォン同様、フィット感がかなり向上して耳からこぼれ落ちにくくなるのはとてもいい。音質は、遮音性が高まった恩恵か、低域が量感が増えたのが好印象。それでいて、ヴォーカルの存在感を邪魔しないため、とても躍動的な音楽に聴こえる。こちらも、良好なマッチングといえるだろう。

Shure「SE535」

Shureも試してみた。付属のアダプターを利用するのだが、装着にはちょっとした手順がある。まず先にイヤフォン側にアダプターを装着してから「SednaEarfit Crystal」を着ける。

ちなみに、手元の「SE535」はコンプライを利用しているため、エアリーなフォームタイプに比べると正直、装着感の快適さでは敵わない。しかしながら、シリコン系としてはかなり快適な装着感で、長時間の使用も快適だった。さらに、耐久性に関してはSednaEarfit Crystalが圧倒的なアドバンテージを持っていたりもする。総合力で考えると、どちらを選ぶか大いに悩むところ。この2つを環境や好みによって使い分けるのも楽しそうだ。

Standardモデルに付属する、ノズルが細いタイプのイヤフォンにも装着できるようにする「ノズルアダプター」を活用する

サウンドの変化は大きく、クリアでフォーカスのよいキャラクターとなる。現代的なサウンドともいえるだろう。こういった音色傾向にSE535がシフトしてくれるという点で、貴重な組み合わせといえる。

AirPods Proの装着感もアップ。ゲームの音も変わる!

AirPods Pro用もラインナップ

続いてAirPods Pro専用タイプを試してみた。アダプターとイヤーピースの2パーツ構成なのはSednaEarfit XELASTECと同じ。一方でSednaEarfit CrystalではSSSサイズが追加され、Lまでの全7サイズ展開となった。

SednaEarfitは一般的なイヤーピースよりも微妙に大きいため、さらに小さいSSSサイズが追加されたのは嬉しい。また、7サイズもあるため、自分にとってピッタリのサイズが選べる点も純正に対して大きなアドバンテージといえるだろう。

AirPods Pro用は一般的なプラスチック製アダプターと異なり、ウレタンコーティングアダプターとイヤーワックスガードを搭載。低域強化と音漏れ防止、アクティブノイズキャンセリング効果の強化にも効果がある。軸部(アダプター)と傘部(イヤーピース)の分離も可能だ

フィット感は、SednaEarfit XELASTECとほとんど変わらないが、傘の部分がほんの少し肉厚になっているため、その分遮音性が高まっている。おかげで、遮音性を高めるために大きいサイズを選ぶ必要もなく、装着感目線でジャストサイズを選べる。遮音性がアップするため、ノイズキャンセリング機能を使った時にも効果が高まる。

音質は、ダイレクト感の高い、クリアな印象のサウンド傾向。圧倒的に純正よりも良好で、基本的な傾向はSednaEarfit XELASTECに近いが、よりピュアさが増したというか、さらに雑味の消えた清々しいサウンドを楽しむことができる。純正に対して低域の量感が減ることもなく、なかなか良好なバランスだと思う。

ゲーム環境や3Dコンテンツも想定されているようなので、AirPods Pro用ではそちらも試して見た。スマホ用のFPSゲーム「Call of Duty: Mobile」をプレイしてみると、確かに純正イヤーピースとは定位感の確かさが違う。

AirPods Proに装着したところ
FPSゲームも確かに、敵の位置がわかりやすい

敵の足音など、方向がより精密にわかるようになるので、スコアにも多少の影響がある。また、立ち上がりがよくキレの良い音になるため、ガンショットの迫力もかなり高まって楽しい。確かに、FPSなどのゲームや、例えばNetflixで映画を見るなど、エンタメ系のコンテンツとは相性のよい製品に感じる。

完全ワイヤレスイヤフォンこそイヤーピースが大事

最後に、TWS用を試してみる。こちらは、Standardモデルに対して高さがやや短く、ショートノズルのTWSを想定したデザインとなっている。サイズはAirPods Pro用と同じく7サイズが用意されている。

TWS用は、Standardと比べて軸部の高さが8.8mmから6.9mmへと短くなっている

まずはag「TWS04K」を組み合わせてみる。使用したサイズは左右ともにSとなった。ちなみに「TWS04K」には、final製のTWS用イヤーピースが同梱されているので、SednaEarfit Crystalへの変更はA8000の時と近い傾向があった。

まず、吸い付きの良さから装着感が高まり、音もよりダイレクトな表現にシフトする。細かい音が聴き取れるようになったり、表現力が向上しているのはとても好ましい。また、低域の量感が高まるが、持ち前のフォーカスのよさからバランスは悪くない。サウンドキャラクターは好みによるが、純正に対して別のよさを提供してくれる、交換の楽しさを味わえる組み合わせだ。

ag「TWS04K」

続いて、GLIDiC「TW-4000」でチェック。「TW-4000」は耳の小さい女性であっても違和感なく装着できるコンパクトサイズが特徴で、カナルワークス監修のデザインとも相まって、軽快な装着感を持ち合わせている。

SednaEarfit Crystalを組み合わせると、イヤフォン本体の位置は変わらないまま、イヤーチップの位置が浅くなった。「TW-4000」は比較的細くて長め、奥の方に装着するイヤーピースが付属しているが、SednaEarfit Crystalがそれをごく一般的な位置にしてくれる。それでいて、持ち前のフィット感のよさで装着時の安定は変わらず。純正イヤーピースが耳奥に入りすぎと感じている人には上手い解決法となってくれるかもしれない。

ちなみに、サイズは左右ともにSが筆者にとってはベストだった。また、音質面では、楽曲によっては音量過多となる低域がうまく整理されたため聴きやすくなった。

GLIDiC「TW-4000」

手元にあったAnker「LIBERTY NEO2」も試してみる。こちらの製品、どうも“大きいイヤーピースを組み合わせて浅めに装着する”のが本来の姿の様子。加えて、完全ワイヤレスイヤフォンならではの装着のシビアさとも相まって、細かいサイズ調整が必要だった。結果、筆者は左がMS、右がMがベストだった。逆にいえば、純正は随分と大雑把なフィッティングで、それでもある程度のサウンドを確保していたことにかえって感心させられた。

しかし、SednaEarfit Crystalに交換してみると、帯域バランスの良い、クリアなサウンドへとシフト。それでいて低域の迫力は損なわれず、なかなか魅力的なサウンドを聴かせてくれた。浅めの装着となるため、格段に向上したフィット感も嬉しいかぎり。こちらも相性のよい組み合わせといえるだろう。

Anker「LIBERTY NEO2」

上記のとおり、TWSは想定されている(耳の中の)ノズル先端位置が製品によってかなり異なるため、イヤーピースのサイズも、有線イヤフォンとは異なる場合が多い。SednaEarfit Crystalでは3サイズが同梱されたパッケージも用意されているので、TWSタイプを購入する際はこちらをオススメしたい。

最高の“SednaEarfit”

SednaEarfit Crystalはオリジナルのアドバンテージを活かしつつ、さらに装着感のよさを追求したモデルに仕上げられた、現時点で最高の“SednaEarfit”と言える。

特に装着感については、XELASTECに勝るとも劣らない、しっかりさを持ち合わせているのは出色の出来といえる。同時に、音質面でもフォーカスの高さ、音のピュアさについても魅力的だ。組み合わせるイヤフォンによっては純正はおろか標準モデルや「XELASTEC」以上のマッチングのよさを見せてくれるだろう。

使い勝手のよい、かつイヤフォン本来の実力を十全に発揮してくれる優秀な製品だと思う。