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全地球を超小型衛星で常時撮影した画像を販売するサービス。報道・自治体向け

 スカパーJSAT子会社の衛星ネットワーク(SNET)は31日、多数の超小型衛星を使って地球上を常時撮影し、衛星画像を低価格で販売するサービスを開始した。自治体や報道関係機関などの利用を想定したもので、常時地球観測の衛星画像販売サービスは世界初としている。

SNETの衛星画像販売サービスで利用する米Planet. Labsの超小型地球観測衛星「Dove」

 地球表面上の様子を観測し、撮影画像を提供するリモートセンシングサービスは、少数の地球観測衛星を使って撮影するため、頻度が数日から数週間に1回程度となるのが一般的だった。また、地上分解能は最高で0.3mと高解像だが、指定された撮影地域のみをアーカイブし、販売価格も比較的高価だった。

 SNETでは、米Planetの超小型地球観測衛星「Dove」を利用。Doveは外形寸法が10×10×30cm(縦×横×奥行き)、重量は約5kgとコンパクトで、軌道上に多数展開し、数時間〜1日単位の頻度で全地球を常時撮影。サービス開始時点で60機以上、2017年には100機以上が稼働する予定。画像の地上分解能は3〜3.7m。衛星画像の価格の目安は、1平方kmあたり260円。

地球観測衛星のPlanetの撮影パターン(左)と従来のパターン(右)
超小型地球観測衛星「Dove」

 撮影画像はクラウド上に保管され、利用者はブラウザ上で目的の画像を確認してダウンロードできる。場所・時間等の検索条件で抽出することも可能。広域災害の被災状況や沿岸地域を監視したり、港湾・空港の管理・監視、精密農業利用、大型工事の進捗管理、高頻度更新地図の作成などでの活用が期待されるとしている。

 注文方法や、提供されるデータの詳細は、衛星ネットワークのサービスページで案内している。

熊本県南阿蘇地区の衛星画像(被災前)
熊本県南阿蘇地区の衛星画像(被災後)

 SNETは、官公庁・法人・放送局などを対象に、防災ソリューションや映像伝送サービスなどを提供。産業用ドローンのビジネス展開にも取り組んでいる。新たに衛星画像販売サービスを手掛けることで、安全保障や災害危機管理、インフラ保守・点検、農業などの分野で事業展開を進めるとしている。