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MHL機器が6.5億台を突破。最新スマホなど3.0対応拡大
テレビを遠隔サポートするNetReadyは日本展開も開始
(2014/10/8 13:17)
10月7日~11日にかけて幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2014」に合わせて、シリコンイメージは会場近隣のホテルでプライベート展示を実施した。MHL対応製品の拡大や、5月に買収したアップデートロジック(UpdateLogic)の事業などについて説明を行なった。
MHL対応機器は6億5,000万台を突破
シリコンイメージが、ノキア、サムスン、ソニー、東芝と共に開発したインターフェイスのMHL対応製品は、全世界累計で6億5,000万台を超えたことが9月22日(米国時間)に発表された。
スマートフォンやテレビなどで採用されており、スマホのゲームをテレビ画面でプレイできるほか、最新規格のMHL 3.0では4K/2160p30(30p)の映像や、ドルビーTrue HD/DTS-HDの7.1chサラウンド音声、最大10Wの給電などをサポート。さらに、著作権保護の最新規格であるHDCP 2.2にも対応し、4K映像などのプレミアムコンテンツ再生が可能。4K対応テレビでも対応が進んでいる。
スマートフォンでは、SamusungのGalaxy Note 4や、ソニーのXperia Z2/Z3、中国ZTEのnubia Z7などが最新のMHL 3.0に対応。nubia Z78は、シリコンイメージの「SiI8620」と「SiI6031」のMHL 3.0チップセットを搭載し、4K映像と高速データ転送を同時に利用可能としている。
その他にも、MHL 3.0対応製品の具体例として、ノートPCのような筐体でバッテリやキーボードを備え、CPUなどは接続したスマホを使って動作するという「SmartBook」や、PCディスプレイに接続してネット動画サービスを利用できるスティック型端末の「Roku」、Dellの「Wyse Cloud Connect」などを紹介した。
6億5,000万台以上というMHL機器の中には、スマートフォン/タブレットやディスプレイ、小型プロジェクタのほか、車載レシーバや、ケーブルなどにも対応が拡大。2013年出荷モデルのうち、全スマートフォンの22%、デジタルテレビの28がMHL対応としており、スマホにおいてはiPhoneや一部のローエンド機器を除くと、高い割合でMHL対応が進んだという。
最初のMHL対応製品が登場したのは2011年で、他規格との比較では、DisplayPort製品の数を上回り、HDMIよりも速いスピードで広まっているという。
MHL対応機器の拡大は、インドや中国などスマホの出荷台数が急増している新興市場で普及が進んでおり、性能の向上が進むスマホをゲーム機やPCのように大型の画面で活用するといった使い方がMHLの普及を牽引しているという。MHL 3.0では映像や音声だけでなく、USBのコマンドコントロールにも対応し、キーボードなどのコントロールもMHLケーブル1本でやりとりできることも、PCの代わりとしてスマホを使うユースケースの拡大を後押ししているという。
家電の遠隔サポートを実現するUpdateLogicの「NetReady」が国内にも導入
米アップデートロジックは、テレビなどメーカーのサポートセンターが、ユーザーの自宅にある機器をネット経由で遠隔操作して設定などを行なえるようになるBtoBサービス「NetReady」を提供している。同社は5月にシリコンイメージによって買収された。
このサービスは、ユーザーからサポートセンターに問い合わせがあった場合に、機器の操作に詳しくないユーザーに代わって、サポートセンターの担当者が遠隔操作することにより、従来の電話のみでのやり取りに比べ大幅に効率を改善できるのが特徴。電話の時間を短縮でき、ユーザーとメーカーそれぞれの負担を減らすことができる。テレビやBlu-rayプレーヤー、スマートフォン、ルーターなど、幅広いインターネット対応機器をサポートできるという。
米国だけでなく、日本を含むグローバルでも一部テレビメーカーのサポートセンターにおいて第3四半期からNetReadyを導入。NetReadyの利用で問題を解決できたシーンも増えているという。遠隔サポートを受けることでユーザーが追加費用を支払う必要は無い。なお、NetReadyに対応するにはテレビなどの工場出荷前に専用のソフトウェアをインストールしておくことが必要で、製品購入後にこのソフトを追加することはできない。
問題解決だけでなく、ストリーミング動画配信などのサービス利用に必要なDRMキーを、テレビ購入後にインストールすることも可能。通常、テレビは本体に配信サービスごとのDRMキーがプリインストールされている場合のみ、そのサービスを利用できるが、NetReadyを通じて後から対応サービスを増やすことができるという。
家電製品の複雑化が進むにつれて返品に伴う費用が増加し、米国では販売店やメーカーのコスト負担が毎年170億ドルに達しているという。返品されたもののうち、製品そのものの欠陥はわずか5%としており、サポートセンターの対応で解決することで、コストを抑えられるという。
今後の展開としては、サポートセンターとユーザーの間での遠隔操作だけでなく、ユーザー同士での遠隔操作もできる仕組みを計画しているという。親子や友人などの間で問題を解決することにより、コストをさらに軽減できるという。また、冷蔵庫や洗濯機など生活家電のネット対応も見込んで「家まるごと」のサービス提供も検討しているという。