プロジェクタの展示イベント「infocomm japan 2002」が開幕
―シャープが新型DLPプロジェクタを参考出品


開催期間:7月24日~26日

会場:東京ビッグサイト 西1・2ホール


 プロジェクタを中心としたプレゼンテーション機器のイベント「infocomm japan(インフォコムジャパン)2002」が、東京ビッグサイトで開幕した。期間は24日から26日まで。入場料は1,000円。

 同イベントは、今回で3回目の開催となるプレゼンテーション機器の総合展示イベント。主催は日本工業新聞社The International Communications Industries Association(ICIA)。今回は第2回の121社を下回る、103の出展社・団体が集まった。

 プレゼンテーション向け機器のイベントとあってか、データプロジェクタの出品が大勢を占めるのが特徴。しかし、市場を反映して、今回は各所でホームシアター向けプロジェクタの出品が見受けられた。


■ シャープ、ホーム向けDLPプロジェクタを参考出品

参考出品されたホームシアター向けDLPプロジェクタ。Z9000の曲面デザインをさらに押し進めている

 シャープは、ホームシアター向けのDLPプロジェクタを参考出品した。型番などはまだ未定で、2001年9月発売の「XV-Z9000」の下位モデルという位置づけになる。今秋にも発売される見込みで、価格は未定。

 サイズはZ9000からかなり小さくなっており、ソニーのVPL-HS1(Cineza)程度。本体にはつやのある塗装が施され、スイッチ類にも透明パーツを用いるなど、高級感はかなり高い。

 レンズの口径はZ9000とほぼ同じ。また、同社のプロジェクタらしくレンズシフト機構を備えている。コンポーネント、S映像、コンポジットの映像入力を搭載するほか、アナログRGB入力も装備。

 シャープブースでは静態展示のみで、投写デモは行なわれていなかった。ただし、AVACの設けたシュートアウトコーナーで投写を行なっている。DMDらしい滑らかな快調が得られており、画質面での期待は高い。

 シャープでは、Z9000の好調な販売結果から、DLPでのラインナップ拡充を検討。2001年に各社から発表が相次いだホームシアター向け小型機分野にも、DLPで望むことを決定したという。


同社のプロジェクタらしくレンズシフト機構を装備。本体下部につくチルト台は、ソニーのCinezaのように自在なチルトが可能だという 本体の操作部。Z9000と同じく「SHARPVISION」のロゴがついている 天吊りしている実機を背面から撮影した。入出力は、コンポーネント、S映像、コンポジットとシンプル

本イベントで発表されたXG-C50X。キャリングハンドルは教育市場をターゲットにしたため前面に配置したという

 また、重量5.1kgのデータ用液晶ポータブル機「XG-C50X」を正式発表した。ビジネス市場に加えて教育市場も視野に入れたモデルで、液晶パネルには0.99型XGA(1,024×768ドット)を搭載。レンズは1.27倍の手動ズームレンズを搭載する。さらにレンズ交換も可能で、ワイドオプションレンズがオプションとして用意されている。

 最大の特徴は3,000ANSIルーメンという明るさで、光源には250W UHPのランプを使用。クラス最高輝度としている。ほかにも、ネットワーク機能の搭載や、消音モードで33dBの静粛性、スチール製のキャリングハンドルといった特徴を持つ。

 光学系には折り曲げミラーを使用しない「新L型光学系」を採用。3つの液晶パネルをブローファンで冷却し、高輝度と静音化を実現したという。

 画質面では「新高画質化回路」を搭載。コンポジット信号入力時のガンマの最適化や、エリアにあわせたIP変換、ボケ感を感じさせないノイズリダクションを実現したとしている。

レンズ交換できるのも特徴。会場にはワイドレンズユニットも展示していた 背面の入出力端子パネル。コンポーネントはアナログRGBと兼用になる

□関連記事
【7月24日】シャープ、輝度3,000ANSIルーメンの液晶プロジェクタ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020724/sharp.htm


■ 国外向け50型プラズマディスプレイを展示したヤマハ

 ヤマハは、50型プラズマディスプレイの「PDM-1」を出品した。9月から米国と欧州、アジアの一部に向けて発売する製品で、価格は13,000ドル程度になると見られる。パネル解像度はワイドXGA(1,280×720ドット)。

 チューナを搭載しないディスプレイタイプの製品だが、完全に業務用というわけではなく、ホームシアター需要にも応えたいとしている。パネルのメーカー名は非公開だが、「フィルムライクな画質、黒のしまりを実現するパネルを採用した」と説明していた。

 日本国内での発売は未定。同社は2001年10月にプラズマディスプレイの発表を行なっているが、今回は販売価格の面で折り合いがつかず、国内発売を未定とした。

ヤマハの50型プラズマディスプレイ「PDM-1」。ビデオ入力を搭載し、どちらかというとホーム市場をターゲットにしているという ホームシアターのデモンストレーションでもPDM-1が活躍していた。左はDSP-AX630などを組み合わせた例。右では6.1ch対応のホームシアターシステム「DVX-S100」を使用

 また、8月末発売の液晶プロジェクタ「LPX-500」の展示も行なっている。2001年4月発売のDPX-1に続く製品で、今回はDLPではなく、液晶パネルを使用。液晶パネルの採用理由について聞いたところ、「DPX-1の設計時、液晶ではヤマハの求める画質が得られなかった。その後約1年が経ち、液晶も十分に高画質になった。価格もDPX-1より安くできるので、ラインナップを増やす意味でも投入する」との回答を得た。

 会場で頒布していたカタログによると、一部の仕様が発表時と異なる。これは「発表後に、端子と本体の隙間からの光漏れを抑える改良を行なったところ、コントラストと静粛性が向上してしまった」ためだという。具体的には、コントラストが600:1から800:1へ、騒音が32dBから30dBへと、それぞれスペックアップした。

ヤマハ初の液晶プロジェクタLPX-500。1,280×720ドットのパネルを使用し、1080i、720pの入力が可能。HTPC用にDVI端子も装備している

□関連記事
【6月6日】ヤマハ、XGAワイドパネル搭載のホーム向け液晶プロジェクタ
―ファロージャ製DCDiを採用、DVI端子も装備
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【2001年10月3日】ヤマハ、プラズマディスプレイ事業に参入
―フラットパネルスピーカーもFPSと共同開発
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011003/yamaha3.htm


■ NECビューテクノロジー「壁色補正」などを搭載した新モデルを参考出品

 NECビューテクノロジーのブースでは、今年中に発売予定の新製品を参考出品していた。データプロジェクタ「MTシリーズ」の新モデルで、「MT1065」という型番が暫定的についている。パネル解像度は1,024×768ドット、明るさは3,000ANSIルーメン。

 最大の特徴は、「壁色補正機能」、「オートフォーカス」、「SQUARE SHOT」という新機能を搭載したこと。壁色補正とは、壁に直接投射する場合、その壁の色に合わせた白補正を行なうというもの。投射した画像をレンズ脇に装備したイメージセンサで読み取り、本体内で補正して最投射する。補正は数秒で完了する。

 同じくイメージセンサを利用するのがオートフォーカスで、ボタンを押すと格子状のパターンを投影、格子のぶれをイメージセンサが読み取り補正する。これらは本体、またはリモコンのボタン1つで実行でき、壁色補正とオートフォーカスを一度に作動させることもできる。

 SQUARE SHOTは、縦横台形補正機能の一種。カーソルボタンなどで調整するのではなく、本体に装着したマウスを使う。歪んだ画像の四隅をマウスでドラッグすることで、補正を行なうというもの。直感的な操作が可能な上、スクリーンを基準にすれば、従来より正確な補正が行なえる。

 MT1065の価格は未定だが、「同クラスの製品と同程度を目指したい」としている。

壁色補正とフォーカス合わせをオートで行なうMT1065。補正機能はワンボタンで行なえる


■ そのほか

 今回のinfocommでは、アバックが自社のブースの横にシュートアウトコーナーを設置。そこには、ホームシアター向けの最新機種の投写デモが行なわれている。会場内にブースを持たないソニーやプラスビジョンの新製品もここで視聴できる。

 また、天吊り金具、プラズマディスプレイ用の置き台、AV制御システムなど、ホームシアターに関わる出品も意外に多かった。

Pianoにプログレッシブ出力への対応などのブラッシュアップを施したプラスビジョンの「Piano Avanti」。右は本体後部の入力端子部 ソニーの主力モデル「VPL-VW12HT」もデモンストレーションに参加していた

パイオニアはWeb限定のプラズマテレビのカラーモデルを展示。36色すべてが出品されているわけではないが、購入前に雰囲気を確かめることができる ホームネットワークシステムの「AMX」をアピールしたエレクトリ。AV機器や照明、エアコンなどを一括コントロールできる。会場ではリカちゃん人形を使ったミニチュアハウスで解説 松下電器は、50V、42V、37Vの業務用プラズマディスプレイを出品。すべて家庭用で展開中の「プラズマリアリティ」搭載のパネルを使用したもの

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□infocomm Japan 2002のホームページ
http://www.infocomm.jp/japanese/
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【7月10日】日本工業新聞社、「InfoComm Japan 2002」の開催概要を発表
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020710/info.htm
【2001年8月29日】プレゼン機器の展示会「INFOCOMM Japan 2001」が開幕
―AVメーカー各社もプロジェクタを中心に展示
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010829/infocomm.htm

(2002年7月24日)

[orimoto@impress.co.jp]

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