ニュース

AUDEZE、初の平面駆動イヤフォン「iSINE」は12月発売。「歪みなく最高の音場を」

 アスクは、平面駆動ドライバを採用した米AUDEZE(オーデジー)のLightning接続デジタルイヤフォン「iSINE」2モデルを、秋のヘッドフォン祭 2016会場で発表した。「iSINE10」と、iSINE 10よりも長いボイスコイルで音質向上を図った「iSINE 20」の2モデルを用意し、12月初旬に発売予定。価格は未定だが、海外ではiSINE 10が399ドル、iSINE 20が599ドル。来週後半に日本での価格や発売日も発表予定とのこと。

iSINE20

 同社の平面駆動ドライバ搭載ヘッドフォン「SINE」に続く耳掛け型のイヤフォンで、「世界初の平面駆動型のインナーイヤフォン」としている。

iSINE10

 「iSINE 10」と「iSINE 20」は、30mm径の平面駆動型ユニットを採用したセミオープン型のイヤフォン。ネオジウムマグネットで、髪の細さよりも薄いという「Uniforce」振動板を駆動。高解像度と低歪みを実現している。

 「iSINE 20」は、より長いボイスコイルを備え、低域や明瞭さを追求したという上位機種。振動板にエッジングしているワイヤーの長さが「ほぼ倍」としている。インピーダンスはiSINE 10が16Ω、iSINE 20が24Ωとなる。

背面駆動ドライバの構造
iSINE10

 イヤフォンケーブルは交換可能で、2pinの端子を用意。Lightning端子の「Cipherケーブル」とステレオミニケーブルが付属する。

 iPhone/iPad/iPod touchとのLightning接続時は、ケーブル内部のDAC/DSPチップによって24bitまでの音源をデジタル入力して高音質で聴くことが可能。iOSアプリ「Audeze」を使って10バンドのイコライザなども利用できる

 Cipherケーブルには、DACやDSP、ヘッドフォンアンプなどを内蔵している。イコライザの設定はケーブルに保存されるため、iPhoneから別のiPhoneやiPadに繋ぎ変えても、同じ設定で使える点も特徴としている。

iSINE10。CipherケーブルでLightning接続

 イヤフォンの周波数特性は、10Hz~50kHz。ケーブルを除く重量はいずれも20g。

ヘッドフォンとケーブルの接続部は2pin(ヘッドフォン祭 展示機のケーブルは試作機のため「着脱禁止」)

歪みなく最高の音場を楽しみたい人のためのイヤフォン

 AUDEZEのセールス担当副社長のマーク・コーエン(Mark Cohen)氏は、AUDEZEの歴史と独自の平面駆動ドライバなどについて紹介。社名のAUDEZEは、2001年宇宙の旅(2001: A Space Odyssey)とオーディオを組み合わせた造語で、2人の創業者は、当初平面駆動技術をプロオーディオ用のアレースピーカーに展開する予定だった。しかし、ヘッドフォンに応用できると考え試作。ロッキーマウンテンオーディオショウに展示したところ好評だったため、ヘッドフォンを事業の中心に据えることとしたという。

AUDEZEのマーク・コーエン氏

 同社の平面駆動ヘッドフォンは、0.15ミクロンという極薄の振動板と、多数の取得特許による高い磁束密度が特徴で、「振動板の全ての領域で磁束密度は1.5テスラ」とのこと。そのため、レスポンスが良く歪みの無いサウンドが実現できるとする。iSINE 10/20の振動板の厚みは、ポータブルでも駆動しやすくするために「数ミクロン」のものを採用している。

 iSINE 10/20の特徴については、「ベースレスポンスが非常にフラットで、サウンドステージが広い。歪はバランスド・アーマチュアドライバの1/10以下で、さらにドライバは一つだけなので、クロスオーバーも不要。一体感のあるサウンド」と表現。また、耳孔に挿入するカナル型でなく、“被せる”だけという装着感の良さもアピールした。

 iSINE 20をためしたところ、セミオープン型のため音漏れはカナル型イヤフォンよりはだいぶ多い。日本の電車環境にあわせた密閉型の開発については、「密着させて遮音するイヤフォンは、他にたくさんある。iSINE 10/20は、歪みなく最高の音場を楽しみたい人のためのイヤフォン」と語った。

 オンキヨー「XDP-100R」とステレオミニケーブル接続した「iSINE 20」をごく短時間だが視聴したが、イヤフォンらしくない音場、音像の広さと、メタル風ギターの分解能と明瞭なベースラインが印象的。また、耳掛け用のフックは3Dプリンタによる試作機とのことだが、耳を圧迫しない装着感も良好だった。