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マランツ、ネットワーク再生対応AVプリ最上位「AV8801」

24bit/192kHz FLAC/WAV対応。チャンネル分離を向上

AV8801

 マランツは、ネットワークオーディオ機能も備えたAVプリアンプのフラッグシップモデル「AV8801」を2013年1月下旬に発売する。価格は451,500円。

 チャンネルセパレーションを向上させる新構造「HDAM Pure Lines」を採用したことが特徴。11.2chのプリアンプ基板をそれぞれ独立させており、アナログオーディオ信号を扱うプリアンプ回路をチャンネルごとにセパレート化することで、クロストークを大幅に低減したという。

 各チャンネルの出力段には、同社Hi-Fiコンポーネントと同様に電流帰還型プリアンプ回路を採用。高スルーレートのディスクリート高速アンプモジュール「HDAM」を搭載し、情報量が豊かで低歪み、ハイスピードなサウンドを実現したという。

 HDMI入力は7系統で、うち1系統はMHLに対応。InstaPrevueにも対応し、メイン画面中に1つ、または5つの小さなサブ画面で、HDMI入力の再生映像をプレビュー可能。リモコンのInstaPrevueダイレクトキーで同機能を呼び出せる。

 HDMI出力はメインゾーン2系統にマルチゾーンを加えた3系統。メインゾーンの2系統は4K(3,840×2,160ドット)のアップスケーリング/パススルーが可能で、2系統同時出力も可能。4K再生中でもGUIをオーバーレイ表示できる。そのほか、ARC/CECにも対応。

11.2ch独立構造のプリアンプ部
本体内部
背面

 ピクチャーモードは、スタンダード、ムービー、ビビッド、カスタムに加え、インターネット配信など低ビットレートの映像に最適化されたストリーミングモードを搭載。カスタムモードではコントラスト、ブライトネス、色の濃さ、色合い、ノイズリダクション、エンハンサーの6項目を調整できる。

 DLNA1.5に準拠したネットワークオーディオ機能も搭載。PCやNAS(LAN HDD)内に保存したMP3/WMA/AAC/WAV/FLAC/Apple Losslessファイルの再生ができる。WAV/FLACは最高で24bit/192kHzまで対応し、Apple Losslessは24bit/96kHzまでサポート。FLAC/WAVのギャップレス再生も行なえる。インターネットラジオ機能にも対応し、vTunerの放送局リストから検索可能。リモコンから4局まで登録でき、1ボタンで呼び出せる。

 iPhone/iPad/iPod touch用の無償アプリ「Marantz Remote App」から無線LAN経由で操作することも可能。電源や入力/サウンドモード切替、ボリュームなどの基本操作のほか、パソコンやNASに収めた楽曲の再生、インターネットラジオのブラウジングも行なえる。インターネットラジオ選局画面での高速スクロールも可能。

 4ポートのネットワークハブ機能も装備。PCやNASなどを3台まで接続でき、ストリーミング再生の伝送経路を最短化できる。テレビやBDプレーヤーなどのネットワーク対応機器も接続可能。

Hi-Fiオーディオの音響技術を継承

大容量トロイダルトランスを搭載

 電源部には大容量トロイダルトランスを採用。2次巻き線側をDAC、HDAM回路、アナログオーディオ回路など、回路ごとに独立させて回路間の干渉を排除している。さらに、シールドケースにより外来ノイズを遮断。トランスから周辺回路への輻射も抑えている。

 プリアンプの整流回路には、フラッグシップSACDプレーヤー「SA-11S3」と同グレードの電解コンデンサを採用。パーツサプライヤーと共同開発したカスタムコンデンサで、HDAM回路用とアナログオーディオ回路用にそれぞれ2個使用している。さらに、高速/低インピーダンスなショットキーバリアダイオードなどのパーツも使用している。

 フラッグシップユニバーサルプレーヤー「UD9004」と同様に、3ピーストップカバーと2本のステーを備える堅牢な筐体を採用。メインシャーシにボトムプレートを加えたダブルレイヤードシャーシとなっており、不要な振動を防いでいる。さらに、メインシャーシには銅メッキを施し、低インピーダンス化。グラウンド電位を安定させている。

SA-11S3と同グレードのコンデンサなど高音質パーツを投入
3ピーストップカバーを採用
メインシャーシに銅メッキを施している

 プリアウト端子はバランス/アンバランスともに11.2ch分を装備。DTS Neo:X やAudyssey DSXによる拡張サラウンドの11.2ch同時出力に対応する。出力端子には金メッキを施している。

 400MIPS処理のアナログ・デバイセズ製32bit浮動小数点DSP「SHARC」を3基搭載。サラウンド音声信号のデコーディングや11.2ch 分の音場補正なども余裕を持って処理するという。DACは32bit/192kHz対応の「PCM1795」を11.2ch分、合計7個使用。音質に影響するI/V変換回路をDACの外部にオリジナルで組むことで、エネルギー感豊かな音質を実現したという。

 そのほか、デジタル音声信号のクロックをハイブリッドPLL によってリクロックする「クロック・ジッター・リダクション回路」も搭載。この機能はデジタル入力信号だけではなく、AV8801内部でAD変換され、オーディオDSPで処理されるアナログ入力信号に対しても有効となっている。

 拡張サラウンド機能のDTS Neo:XやAudyssey DSX、ドルビープロロジックIIzのほか、2台のサブウーファーを個別に最適化するAudyssey Sub EQ HTにも対応。最大11.2chの同時出力が行なえる。新開発の「低域の位相補正」機能により、BD/DVDなどのマルチチャンネル音源の収録時に生じる、LFEチャンネルの遅延による位相ずれの補正(0~16msec)も行なえる。

 Audysseyのスピーカー自動セットアップ機能「MultEQ XT32」や、周波数特性/音量レベルのリアルタイム補正機能「Dynamic EQ」、音量レベルの自動補正「Dynamic Volume」、隣の部屋へ伝わる低音を抑制する「LFC」、視聴環境に合わせたチューニング機能「MultEQ Pro」も搭載。

付属リモコン

 HDMI以外の入力端子はコンポーネント×3、コンポジット×4、同軸デジタル×2、光デジタル×2、バランス(XLR)×1、アンバランス(RCA)×7、7.1ch音声×1、フォノ(MM)×1。出力端子はコンポーネント×2(モニター×1、ZONE×1)、コンポジット×3(モニター/REC/ZONE×各1)、アンバランス(RCA)×3(REC×1、ZONE×2)、11.2chバランスプリアウト、11.2chアンバランスプリアウト。USB×2やRS-232C、IRフラッシャー、リモートバス端子なども装備する。

 テレビ画面の表示に従って簡単に設定できる「セットアップアシスタント」機能も装備。外形寸法は440×390×185mm(幅×奥行き×高さ)、重量は13.9kg。消費電力は90Wで、待機時は通常スタンバイが0.2W、CECスタンバイ時が0.5W、ネットワークスタンバイが5.1W。リモコン「RC019SR」やセットアップマイク、FM室内アンテナなどが付属する。

(中林暁)