“地デジ完全移行2年前”イベントで草なぎ&地デジカ登場

-北島三郎が歌う「地デジで元気音頭」も披露


7月24日開催


 デジタル放送推進協会(Dpa)は、地上デジタル放送完全移行まで2年前となる24日に、アナログ放送終了2年前「地上デジタル放送完全移行推進の集い」を明治記念館(東京)で開催した。

 各業界団体などによる、地上デジタル放送国民運動推進本部 第3回会合の決定事項が報告されたほか、地デジ推進キャラクターを務めながら、4月に降板していた草なぎ剛さんの復帰も発表された。

司会は柴田秀一、馬場典子の両アナウンサー地デジ大使の6人も登場。左から、日本テレビの馬場典子アナウンサー、NHKの島津有理子アナウンサー、テレビ朝日の上宮菜々子アナウンサー、TBSの竹内香苗アナウンサー、テレビ東京の森本智子アナウンサー、フジテレビの中村仁美アナウンサー会場の明治記念館


■ デジサポでは全世帯にダイレクトメールでの告知も

地デジ受信機の普及世帯数の現状と目標

 NHKと在京民放5局のアナウンサーが務める「地デジ大使」によるプレゼンテーションで、地デジの受信機普及率や、総務省による受信支援処置などの現状を報告。既に発表されたように、普及世帯数が2009年3月に60.7%(3,035万世帯)と初めて6割に達し、2009年末には77%(3,850万世帯)、2011年4月に100%(5,000万世帯)を目指している。

 また、アナログの停波時期の認知度が2009年3月に89.6%となったことや、地域別の普及活動として、総務省テレビ受信者支援センター(デジサポ)の活動内容などを紹介した。デジサポでは各地で説明会が行なわれているほか、5月下旬からのダイレクトメールでも地アナ終了を告知しており、既に1,400万世帯に配布済み。今年度に全5,000世帯へ配布予定としている。

 そのほか、政府の平成21年度当初予算で、地デジ関連では受信機購入などの支援(新規170.1億円)や、辺地共聴施設の改修など(拡充52.1億円)、都市受信障害施設の改修支援(新規53.9億円)などが充てられたこと、アメリカ(6月12日)など諸外国におけるアナログ放送終了の例や、2007年のブラジルに続き、ペルーでも日本方式の地デジ(ISDB-T)導入が決まったことなどが説明された。

アナログ停波時期の認知度デジサポの活動内容ダイレクトメールでの告知も
平成21年度当初予算での地デジ関連項目の概要海外におけるアナログ放送終了の状況日本方式の地デジがペルーでも導入決定


■ 草なぎ&地デジカのタッグで地デジを推進

草なぎさんと地デジ推進大使が再び協力を誓った

 草なぎ剛さんは、「初めに。このたびは、わたくし草なぎ剛が、多大なご迷惑、ご心配をおかけしたことを心からお詫び申し上げます。本当にすいませんでした。今日からまた地デジ普及推進に、参加させていただける心から感謝しています。2年後のデジタル化完全移行に少しでも協力を得られるように、今日からまた頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします」と決意を表した。

 また、地上デジタル推進の新キャラクター「地デジカ」も紹介。地デジカと一緒に登壇した草なぎ氏は、地デジカに、「はじめまして。草なぎ剛です」と自己紹介し、「僕がいない間がんばってくれてありがとうございます」と語りかけた。

 地デジカの反応の薄さに、草なぎ氏が、「シカだけに、“シカト”ですか?」と問いかける一幕もあったが、「いつもテレビで拝見しています。一緒に頑張りましょう」と、ともに地デジ推進に取り組むことをアピールした。

 また、地デジカについて「ゆっくりした感じがいいですね」とコメント。「SMAPにはいりたい」とささやく地デジカに草なぎ氏は「踊れる? 」と切り返した。

地デジカが登場草なぎさんと手を取り、ともに普及活動に力を入れることを約束。最後は仲良く退場した


■ “最後の仕上げ”に向けて関係者が決意を新たに

河村建夫内閣官房長官

 来場した政府・関係団体の代表者からは、地デジ完全移行に向けて、それぞれの想いと今後の取り組みなどについて説明された。

 河村建夫内閣官房長官は、「地上デジタル放送開始以来5,000万台以上が普及したが、テレビの効用は言うまでもない。災害発生時の情報源という重要な役割も担っており、国民生活から切り離せない。デジタルデバイドが起きるのは何としても避けなければならず、政府でも全力を挙げて取り組む課題だと認識している」と説明。

 また、「これまでは関係省庁の連絡会議から、閣僚レベルでの対応となる、『デジタル放送移行完了対策推進会議』に引き上げた。関係省庁や有識者などで、国を挙げた総合的な移行完了対策を作ったところだ。その第1点はエコポイントによるテレビの普及。第2点は公共施設における移行前倒し、第3は、デジタル放送の受信対策で、これらを緊急の課題として取り組んで、政府一丸となって2011年の完全移行を目指している。日本の地デジ方式の海外展開により、日本の産業が国際舞台で発展できるように、総理自らが首脳間の交渉、営業をやっている。ブラジル、ペルーが決めて、アルゼンチン、ペルー、エクアドルにも働きかけている」とした。また「草なぎさんも今日から再び隊列に加わっていたただき、北島さんも音頭を歌ってくれる。残りはあと2年。一致結束が大事です。全ての国民がデジタル化の恩恵を受けられるように政府としても全力を尽くしていく」と語った。

佐藤勉 総務大臣

 佐藤勉 総務大臣は、地上デジタルのエリアカバー率が97%、世帯普及率が60%を超えたことに触れ、「関係者のこれまでの努力の成果。しかし、これまで以上に取り組みを強化しなければ、2011年7月24日を迎えることはできない」と訴え、関係者の一層の協力を呼びかけた。

 また、「デジタル化は、高画質、高音質などだけでなく、電波の有活用など、国にとって大きな意義がある。オランダやドイツ、スウェーデンなどは既にデジタル化を完了しており、米国でも先日デジタル化した。私も全力でデジタル化に尽くしていく覚悟ですので、万全の取り組みをお願いいたします」と訴えた。

民放連の広瀬道貞会長

 日本放送連盟(民放連)の広瀬道貞会長は、「我々放送事業者の役割は日本列島の中で、アナログテレビの見れる地域全部に、デジタル波を出すということ。大変大きな投資だが、97~8%の世帯カバーをできている。大抵のところでアンテナさえ付ければ見れるという状況だが、あと1、2%が大変な作業。鉄塔を一本作っても(視聴可能世帯が)50世帯しか増えないとか、効率でいえば一番悪いところが残っている。折からの不況で、テレビ局の経営はかんばしくない。しかし、デジタルに移行と決めて、国民の皆様に約束した以上、粛々と100%を目指してやっていきたい」と意気込みを語った。

 地域ごとの支援についても「どうすれば見れるかを周知するのも放送事業者の使命。政府の予算もついて、約50カ所のデジタル支援センターができた。そこにNHK、民放、テレビメーカーの約400人が配置されている。実際に作業をしている人は約4,000人。毎日それだけの人が駆け回っている」と言及。また、「先日、FCC(米国連邦通信委員会)が調査にきたが、“すでにデジタル停波に踏み切った米国と比べても、格段に日本は進んでいる”という。私たちは2年後に、どこでもデジタルが見れる状況を作り出すべく努力している。活動にご理解いただきたい」と述べた。

NHKの今井義典副会長

 日本放送協会(NHK)の今井義典副会長は、「アナログ放送終了まで2年。テレビが見れなくなったという人が一人でも出ることが無いように、NHK全局、全職員を挙げて取り組みを進めていく。特に、お一人で暮らしている、夫婦のみで暮らしている、高齢世帯などに重点を置いて対策する必要がある。デジサポでは、すでにそれぞれの町や村で、説明会を開き、きめ細かい活動を広げている。ただ。周知活動が始まっていることを知らないこともまだ多い。また、地域差も大きいことが調査で分かってきたことから、各地域の放送の中でそれぞれの地域に応じて対応を行なうほか、パンフレット、わかりやすさを重視した活動を積極的に行なう。放送事業者として、デジタル化のもたらす多くの果実を楽しんでいただけるように、デジタルならではの質の高いサービスを提供できるように、努力する。2年後の今日に向けて最大限の努力をしていく」と訴えた。


JEITAの大坪文雄会長

 社団法電子情報技術産業協会(JEITA)の大坪文雄会長は、「いよいよ最後の仕上げを行なう段階である。地上デジタル放送は、現在のアナログ放送の帯域を跡地として再開発しようというもの。有効利用はより便利で安心、安全な社会の実現のために、大いに期待されている。国全体の重要な政策課題で、使命感をもって積極的に推進していく」と言及。

 加えて、「政府のエコポイントや、スクールニューディール政策により、普及にはずみをつけていただいた。機器メーカーとしてより優れた製品開発や、普及に努力していく。また、不要になったアナログテレビのリサイクル対応も重要な課題だ、引き続き、処理能力のアップを含め、責任をもって業界をあげてとりくむ」と普及促進活動やリサイクルについても説明。さらに、「普及促進には魅力的なコンテンツも必要」とし、放送局へのコンテンツづくりの協力や、受信機開発への意見などの協力も呼び掛けるとともに、政府にも「一層の支援をお願いしたい。特に地域格差の解消は重要で、戸別訪問、説明会などの取り組みの充実をお願いしたい。地デジ放送に切り替えるということは、過去に経験のない大きな取り組み。あと、2年あるというより、2年しかない。いまいちど決意を新たに、極力前倒しで終えるように推進していきたい」と語った。



■ 北島三郎さんの「地デジで元気音頭」も披露

 

日本全国“地デジで元気”をキャッチフレーズに活動
 Dpaによる新たな取り組みとしては、「日本全国“地デジで元気”」をキャッチフレーズとした地域への普及活動を24日より開始。受信機普及徹底の仕上げ期と位置づけ、デジタル化のメリットや必要性をもう一度、わかりやすく、楽しく伝えることを目指している。

 具体的な活動としては、地方局との協力によるイベントや特別番組の実施、地元の祭りや花火大会などとの連動を検討するという。実施期間は2010年7月24日までの1年間。

 活動の一環として、新たにタレントによる「地デジユニット」も結成。“地デジ芸人”としてテツandトモが、若手タレントの佐々木もよこ、村井まりの2人が“地デジで元気!娘”としてそれぞれ普及活動を行なう。


「地デジユニット」が結成テツandトモの2人が、アナログ放送終了のリハーサルが行なわれた石川県珠洲市からの中継で「地デジだろう~地デジだろう~」と替え歌も一連の活動で、地デジの魅力を再びアピールする狙い

 

北島三郎さんが登場
 さらに、「日本人は祭りが好きであり、祭りを盛り上げるには音頭が不可欠」とし、演歌歌手の北島三郎さんが歌う「地デジで元気音頭」を製作。2011年までイベントなどでCDの無料配布を行なうほか、Dpaのサイトでも無料ダウンロードできる。振り付けは花柳糸之さんが担当。会場では、7月16日に都内で行なわれたデジサポのイベントで収録したVTRが披露された。

 発表会場には北島三郎さんが登場。ボランティアで参加したという北島さんは、「テレビのおかげで売れた。お返しするのは当たり前のこと」と話す。作曲にも参加しており、「歌を通じて元気に、明るくなってもらいたい。これを見て、デジタルは大事だな、とわかってもらえたり、一緒に踊ってもらえたりするととうれしい」とした。


7月16日に行なわれたイベントでの「地デジで元気音頭」北島さんと地デジカもすっかり仲良しに

 そのほかのDpaの活動としては、既に実施している「'09夏 BSついてくるキャンペーン」を紹介。地デジ対応テレビにBS/110度CSデジタルチューナも搭載している機種も多いことから、地デジに合わせてBSデジタルを導入すると試聴チャンネルが増えることを訴求。地アナと同日にBSアナログも終了することから、新たにBSデジタルハイビジョン放送のチャンネルが増えることなど、BSデジタルの魅力をアピールした。


Dpaの間部耕苹会長

 2011年の地上アナログ放送終了を前に、石川県珠洲市ではアナログ終了リハーサルが行なわれており、その模様をNHKの特番映像を用いて紹介。市内の一般家庭で、当日の午前10時ちょうどにアナログ放送が映らなくなったシーンをVTRで紹介した。

 閉会の挨拶を行なったDpaの間部耕苹会長は、デジサポの活動などを報告するとともに、「地上デジタルに関心が薄い人がかなりいるということも課題になっている。その方に関心をもっていただき、デジタル対策していただかなければ成功はない。“初歩的な普及活動”も含み、具体的な施策をとりいれていく。ぜひ、皆さんも国民運動の一翼を担ってほしい。国民運動というと大げさですが、あいさつ代わりに、『デジタル化しましたか』と呼びかけるという、声かけ運動でも結構です。ぜひ、皆さんよろしくお願いいたします」と訴えた。


石川県珠洲市のアナログ放送リハーサルの様子渋谷ハチ公前で行なわれていた「デジタル110番」の会場(左)や、京都の清水寺(右)からの中継も

「'09夏 BSついてくるキャンペーン」の告知渋谷ハチ公前で行なわれていた「デジタル110番」の会場(左)や、京都の清水寺(右)からの中継もまもなく放送が始まるという地デジ推進大使によるテレビスポットCMも紹介された


(2009年 7月 24日)

[AV Watch編集部 中林暁]