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スカパー、6月からの4K試験放送への取り組みを説明。W杯は「日本戦含む4試合放送」へ

スカパーJSATの高田真治社長

 スカパーJSATは9日、2013年度通期の連結業績について説明会を開催した。このなかで、6月2日より開始が予定されているテレビの4K試験放送に向けた、同社の具体的な取り組みについて言及した。

 既報の通り、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)は、2014年開始予定としていた4K試験放送について、6月2日より開始することを発表。スカパーJSATの124/128度CS放送のプラットフォームを活用し、スカパーも加盟しているNextv-Fが主体となって、放送サービスを実施することが決まっている。

 高田社長は、「秋には、4K対応受信機の本格販売に向けた技術検証が見込まれており、放送時間も拡大すると聞いている。当社も、普及に向けて一層汗をかいていきたい」と述べた。

4K放送実現に向けた取り組み

 6月2日からの4K試験放送では、JCSAT-3A(東経128度)衛星を使用。スカパー! プレミアムサービスの標準画質サービス終了後に空いたトランスポンダ(電波中継器)を利用する。10月からは、試験放送時間が拡大される見込み。

 試験放送の具体的な編成内容は、サービス主体であるNexTV-Fから今後発表される見込みだが、注目される6月からのサッカーブラジルワールドカップ大会の放映については「日本戦を含む4試合を放送できるように何とかしたいとトライしていると聞いている」(高田社長)という。

 スカパーが主体となる4K放送サービスとしては、スカパー! プレミアムサービス光による4K展開を検討中。総務省が、2020年までの4K/8K放送に向けたロードマップの具体化を図る「4K/8Kフォローアップ会合」において「当社も積極的な提案をしていく」(高田社長)としている。

 NexTV-Fよる4K試験放送チャンネルの開局と、その後の4Kチャンネルの本格展開の検討などにより、スカパー! プレミアムサービス全体の底上げを図る。そのために、今回の4K試験放送で「積極的に放送サービスの高度化に取り組み、来たるべき4K/8K時代に向けた将来への布石を打つ」としている。4K放送によるスカパーへの収益の影響について高田社長は「いきなり視聴料収入を取れるかというと難しいが、2020年の東京オリンピック/パラリンピックなどに向けて、長期のプランが必要。放送事業者/受信機メーカーを含めて今後発展していけば、衛星トラポンで大きな帯域を使うサービスとなり、結果として収益も増えていく」との見方を示した。

 総務省の検討会において'13年6月に設定されたロードマップでは、2014年に124/128度CSとCATVにおいて、4K、スマートテレビを一体として放送開始、2016年には110度CSにも拡大し、4Kだけでなく8Kを放送開始、2020年には、124/128度CS、110度CS、CATVに加え、BSでも放送を拡大するとしている。

'13年度通期の損益概要

 なお、8日に発表された'13年度通期の業績は、売上が前年同期比7.6%増の1,716億8,300万円、営業利益が同34.4%増の217億1,300万円、経常利益が同37.1%増の215億2,900万円、当期純利益が同0.2%減の96億5,900万円となった。このうち有料多チャンネル事業の売上は、1,221億5,500万円。営業利益は11億8,400万円となった。

 発表会の中で説明された有料多チャンネル放送関連の取り組みの詳細については、別記事で掲載している。

(中林暁)