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「驚きしかない」EarFunからデュアルドライバ、強力NC、120時間再生で8990円「Tune Pro」

EarFun Tune Pro

“EarFunのヘッドフォン”第二弾が登場

EarFunから、同ブランドとして2ndモデルとなるワイヤレスヘッドフォンが12月26日に登場した。それがANC搭載のワイヤレスヘッドフォン「Tune Pro」(8,990円)だ。

2024年春に登場した1stモデル「Wave Pro」は、最大45dBを誇る独自ANCや良質なサウンド、質感のよい外観、それでいて9,000円を切る価格設定など、初のヘッドフォンとは思えない完成度の高い魅力的な製品に仕上がっていた。

それゆえに、次の製品開発はいろいろと難しかろう、下手をすると発売まで数年かかるのでは? と勝手に想像していたが、何と1年も経たずして新製品が登場。さすが中華系ブランド、と驚くスピードの速さだ。

新モデルの「Tune Pro」は、Wave Proとほぼ同価格帯ながら、より大容量のバッテリーを内蔵し、2基のドライバーを搭載。VGP2025の金賞を受賞するなど、かなり見どころの多いヘッドフォンになっている。

ANCは超強力

まず、EarFunが得意とするアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能から見ていこう。

同ブランドの最新技術が盛り込まれた独自ANCシステムを搭載している。密閉型ハウジングと、フィードバック/フィードフォワードを組み合わせたハイブリッド式ノイズキャンセリング技術を使うことで、-45dBという高スペックを実現しているという。ちなみに、このスペックは同ブランドとしても最高峰の数値だ。

実際に試してみたところ、かなりの効果が感じられた。特に暗騒音などと呼ばれる中低域のノイジーな騒音が見事にかき消されている。高域の騒音も、音量がかなり落ちて気にならなくはなるが、完全には消えない。ただ、屋外で使っている時に、自動車が近づいてきた事が高音でわかるなど、逆に高音が少し聞こえたほうが安心なこともある。

イヤーパッドやヘッドバンドも肉厚で装着感も良好だ

ANC機能は本体左側のボタンからオン/オフや外音取り込みへの変更が操作できるほか、専用アプリを活用することで「風ノイズキャンセリング」「快適なノイズキャンセリング」「深いノイズキャンセリング」という3タイプを、場所や好みに応じて切替えるられる。ANC機能を重要視している人も、充分満足できる内容だろう。

専用アプリから、ANCの動作モードを選択できる

ヘッドフォン本体には左右合計計5基のマイクを配置しており、これに最新のAIノイズキャンセリング技術を組み合わせることで、騒がしい環境でもハッキリとしたクリアな通話音声を実現しているという。

ユーザーに最適なサウンドに設定する機能も搭載

このほかにも、「Tune Pro」は様々な機能性を持つ合わせている。

なかでも、特に注目したいのがサウンドモードの多彩さだ。通常モードに加え、55msecの低遅延を誇る「ゲームモード」、広がり感が高まる3Dサラウンド技術を採用し、Netflixなどの映像配信を観る時に臨場感が高まる「シアターモード」を用意。音楽リスニングだけでなく、ゲームや映画も楽しめるよう工夫されている。1台のヘッドフォンで幅広いコンテンツが楽しめるようになっているのは嬉しいかぎりだ。

遅延を抑えるゲームモード、広がりのあるサウンドになるシアターモードも利用可能

専用アプリにはもうひとつ、イコライザー機能も用意されている。こちらは音楽ジャンル別や低音/高音をブーストするプリセットが用意されるほか、10バンドのカスタムイコライザーも選択できる。好みの音色傾向にカスタマイズすることも可能となっている。

10バンドのカスタムイコライザーで好みの音に変更できる

さらに「適応イコライザー」という機能もあり、手動ながら、ユーザー個人個人に最適な設定を作り上げることもできるようになっている。

適応イコライザーを使い、ユーザーに最適な設定を作ることもできる

さらに、USBケーブルでPCやスマートフォンと接続することで音楽が楽しめる「USBオーディオ機能」や、アナログ接続も可能など、ワイヤレスだけでなく多彩な接続方法が可能となっている。

スマホなどとUSB接続したり、ステレオミニのアナログケーブルでの接続も可能だ

このほかにも、Bluetooth5.4対応による安定した接続性を確保。コーデックはSBCとAACに対応している。「Wave Pro」とは異なりLDACには非対応だが、アナログ接続によってハイレゾ音源も楽しむことができるという。加えて、最大2台のデバイスが同時接続できスムーズな切り替えが行えるマルチポイント接続にも対応。

さらに、1,100mAhという大容量バッテリーを搭載することで、3時間のフル充電で最大120時間(ANCオンでも最大80時間)の連続再生が行なえる。Wave Proは80時間なので、このスタミナ仕様は嬉しい。充電する機会が減るので、日常ユースでの利便性は大きくアップする。

デュアル・ダイナミックドライバーによる驚きのサウンド

そして、「Tune Pro」最大の特長であり魅力といえるのがそのサウンドだ。

なんと、PET複合膜振動板を採用する40mm口径ダイナミック型と、LCP複合膜振動板を採用する10mm口径のドライバーによるデュアル・ダイナミックドライバー構成を採用しているのだ。

ちなみに、ヘッドフォンでデュアル・ドライバー構成を採用する製品はほとんど存在しない。というのも、コストが嵩むこと、配置やクロスオーバー設定などの音質調整が難しかったりと、様々なハードルが存在しているからだ。

それを9,000円を切る価格設定のワイヤレスヘッドフォンに採用するなんて、もう驚きでしかない。技術資料が入手できなかったため写真からの推測となるが、どうも同軸(にみえる)配置にすることで一般的なダイナミック型ドライバーとそう変わらない薄型コンパクトなユニットを作り上げた様子。いったい、どんなサウンドを聴かせてくれるのだろう。

デュアル・ダイナミックドライバー構成。2つのドライバーを同軸に配置しているようだ

ということで、Nothing Phone(2)とAACでワイヤレス接続、じっくり「Tune Pro」を試聴してみた。

デュアル・ダイナミックドライバー構成の恩恵か、実体感のあるリアルな歌声が楽しめる。ヴォーカリストそれぞれの声の特徴がしっかりと伝わってきてくれるので、なかなかに楽しい。

声優5人が歌う「五等分の気持ち」は、それぞれの声の特徴がハッキリと伝わってくる。宇多田ヒカルもAimerも普段と変わらないニュートラルな歌声を披露、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はR指定の七色変化な歌い上げが存分に楽しめる。

なかでも驚いたのが、石川智久のアルバム「ILLUSTRATED NEXUS ENCYCLOPEDIA」の1曲「SILENT PRAYER #2」。奄美民謡の第一人者である朝崎郁恵が島唄「行きゅんな加那」を歌っているのだが、彼女ならではの朗々とした、それでいて深みのある彼女ならではの印象的な歌声を楽しむことができた。正直、AACコーデック接続のBluetoothワイヤレス・ヘッドフォンでここまで実体感のあるサウンドを楽しめる製品はそうそうない。

サウンドキャラクターとしては、スピード感があって低域の量感もしっかりあるイマドキのバランスに纏まってはいるが、低域のフォーカスが高かったり中域がピュアでダイレクトな音色だったりと、基礎体力の高さを感じさせるサウンドに仕上げられている。おかげで、幅広いジャンルの音楽が遜色なく楽しめる。ことサウンドに関しては、価格からは想像できない良質さだ。

最後に有線接続の音も聴いてみよう。iBasso Audioの小型DACアンプ「DC-Elite」をNothing Phone(2)に接続、そこから有線接続した。

有線接続のサウンドは、EarFunが手掛けてきたイヤフォンの傾向に近い、キレのよいクリアネスなサウンド。“EarFunらしさ全開”というイメージだ。解像度も格段に上がり、音場の見通しもよい。どちらかというとHi-Fi調だ、高域が鋭く伸びる傾向なので、ワイヤレス接続の方が好みという人もいるだろう。J-POPをメインに聴く人などは、イコライザーで多少の調整をするのもいいだろう。

Tune Proは機能性やバッテリー持続時間の長さもさることながら、デュアル・ドライバーによる音質も魅力あるヘッドフォンに仕上がっている。この価格でこのサウンドが手に入るのは驚きでしかない。是非とも、そのサウンドを体験して欲しい。

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クーポンコード:AWHPEFDM
・クーポン使用期限:2025年1月17日~2025年2月17日23時59分
・対象モデルEarFun Tune Pro
・通常価格:8,990円
・クーポンコード適用後の価格:6691円

野村ケンジ

ヘッドフォンからホームシアター、カーオーディオまで、幅広いジャンルをフォローするAVライター。オーディオ専門誌からモノ誌、Web情報サイトまで、様々なメディアで執筆を行なうほか、レインボータウンFMの月イチ番組「みケらじ!」にレギュラー出演、YouTube「ノムケンLabチャンネル」を運営するなど、様々なメディアで活躍している。最も得意とするのはヘッドホン&イヤホン系で、年間300モデル以上の製品を10年以上にわたって試聴し続け、常に100製品以上を個人所有している。一方で、仕事場には100インチスクリーンと4Kプロジェクタによる6畳間「ミニマムシアター」を構築し、ステレオ用のプロフェッショナル向けTADとマルチチャンネル用、2系統のスピーカーを無理矢理同居させている。