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「色割れの無さ、発色の良さに驚く」AWOL Vision、超短焦点レーザープロジェクタ「Aetherion Max/Pro」に迫る

左から「Aetherion Pro」、「Aetherion Max」

映画やアニメ、スポーツ中継などを楽しみたい時、壁などに大画面を投写できるプロジェクターが人気だ。小型で低価格な製品も増えたことで、大画面テレビの代わりとして買う人も増えている。だが、日常的に使う製品だからこそ、照明がついた部屋でも使える“明るさ”や、映像に没入できる“画質”を備えた製品を選びたい。

そんな人に要注目のプロジェクターが、日本に本格上陸した。AWOL Vision(エーウォル ビジョン)が手掛けた、超短焦点型4K RGBレーザープロジェクター「Aetherion Max」と「Aetherion Pro」の2モデルだ。

Aetherion Pro、Aetherion Max

理由は2つある。

1つは、手掛けた会社のAWOL Vision。ぶっちゃけ、まだ馴染みがない人も多いだろう。だが、下の写真のプロジェクターは、見覚えがあるはず。そう、デザイン性の高い筐体や、DLPプロジェクターの弱点であるカラーブレーキングを「Anti-RBEテクノロジー」で解消するなど、独自技術も話題となったAWOL Visionの「Valerion Max」だ。

AWOL Visionの「Valerion Max」

実はこのAWOL Valerionシリーズを作っているのも、AWOL Visionという2020年に米国で設立された会社。つまり、AWOL Visionブランドには、長焦点プロジェクターの「AWOL Valerionシリーズ」と、超単焦点プロジェクターの「AWOL Aetherion」シリーズが存在するわけだ。

そのため、Aetherion MaxとAetherion Proには、超短焦点プロジェクターとしての画質を高める技術に加えて、AWOL Valerionで話題になった技術や、それをさらに進化させた技術も投入されている。これが、Aetherion Max/Aetherion Proが注目機である1つ目の理由。

もう2つ目は、このAetherion Max/Aetherion Proの映像を、店舗で、実際で体験できるようになったということ。8月18日から、クラウドファンディングのMakuakeで先行販売がスタートしているのだが、やはり、安くない買い物なので“実物を見てみたい”と思う人が多いだろう。

本格上陸にあたり、AV Watch読者にはお馴染み、あのホームシアター・オーディオ専門店のアバックが販売代理店となり、18店舗でAetherion Max/Proを体験できるようになった。

そこで、改めてAetherion MaxとAetherion Proの特徴を見ていくと共に、そのクオリティを、山本浩司先生に、アバック新宿本店にてチェックしていただいた。

Aetherion Max/Aetherion Proの特徴

Makuakeで先行販売されているAetherion Max/Pro。8月日時点では、以下のようなプランが購入できる。正式発売は10月の予定だが、その価格よりもかなり手に届きやすい価格のプランが用意されている。

  • Aetherion Max 早割プラン 384,800円(719,800円より46% OFF)
  • Aetherion Pro 超早割プラン 309,800円(559,800円より44% OFF)
  • おすすめセット
    Aetherion Max+100インチ床置き電動ALRスクリーン:629,600円(1,049,600円より40% OFF)

Makuakeの先行販売ページ

プロジェクターというと、部屋の天井から吊り下げて、スクリーンに投写するイメージがあるが、Aetherion Max/Proはどちらも、壁際の床に設置し、白い壁などに大画面を投写できる超短焦点タイプ。設置しやすく、ホームシアターを手軽に始められる。さらに、投写中に、家族がプロジェクターの前を横切って映像が見えなくなった……なんて事もなく、使いやすいのも特徴。その一方で、“画質はそれなり”という印象を持たれがちな製品でもある。

だが、AWOL Visionは、そこにメスを入れた。

というのも、AWOL VisionのCEO アンディ・チャオ氏は、大の映画好きであると同時に、画質にもこだわりを持つ人物。自分のホームシアターを作ろうと思い、市場の人気モデルを10機種ほど集めてテストしたが、満足できず、「ならば自分で作ろう」と決意。テレビを開発していたエンジニア達を集めてAWOL Visionを立ち上げたというから、ハンパではない。

CEOのアンディ・チャオ氏

高画質の根幹となるのが、RGBピュアトリプルレーザー光源。上位機のAetherion Maxは3,300 ISOルーメン、Proは2,600 ISOルーメンと、非常に明るいだけでなく、純度の高い鮮やかな映像も実現できる。このレーザーと0.47インチのDMD(TI製のDLPC8445)を組み合わせたDLP方式を採用する。

超短焦点プロジェクターは、短い距離から大画面を投写するために、特殊な投写レンズを用いる。Aetherion Max/Proは、100インチ映像の場合、壁から15.8cmの距離で投写可能だ。この投写レンズも画質を左右するが、Aetherion Max/Proでは、高屈折率のサファイアガラスを使った、超低分散設計のレンズを採用する事で、色収差をほぼゼロに抑え、希土類コーティングも施している。

投写レンズ
高屈折率のサファイアガラスを使っている

コーティングのプロセスにもこだわっており、従来のコーティングよりも高度かつ高コストな「惑星式コーティング」を採用。「業界での成功率はわずか50%」という、高い技術が必要なプロセスで、レンズを多軸同期回転させることで、完全に均一で、高精度な光学膜を実現したそうだ。

さらに、すべてのピクセルを所定の位置に固定させ、画像サイズが変化してもズレを防ぐPixelLock技術や、反射素子の間にチタン製サーマルメッシュを組み込むことで、精密な遮熱シールドを作り、光学系を安定させ、長時間投写してもフォーカスがズレない技術も用いている。

コントラスト比はネイティブ6,000:1だが、7段階IRIS(絞り)制御や、EBLアルゴリズムにより、表示コントラスト比は最大60,000:1。Rec.2020で110%の色域も実現している。

IRIS機構には、業界初という黒色化ブレードとバレル設計をすることで、内部での光の反射を抑え、暗部シーンの鮮明さを高めた。HDRはHDR 10/HLG/HDR 10+をサポート。Dolby Vision、Dolby Vision Gaming、IMAX Enhancedにも対応する。

Dolby Visionにも対応する

画質面の大きな特徴が、前述の「Anti-RBE技術」だ。単板式のDLPプロジェクターでは、カラーホイールを回転させることで、色を順番表示する時分割方式を採用しているため、色のチラつきや残像といった、レインボーノイズ(カラーブレーキング)が発生してしまう。

AWOL Visionが生み出したAnti-RBEは、カラーホイールを使わず、RGB三色レーザーを超高速で切り替えることで色の順番表示を実現している。そのため、目が色のチラつきを認識しにくくなり、自然な色表現を実現。色ズレや残像を抑え、レインボーノイズを99.99%低減したという。クリアな映像になるほか、長時間でも目が疲れにくいというメリットもある。

なお、Valerionブランドのプロジェクターでは、この機能をON/OFFできたが、Aetherion Max/Proでは常時ONとなる。「Anti-RBEテクノロジーをより進化させることで、常時ONでも画質に問題がないという自信があるため」だという。

左側がカラーブレーキングが出ている映像、右は「Anti-RBEテクノロジー」で対策した映像だ

OSはGoogle TVを採用し、プロジェクター単体でNetflixなどの映像配信サービスのコンテンツを再生・表示できる。スピーカーも内蔵しているので、このプロジェクターを床に設置するだけで、ホームシアターをスタートできる。

スマホアプリで投写映像を撮影して、台形補正を手軽に行なう機能や、ユーザーが細かく調整する機能も用意されている

山本浩司がチェック。「カラーブレイキングノイズの無さ、赤の発色の良さに驚かされる」

アバック新宿本店で、2モデルの画質をチェックした

米国フロリダ州に本社を、香港に開発拠点を置く新進気鋭のプロジェクターメーカーAWOL Vision。同社のAetherion Maxのレビュー記事を今年の3月に書いたが、今般、弟機のAetherion Proとともに、我が日本市場での本格展開が始まることになった。

販売代理店となるのはアバックで、全国13店舗でこの両モデルの視聴が可能になるという。

8月17日、アバック新宿本店に出かけ、Aetherion Max/Proそれぞれの画質をチェックすることができた。組み合わせたスクリーンは同社製の電動昇降式120インチ。幕面は濃いグレーで、上方からの光をカットする光学ノコギリ構造を持つレンチキュラー・タイプのALRスクリーンである。

電動で昇降する120インチのALRスクリーンで画質をチェックした

Aetherion Max/Proは超早割価格で7万円ほどの値段差があり(Maxのほうが高い)、ともにボディを巧みに面取りした未来的なデザイン。好き嫌いは当然あると思うが、これほど清新な意匠で目を惹く製品は、国産機には存在しないと言っていいだろう。この筐体はMaxがアルミニウム製、Proは樹脂製とのことだ。

Aetherion Max
Aetherion Pro。デザインやサイズ、重量は同じ。筐体はMaxがアルミニウム製、Proは樹脂製
電源をOFFにすると、レンズカバーが閉じてホコリの侵入を防いでくれる

まずスクリーン直下にAetherion Maxを置いて、いくつかの映像コンテンツを見せてもらった。3月の時点では同じスクリーンの100インチ・タイプで画質をチェックしたが、この短焦点プロジェクター、120インチ投写でもまったく問題なく緻密な映像を訴求し、筆者を驚かせた。

映画『プラダを着た悪魔2』のサントラにも収録されている、レディー・ガガとラッパー、ドーチーのコラボ曲「Lady Gaga, Doechii - RUNWAY」のミュージックビデオ、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』、ビコムの「世界自然遺産 小笠原 【4K・HDR】~ボニンブルーの海~」、映画「トップガン マーヴェリック」(すべて4K画質)、それにぼくが持参した映画「落下の王国」のUHDブルーレイで画質チェックしてみた。

共通して印象的なのは発色の良さとDLPプロジェクターらしいハイコントラスト感、それに天井の照明を点けた状態(100ルクス程度)でも色が白っちゃけたり、黒が浮いたりせず、力強い映像を訴求する基本性能の高さだった。

もちろんこれは環境光対策を施した専用スクリーンとの組み合わせならではの魅力なのだが、この画質なら「巨大なテレビ」として日常的に使うことができるなと確信した。

それから改めて驚かされるのは、単板式DLPプロジェクターの宿命と言われていたカラーブレイキング(色割れ)ノイズがまったくと言っていいほど検知できないことだった。

Aetherionでは光源として日亜化学工業製RGB 3色モジュールが採用されており、これを高速点滅させて時分割でフルカラーを得ているが、今回の視聴ではレインボーノイズが目障りになることが多い白文字の字幕の出し入れ時にもまったく検知できなかった。

従来のカラーホイールを回転させていた単板式DLPプロジェクターに比べて劇的に改善されているし、長焦点プロジェクターのAWOL Valerionシリーズと比べても色割れノイズは少ない印象だ。

Anti-RBEテクノロジーによる、カラーブレイキング(色割れ)ノイズ低減のイメージ

色再現については赤の発色の良さに驚かされる。朱色からオレンジ、紅色まで見事に描き分ける印象だ。とくに紅色のパワフルな表現に目を惹かれる。スキントーンも赤みが強く感じられる。

色温度6500Kの映画画質を訴求した他社製プロジェクターや大型テレビでは、グリーンに寄ったホワイトバランスに陥りがちなのだが、そんな色褪せた画調がぼくは好きではないので、このホワイトバランスはとても好ましい。

またこの赤みがかった肌色は、最新の3板式DLPプロジェクターを採用したドルビーシネマやIMAXなどの高画質映画館と共通したテイストのように思える。

AWOL Vision本社から画質担当エンジニアが来日していたので、この赤の表現について質問してみたところ、「RGB 3色レーザーの色域の広さを十分活かすべく映画を数千本観てチューニングしました」とのこと。

Aetherion Pro

下位モデルのAetherion Proの画質はUHDブルーレイ「落下の王国」でチェックした。イーサリオンMaxとのスペック上の違いは明るさのみ。Proが2,600 ISOルーメン、Maxが3,300 ISOルーメンだ。

<ドルビービジョンブライト>モードで見比べてみたが、画調は共通していて、じつに明快で色合い豊かな映像だ。このコンテンツでは顕著な明るさの違いは感じられなかったが、明かりを残した状態で「巨大なテレビ」的な使い方をした場合にその差が大きく出るのかもしれない。

もっとも細かく見ていくと、小面積の白ピークの伸びや黒の締まり、人物のクロースアップショットでの精細感などでAetherion Maxの優位性が見てとれた。レーザー光出力の違いだけとはちょっと思えない画質の違いなのである。7万円ほどの価格差ならば、ぼくはMaxを選ぶかな。

Aetherion Max

しかし、いずれにしても30万円台でこの高画質プロジェクターが入手できるのは驚きと言うほかない。安価なプロジェクターの場合、白壁にその映像を映すというケースが多いと思うが、Aetherionはそんな使い方をしてほしくない。この環境光対策済みの同社製スクリーンとの組み合わせを断然お勧めする。

高画質大画面で生活の質を高めたいとお考えの方で、このインプレッション記事にご興味を持たれた方は、ぜひアバックの体験可能な13店舗を訪ねてみてほしい。

Makuakeの先行販売ページ

AV Watch編集部
山本 浩司

1958年生れ。月刊HiVi、季刊ホームシアター(ともにステレオサウンド刊)編集長を務めた後、2006年からフリーランスに。70年代ロックとブラックミュージックが大好物。最近ハマっているのは歌舞伎観劇。