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シャープ、'14年度通期で300億円の赤字に。TVや液晶が苦戦

国内テレビ不振は「4Kシェアが低かった」

シャープ 高橋興三社長

 シャープは3日、2014年度第3四半期(10〜12月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比6.4%減の7,627億円、営業利益は同53.8%減の220億円、経常利益は同78.6%減の73億円。当期純利益は119億円の赤字となった。

 液晶テレビやエネルギーソリューションの販売減少や、中小型液晶の価格下落などが響き、収益が悪化した。第3四半期の結果を受け、通期の業績予想も下方修正。売上高は2兆9,000億円から変更無いが、営業利益は500億円減で500億円の黒字、純利益は300億円の黒字から300億円の赤字へと600億円下方修正された。

2014年度第3四半期決算概要
通期業績予想も下方修正
部門別営業利益増減分析

国内テレビは4K移行の遅れが響く

 デジタル情報家電は、売上高が前年同期比11.2%減の1,226億円、営業利益は35億円の赤字。このうち液晶テレビの売上高は同12.2%減の1,043億円となった。

デジタル情報家電の業績
デジタル情報家電の悪化要因と対策

 液晶テレビは、国内においてラインナップ展開の遅れと大型モデルの価格競争激化が響いて採算が悪化。北米においては価格競争の激化、中国においては市況低迷や流通在庫過多が響いた。

 第4四半期の液晶テレビ売上高予想は前年同期比14.3%減の865億円を見込んでおり、通期予測は売上高3,800億円と当初予測比200億円下方修正した。デジタル情報家電全体の通期売上高は4,700億円、営業利益は120億円の赤字を見込む。

 第4四半期以降は、国内においては、ラインナップ拡充やバリューチェーンの見直しによるコスト競争力強化を図る。北米では、現在30以上の製品ラインナップを絞りこみながら、4Kや次世代高精細テレビの商品化など、高付加価値モデルを強化していく方針。

 テレビ収益悪化の要因について、シャープの高橋興三社長は「国内の不振の理由ははっきりしている。4Kの移行が遅れた。第3四半期にかけて4Kのシェアが低くなった。また、テレビ全体のシェアもシャープはこれまで30%後半のシェアがあったが、30%を遂に切った時もあった」と説明。今後については、「アメリカ市場とともに4Kを中心としたラインナップを強化していく」と語り、期初に1桁台だった4Kテレビシェアが、直近では2位に入ったことを紹介。4Kラインナップを強化していく方針を示した。

 通信は、売上高が前年同期比8.4%減の720億円、営業利益は82億円。このうち携帯電話の売上高は前年同期比7.4%減の641億円となる。高付加価値モデルの市場投入やコストダウンの推進により増益を確保し、国内シェアアップに向けた特長スマートフォンの販売促進などに取り組むとしている。

 白物家電を中心とした、健康・環境は、売上高が前年比5.4%減の776億円、営業利益は同25.1%減の42億円となった。国内白物家電の需要低迷により、販売が減少。また、為替対応の遅れも採算の悪化につながった。

 国内の住宅、産業用とも落ち込んだエネルギーソリューションは、売上高が前年同期比50.6%減の536億円、営業利益は16億円の赤字。ビジネスソリューションは、売上高が10.5%増の851億円、営業利益も25.2%増の76億円と好調で、海外の複合機や国内外のインフォメーションディスプレイなどが伸長し、増収増益となった。

タブレット市場低迷やインセル化の遅れが液晶の収益を圧迫

 テレビやエネルギーソリューションとともに、不調だったのが「液晶」事業。売上高は前年同期比14.2%減の2,380億円、営業利益は同55.9%減の114億円と損益悪化している。

液晶事業の業績

 高橋社長は、液晶不振の理由を、「中型(タブレット)市場の需要拡大遅れ」、「中国スマートフォン市場の変化」、「インセル(In-cell)量産の遅れ」などの理由を挙げて説明した。

液晶の悪化要因と対策

 中型については、「2014年は、ノートPCやタブレット、モニターなどの領域で大きく伸びると予測していたが、これが想定ほど伸びなかった」と説明。中国スマホについても、「供給先を15社に増やして、拡大を図った。しかし、中国全体では4億台と想定していたが、実際の3億台程度になっており、特に下期に入ってから在庫過剰で調整がかかっている」とした。ただし、売上規模や高精細化は着実に進んでいるため、営業体制拡充や商品力、競争力強化などに取り組んでくという。

 商品力という点で、高橋社長が指摘したのは、インセル型の量産遅れ。“インセル”とは、タッチパネルを液晶パネルの上に重ねる従来の方法に対し、タッチパネル機能そのものを液晶パネルに一体化する方式。タッチパネル部材が不要となるため、薄型化や低コスト化などが期待される技術だが、他社に対して量産が遅れており、量産開始は「今夏ぐらい」とする。

液晶の営業利益変動要因

 こうした状況のため、大型から中小型への積極移行を目論んでいた亀山第2工場の中小型比率も35%にとどまっており、これが収益改善の妨げになっている。そのため、今後は、中型パネルにおける新規顧客開拓や中国市場での競争力強化、特に中国華南地方での営業体制強化などに取り組むほか、中小型/大型のアプリケーションミックスの最適化をこれまで以上にしっかりやっていくという。

 電子デバイスは、スマートフォン向けカメラモジュールが好調で、売上高が前年同期比46.7%増の1,561億円、営業利益は同37.5%減の26億円。

亀山第二工場の中小型比率推移
収益基盤改善に向けた取り組み

新中期経営計画策定へ

 シャープ高橋社長は、中期経営計画の途中の業績悪化について、「真摯に受け止め、業績の回復に向け、不退転の決意で臨む」と宣言。液晶テレビやエネルギーソリューションの構造改革などに向けて、中期経営計画を見直しし、新中期計画の策定に着手したことを明らかにした。

 新中期経営計画は、5月を目処に計画を公表する予定で、サプライチェーンの再構築によるコストダウン推進や、組織のスリム化などの固定費削減に取り組み、黒字化へむけ、「絶対にやり遂げられる中経(中期経営計画)を作っていく」と語った。

(臼田勤哉)