プレイバック2025

プレーヤー・アンプ・スピーカー更新完了。中でもSFORZATO「DSP-Columba」が印象的だった by逆木一

Dynaudio Confidence 20

筆者にとって2025年のオーディオ・ビジュアル的な一大事といえば、数年をかけたピュアオーディオ環境の更新が完了した、ということになるだろうか。

2020年に導入したMOONのセパレートアンプ「740P」と「860A v2」に始まり、昨年にはメインスピーカーをDynaudio「Confidence 20」に更新。そして今年は、ネットワークプレーヤーをSFORZATOの「DST-Lepus」と「DSC-Dorado」の組み合わせから同社「DSP-Columba」に更新した。

無論この他にもオーディオ用PCのアップグレードなどシステムの変遷は多岐に渡るが、とにかく今年はプレーヤー・アンプ・スピーカーという主要コンポーネントが完全に入れ替わった年になった。

Dynaudio Confidence 20

約12年間連れ添ったメインスピーカーであるDynaudio「Sapphire」を更新する形で導入したConfidence 20についてもアレコレと語りたいところではあるが、この記事ではDSP-Columbaに焦点を当てたい。

「ネットワークオーディオ」というスタイルに大きな可能性とオーディオの未来を見出し、いちはやくその魅力やノウハウを発信し続けてきた筆者にとって、「自分のシステムでどんな製品を使うか」は常に大きな問題だ。

いちオーディオファンとして自分自身が納得できるものであることは大前提として、「ネットワークオーディオはこんなにも素晴らしい」と対外的にも胸を張れる製品であってほしい、との想いもある。

そんな中で2017年に導入したのがSFORZATOの「DSP-Dorado」だった。2021年には同社の画期的なデジタル伝送技術「ZERO LINK」の登場に伴い、別途ネットワークトランスポートDST-Lepusの導入とDSC-Doradoへの仕様変更を経て、今年のDSP-Columbaの導入で全面的な更新となったというわけだ。

長年ユーザーとして付き合ってきて、SFORZATO製品の機能・仕様面、コントロールアプリ「Taktina」による操作性など、ネットワークプレーヤーとしての完成度に対する懸念が一切なかったことが、同社製品を使い続ける大きな理由となった。

ついでに、電源が別筐体のためトランスポート部とあわせると「箱が三つ」の現状から、DSP-Columbaは「箱が二つ」で済むため、スペース的なありがたみもある。

左下のAVプリアンプ「CX-A5200」を除くすべての機器がネットワークオーディオ関係。箱が増えすぎたがいかんともしがたい
DSC-Doradoと比較試聴中のDSP-Columba。DAC部と電源部で二筐体だったDSC-Doradoと異なり、本機はトランスポート部とDAC部の二筐体(それぞれ電源内蔵)

DSP-ColumbaはSFORZATO製品を使ってきた筆者にとって、使い勝手という点では基本的に違いがないため、音質的な飛躍こそが導入の決め手となった。

実際、DSP-Dorado時代から数えれば約8年、ZERO LINKへのアップデートを踏まえても約4年ぶりの全面更新ということで、透明感、音の粒立ち、中低域の解像感、定位の精密さなど、進化・改善した要素は枚挙に暇がない。

昨今、ネットワーク環境の整備やソフトウェア的な取り組みがネットワークオーディオの領域でおおいに盛り上がっているが、しっかりとしたネットワークプレーヤー、あるいは(オーディオコンポーネントとしての)DACがあればこそ、最上流部へのこだわりが活きてくる。筆者はそう考える。

その意味でも、DSP-Columbaは筆者のシステムにおける「再生機器」「ネットワークオーディオの要」の両面で、力強く役割を果たしてくれるだろう。

SFORZATO製品には先日発表された新たなオーディオ用通信プロトコル「USS(Ultimate Sound Stream)」など、新たな展開も控えているので、これからもいちユーザーとして楽しみだ。

逆木 一

オーディオ&ビジュアルライター。ネットワークオーディオに大きな可能性を見出し、そのノウハウをブログで発信していたことがきっかけでライター活動を始める。物書きとしてのモットーは「楽しい」「面白い」という体験や感情を伝えること。雪国ならではの静謐かつ気兼ねなく音が出せる環境で、オーディオとホームシアターの両方に邁進中。個人サイト:「Audio Renaissance」