プレイバック2025

ドンキの4万円プロジェクターを買った。そして45万円のXGIMI最上位モデルに心を揺さぶられた年末 by石井和美

ドンキのプロジェクターを買った

今年は仕事で5万円以下のプロジェクターを比較する機会があり、改めて「プロジェクターって楽しい」と気づかされた年であった。自宅で映画を観る時間がこんなにも天国とは……。

好きなときにトイレタイムをとり、飲み物を自由に選びながら、リラックスして楽しむことができる。大画面で映像を観られるのは最高の贅沢であり、その魅力に今さらながら気づいてしまった。

今年は安いプロジェクターを色々試した。その中から選んだのがドンキ

試した中から自腹で購入したのがドン・キホーテ(以下、ドンキ)の「Android搭載プロジェクター」である。税抜き39,800円と価格は安めだが、初心者には十分な性能と思えた。

「勝手にオートフォーカス機能」によりピントを自動で調整してくれるため、手間がかからず、映像はいつもピントが合っている。最大150インチの映像を楽しむことができ、Android搭載ということで馴染みある操作性だ。このプロジェクターをしばらく使い、物足りなくなったらその時また考えようと思っていた矢先、XGMIから「プロジェクターを使ってみませんか?」というお話をいただいた。

XGMIといえば、プロジェクター業界で注目を集めるブランドである。10月にベルリンで開催された家電展示イベント「IFA」へ取材で行ったとき、XGMIのブースは大勢の来場者で賑わっていた。

個人的には、武将のコスプレをした外国人にも興味津々だったが、今回提案されたのは、武将のすぐ横に鎮座していた最上位モデル「HORIZON 20 Max」であった。お値段はなんと公式ショップ価格で450,900円。せっかくの機会なので、低価格モデルとの比較を試みることにした。

IFAで撮影した武将(?)とプロジェクター。こちらをお借りすることができるなんて!
HORIZON 20 Max

約4万円と約45万円のプロジェクターを比較してみたら、やっぱり全然違った

左が「Android搭載プロジェクター」、右が「HORIZON 20 Max」

一番驚いたのは、明るさの違いだ。ドンキのプロジェクターは、輝度が200 ANSIルーメンと少し物足りないため、日中や明るい場所での視聴には向かない。しかし、夜間や遮光カーテンをしっかり閉めて部屋を暗くすれば、問題なく視聴できる。

一方で、約2カ月間お借りした「HORIZON 20 Max」は、その輝度はなんと5,400 ISOルーメンと、ドンキのプロジェクターとは比較にならないほど明るい(ISOルーメンの方がANSIルーメンより数値が低くなりがち)。

日中での使用が特にわかりやすかったが、部屋が少々明るくても映像はくっきりと見える。色の再現度も高く、鮮やかさだ。壁から離して少し遠い位置に置いて壁いっぱいの大きさにしても、暗さを感じないところがすごい。

明るい日中に投影。同じ距離で投影したが、HORIZON 20 Maxは投影サイズが大きい(上)
夜間に投影したところ。上のHORIZON 20 Maxは輪郭もしっかり。色の再現性も高い

さらに、本体を正面からずらし、斜めになる角度で投影しても、パッと自動できれいな四角形に整えてくれるので、歪むことがない。上下も角度調整できるが、レンズを上向きにしても自動で調整されるので歪まない。天井にも投影できるので、寝っころがって観賞もできる。

ドンキのプロジェクターは本体そのものを動かし、映す場所に対してなるべく真正面に置かなければならず、レンズを上下に動かすこともできない。この価格差を考えれば当然かもしれないが、「こんなにも違うのか」と衝撃を受けた。

解像度もドンキのプロジェクターは1080Pであったが、HORIZON 20 Maxは4Kだ。後者は映像がとんでもなくシャープで、家でこのクオリティを楽しめることに驚愕した。「老眼が治ったのかな?」と勘違いするほどクリアに見え、細かいディテールもわかり、物語に没入できる。

また、XGMIのプロジェクターは電源を入れてもほぼ無音なのに対し、ドンキのプロジェクターはファンの音が少し気になる。ただし、スピーカーの質はシャリッとしているものの、音量に関しては特に不満はない(1万円のプロジェクターでは音が小さすぎて別途スピーカーが必要だった)。

今後のためにプロジェクター貯金が必要かも

ドンキのプロジェクターに満足していたところに、XGMIのハイスペックモデルを使ってしまい、改めて「高いものは桁違いによい」という当たり前のことに気づかされた。

高額なプロジェクターと比較したことで、ドンキプロジェクターの良さが少し薄れてしまった気もするが、この価格でよくまとまっていることは間違いなく、初心者におすすめできるし、今後も使っていく予定だ。

ただ、家族でこれほどプロジェクターにハマるとは思っていなかったので、将来的にはもう少し上のランクも使ってみたい。具体的には、価格帯が10万円~20万円台のものだ。我が家ではすぐに買える価格ではないので、来年からはコツコツとプロジェクター貯金をするかも。

石井 和美

家電プロレビュアー。白物家電や日用品のお役立ちグッズなどを中心に製品レビューを得意とする。テストスペースとして守谷市に一戸建てタイプの「家電ラボ」を開設し、冷蔵庫や洗濯機など、大型家電のレビューも行なっている。レビュー歴10年以上。

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