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東京国際アニメフェア開幕。パトレイバー実写化など
4月の新作も大量。ソーシャルゲームの流行がアニメにも
(2013/3/21 18:12)
アニメ総合見本市、東京国際アニメフェアが21日、東京ビッグサイトで開幕した。会期は3月21日~24日までだが、21日~22日は関係者向けのビジネスデーとなっている。パブリックデー(23日、24日)の当日券は一般が1,000円、中高生が500円。主催は東京国際アニメフェア実行委員会。東1~3ホールを使用する。
各社の新作アニメを紹介するイベントで、声優や製作スタッフらが参加するステージイベントなども開催。ビジネスデーには国内外からバイヤーも訪れる商談の場ともなっている。今年で12回目。
なお、2010年12月15日に東京都議会で可決された「東京都青少年健全育成条例改正」に反対する角川書店やアニプレックス、キングレコード、ジェネオン・ユニバーサルなど8社が、一昨年のアニメフェアへの出展を取りやめ。8社が新しいイベント「アニメ コンテンツ エキスポ」を同時期に開催する事も話題となった。しかし、一昨年は東日本大震災と、それに伴う電力需給状況の悪化などにより両イベント共に中止。昨年は個別に開催された。今年も同様で、「アニメ コンテンツ エキスポ」は3月30日~31日に、幕張メッセで開催予定。
パトレイバー実写版プロジェクトが起動
来場者の注目を集めていたのは、東北新社のブースの壁面に描かれた3DCGのパトレイバー。その横に「実写版プロジェクト起動 COMING IN 2014」と描かれている。これまでも同作品の実写化は噂になり、実写と3DCGで描かれたレイバーを合成させた実験的な作品なども作られてきたが、本格的な作品としてプロジェクトが進行しているようだ。
ただし、この作品が映画なのか、テレビシリーズなのかなどの詳細は明らかになっていない。「現在のところ2014年に作品をお披露目したいと考えていますが、内容なども未定。今年中には詳しい発表を行ないたい」(東北新社 版権営業部 有吉篤史課長)とのことだ。
ソーシャルゲームのムーブメントがアニメにも
人気が高まるソーシャルゲームとアニメーションのコラボ展開も活発化している。グリーとテレビ東京、東映アニメーション、バンダイの4社は、アニメフェアの中で発表会を開催。GREEで提供しているソーシャルゲーム「探検ドリランド」を核にしたメディアミックス展開を発表。テレビアニメとSNSゲームの連携だけでなく、バンダイのトレーディングカードを使い、オンラインでゲームが楽しめる「ネットカードダス」とも連携する。
「探検ドリランド」は、昨年の7月から既にテレビアニメ化されており、現在は夜11時30分から放送されている。4月6日からは、その新しいシリーズとして「探検ドリランド -1000年の真宝(まほう)-」の放送が開始。放送時間も午前10時30分からに変更され、子供向けにアピールする。前作の1,000年後が舞台となり、主人公も変更。新たにカードバトル要素が追加される。シナリオは、ポケットモンスターやイナズマイレブンシリーズなどを手掛けてきた、冨岡淳広氏が担当する。
また、バンダイが展開しているトレーディングカードを使ったオンラインゲームの新商品として、「ネットカードダス『探検ドリランド(仮称)』」を開発。今夏から、コンビニエンスストアや量販店、カード専門店などで販売するという。
グリーの取締役 執行役員常務 メディア事業本部長の吉田大成氏は、「グリーのソーシャルゲームのノウハウと、バンダイさんのネットカードダスのノウハウ、そして新しいアニメシリーズを組み合わせ、アニメの世界にも、そしてリアルの世界にも“探検ドリランドの世界”を多くの人に届けていきたい」と説明。
バンダイの取締役 峠義孝氏は、「ネットカードダスはこれまでプロ野球や競馬、フットボールなど、どちらかと言うと高めの年齢層に向けてラインナップしてきたが、さらなるユーザー層拡大に向け、グリーさんと共同で展開する運びとなった。小学校高学年をメインターゲットに、新たな市場を開拓していきたい」と、意気込みを語った。
発表会には、新アニメシリーズで主人公・ハガンを演じる声優の山口眞弓さん、ハガンが使うカードから呼び出され、コンビとして共に戦う激炎剣キバマルを演じるくまいもとこさんも登場。オープニングを歌う、歌手の高橋秀幸氏による生ライヴも行なわれた。
なお、同じくグリーのソーシャルゲーム「絶対防衛レヴィアタン」も、4月からテレビアニメ化される。アニメとゲームが同時期に展開するもので、アニメを手掛けるGONZOが、原作ゲームのシナリオも担当。ゲームとアニメが密接に連動した展開が予定されている。
4月の新作アニメが続々
会場では4月から放送が開始される新作アニメの紹介が、各社ブースで行なわれているほか、発売したばかり、もしくは発売を控えたBD/DVDも展示。それらに用意されている特典をいち早くチェックできる場にもなっている。
また、様々なブース展示の中でもユニークなのが、ガイナックスのブース。テレビアニメの製作過程や現場を、ガイナックスを例に解説したもので、ブース内を進みながら、どのような人達が作品に関わり、作業が進められていくのかがわかる。飲み屋での大まかなアイデアの話や、起用する監督などがプロデューサーらによって話し合われ、プロジェクトがスタート。音楽プロデューサーから「主題歌にこのアイドルを」という売り込みがあったり、フィギュア化の話が初期段階からからみ、アニメスタジオではギリギリのスケジュールで膨大な絵が描かれていく事、アフレコ現場の模様などを、まるで現場に迷い込んで、後ろから覗き込んでいるよう。居酒屋からスタートした企画が、居酒屋で打ち上げを迎えるまで、密度濃く再現されており、普段何気なく見ているアニメの“見方”が変わりそうな展示になっている。
マクロスシリーズなどで知られる河森正治氏は、サテライトのブースに登場。「2次元、3次元の枠を飛び出し、河森氏が有名クリエイターと共に、新たなライヴエンターテイメントを創出する」という“多次元プロジェクト The Fool”を発表した。
サーカスのシルクドソレイユや舞台演劇などに感銘を受けた河森氏が、リアルと融合する作品シリーズとして展開を予定しているもので、プロジェクト第1回作品「ノブナガ・ザ・フール」が、2013年冬に公演予定。具体的に、どのような作品になるのかは今後明らかになっていく。
物語の内容は、戦国時代をベースにしているが、西洋の歴史も取り入れられ、SF要素も加味。監督が敬愛するレオナルド・ダ・ビンチが、“もしロボットを作っていたらどうなるか?”など、異文化の融合や、斬新なアイデアを盛り込んだ作品になるという。
その他
昨年から直販サイトで販売されている「Palm Top Theater」は、スマートフォンを格納する筐体の内側に、3枚のハーフミラーを設置。スマートフォンの画面に、ミラーに合わせて縦に3つ並べた動画を表示する事で、その動画がミラーに反射。ハーフミラーなので3つの映像が重なるように表示され、3レイヤーの立体感ある映像が楽しめるというデバイス。価格は3,300円。
無料の専用アプリがiTunes Storeからダウンロードでき、アプリ内から有料の専用動画を購入する事もできる。現在コンテンツを募集しており、今後、Palm Top Theater用動画を作成するためのツールをユーザーに提供する事も検討しているという。詳細は専用サイトにて。