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PS Vitaからニコニコ生放送の配信が可能に
アプリ更新。漫画風や視聴者との草刈りバトルも
(2013/7/18 15:00)
キテラスは18日、動画配信サービス「niconico」のコンテンツを、PlayStation Vitaで視聴するためのアプリ「ニコニコ」をバージョン2.00にアップデート。新たに、PS Vitaからニコニコ生放送を行なえるようにした。アプリは無料でダウンロード可能。ただし、生配信ができるのはプレミアム会員のみとなる。
PS Vitaには3G/無線LANの通信機能と、フロント/リアカメラが搭載されているが、これらを使い、PS Vita単体でニコ生配信が可能になる。
フロント/リアカメラで撮影してた映像を配信するだけでなく、PS Vita向けアプリならではの機能として、タッチパネルを活用。配信画面にキャラクターやフキダシなどを自由に配置したり、絵を描いたり、集中線や効果音文字などのエフェクトを重ね、漫画のコマのような映像を配信できるなど、ゲーム機ならではの遊び心が取り入れられているのが特徴。
さらに、視聴しているユーザーが「wwww」と入力すると、配信映像に草の絵が増えていき、配信者がタッチパネルを使って鎌で刈っていくなど、配信者と視聴者の新しいコミュニケーションも可能になっている。
そこで、アプリを開発したキテラスの鈴木慎之介代表取締役社長と、コンシューマエレクトロニクス事業部 事業企画セクションの野田明日香担当セクションマネージャに詳しい話を伺った(以下敬称略)。
配信映像をカスタマイズできる豊富な機能
まず、PS Vitaのホーム画面から「ニコニコ」アプリを選択すると、アプリのLiveAreaが表示される。ニコニコ動画を楽しむ際は、中央にある「はじめる」という部分をタップするが、生放送を行なう場合は、LiveAreaの右側に新たに登場した「生放送配信」アイコンをタップする。
すると、配信する番組のコミュニティ選択や、タイトルの入力、番組説明入力、カテゴリなどを選択する画面へと移動。これらの必要事項を入力/選択すると、生配信を開始できる。この際、例えばタイトルに「PS Vitaから生放送中!」や、番組説明に「PS Vitaから生放送を配信しています。ぜひご覧ください。」などのテンプレートがあらかじめ入力されているため、慣れれば素早く放送を開始できるのが特徴だという。
配信中は背面カメラ、前面カメラを自由に切り替えできる。配信クオリティは標準、画質重視、音質重視、3G回線向けから選択可能。なお、配信ビットレートはPCでのユーザー生放送と同じ384kbpsで、そのレート内で画質を優先したり、音質を優先したりという設定になる。
気になるのはPS Vitaの3G通信機能を使った配信だが、PS Vitaの3Gには下り128kbps/上り64kbpsの通常モードと、FOMAハイスピードの下り14Mbps/上り5.7Mbpsモードも用意されている。鈴木社長によれば、「128kbpsモードでの配信は相当厳しいので、屋外で配信する時は、FOMAハイスピードを推奨しています」とのこと。別途、モバイルルータなどを組み合わせても良さそうだ。
配信画面の右側には、「コメント」、「アンケート」、「らくがき」、「エフェクト」の機能タブを用意。PS Vitaのスクリーンキーボードを使い、配信者からのコメントを書き込んだり、視聴者に投票してもらうアンケートも実施可能。アンケート項目にも「今日の番組は?」、「○○だと思いますか?」、「○○ですか?」などのテンプレートが用意されており、少ない入力操作でアンケートが実施できる。
「らくがき」タブには、キャラクターアイコンや「てへペロ!」、「オラオラオラオラ」などの文字が含まれた、漫画風のフキダシも多数用意。配信画面の自由な場所に貼り付けられ、写っている人物が、そのセリフをつぶやいているような映像を配信できる。貼り付けるサイズや角度は自由に変更可能。
ユニークなのは、貼り付けたり、回転させたりしている作業の様子自体も配信される事。「“作っている過程をコンテンツにする”というのが1つのコンセプトになっています。例え失敗しても、トークでフォローしたりとか(笑)」(鈴木社長)
「らくがき」にはスタンプだけでなく、ペイント機能も用意。カラーやペンの太さ、ペン先の種類(ペン/筆/ドット柄/ジグザグ柄:ピンク/ストライプ柄:黒)も選択でき、絵心のある配信者が、絵を描く過程を配信する事も可能だ。
また、「エフェクト」タブでは、集中線や「ゴゴゴゴ……」、「ドン!!!」など、漫画のコマのように映像を装飾でき、エフェクトに合わせて映像自体もモノクロになる。
配信者と視聴者が「wwww」でバトル!?
こうした機能は、配信映像をリッチかつユニークにカスタマイズする配信者向けの機能だが、この“映像効果”を、視聴者が映像に対して付与する事もできる。
「Wコメント」という機能で、これを実行した後で、視聴者がコメント欄に「wwww」と書き込むと、それを認識。配信映像に緑色の草の絵が“生えて”くる。多数の人が「wwww」と大量に書き込むと、画面全体が草に覆われてしまう。そこで、配信者はPS VitaのLボタンを押しながら画面を擦ると、草を“刈る”事ができる。“対戦ゲーム的なノリ”を持っている機能で、配信者と視聴者の新しいコミュニケーションを実現する機能とも言える。なお、前述の漫画風エフェクトを使っている場合は、「Wコメント」機能は使えない。
――このようなインタラクティブ性の高い機能は、当初から予定したものなのですか?
鈴木:はい。PS Vita向けの「ニコニコ」アプリをリリースする前から、ニコニコ生放送の配信にも対応させ、ユーザーとの掛け合いにより、インタラクティブ性を持たせようという考えは最初からあり、2年越しでようやく実現できました。PS Vitaはゲームハードですので、ユーザーは面白いものを求めてハードを触ります。ですので、ニコニコ生放送の配信自体も、面白くしようと考えました。
我々がアプリを作っている時も楽しかったですね。実は、ニコニコ生放送配信に対応すると決まった当初から、「(ニコ生で)プリクラをやりたい」というイメージが僕の中であったんです。その後、スタンプ機能はだいたい形になったのですが、エンジニア達があれもやろう、これもやろうと言い始め、先程の“草を刈る”機能も彼らが考え、作ってくれました。実は最初、微妙だと思っていたんですが、やっていくとハマってきて(笑)。
野田:ニコニコ超会議2でも参考展示しましたが、ユーザーさんから非常に好評でした。
――草以外の機能も今後追加されると面白そうですね。
野田:「Y」を入力するとネギが生えるとか(笑)。アイデアがあれば、追加していきたいですね。
鈴木:視聴者とのコミュニケーションをとる方法を、我々からも提供する必要があるというのは、以前から感じていました。生放送をしても、何をして良いかわからず、雑談で終わってしまい、次の放送に繋がらないというケースもあるので、我々が喋るネタを手助けするような仕組みは重要だと考えています。
――スタンプやエフェクト、インタラクティブ機能など、ある意味でスマートフォン向けアプリよりPS Vita用アプリの方が高機能ですよね。
鈴木:PS Vitaはカメラの性能も良く、無線LANを使えばかなり高画質な配信が可能です。画面も大きいので、アプリのUIもなんとか構成できました。位置付けとしては、スマートフォン/タブレット向けアプリがあり、その上にPS Vita用アプリ、そしてPCという考えで設計しています。その上で、ある種の独自進化としてスタンプ機能などを盛り込んでおり、これらの機能を触りたい方は、ぜひPS Vitaで配信して欲しいですね。
――PS Vita版とスマホ/タブレット版などで、想定しているユーザー層は異なるのでしょうか?
鈴木:ユーザー層はあまり考えていません。“こういう遊び場を用意したので、好きに使ってみて”というスタンスです。遊び方を探して欲しいですね。その中で、ユーザー層が形成されてもいいですし、まったく別のユーザー層が形成されるかもしれない。そうした、予想していない展開に期待しています。
――PS Vitaで生配信となると、ゲームプレイの生配信にも今後対応するというお話がありましたが、あれと今回のアプリは、どう関係するのでしょう?
鈴木:今回のアプリは単純にPS Vita内蔵カメラを使った配信で、これはこれで完結しているものです。ゲームの実況配信は別途検討しており、今回のようなアプリの一部をライブラリのようにパッケージングし、ゲームメーカーさんにお渡しし、ゲームに組み込んでいただくというイメージです。これについては、ドワンゴと各ゲームメーカーさんが、アライアンスを組んで、進めていく予定です。
先日、「ドラゴンクエスト10」のゲーム実況配信がメーカー公認になったというお話がありましたが、画期的な事だと思っています。他のゲームメーカーさんにも追従していただいて、我々のプラットフォームに色々な配信をあげていただく事ができれば、多くのゲームメーカーさんに我々のライブラリを持っていきやすくなるので、凄く楽しみですね。
――ゲーム配信と言うと、PlayStation 4がゲーム機の基本機能としてゲームプレイのネット配信を可能にするとしています。ニコニコさんの方で何か絡んでいたりするのでしょうか?
鈴木:まずはPS Vitaでちゃんとしたものを出したかったので、今はPS Vitaに集中しています。先方次第ですが、もしPS4でも何かあれば、やりたいですね。