ニュース

ソニー、4K動画本体記録の超高感度フルサイズ機「α7S II」。約42万円

 ソニーは、ISO 409600の高感度撮影に対応し、本体のみで4K動画撮影が可能なミラーレスのデジタル一眼カメラ「α7S II」(ILCE-7SM2)を10月16日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は42万円前後。

α7S II(SEL2470Z装着時)

 Eマウント採用のαシリーズ新機種で、高感度/低ノイズの有効1,220万画素35mmフルサイズセンサーと画像処理エンジンBIONZ Xを搭載し、静止画/動画ともに最高ISO 409600(拡張時)に対応。暗所でもノイズの少ない撮影が行なえるのが特徴。'14年6月に発売した「α7S」の高感度撮影機能や、8月に発売した「α7R II」の操作性を踏襲した最高峰モデルと位置付けられている。ただし、有効画素数はα7R IIの4,240万画素と比べて少ない。α7Sでの4K動画撮影は外部レコーダ記録だが、α7S IIでは新たに本体のみで4K/30p撮影が可能になった。既報の通り、欧州では11月発売と発表されている。

 センサーのフルサイズ領域で画素加算のない全画素読み出しによる4K(3,840×2,160ドット)の動画を本体内に記録可能。フルサイズの表現力をそのまま全画素読み出して使用するため、モアレやジャギーを抑えた撮影が行なえ、高感度/低ノイズ性能や広いダイナミックレンジを活かして様々なシーンで高画質な4K動画記録可能としている。

 フルHD(1,920×1,080ドット)撮影時も、画素加算のない全画素読み出しに対応(24p/30p記録)。フルHDに必要な画素数の約5倍の情報量を凝縮して映像を出力するため、オーバーサンプリング効果によって高画質を実現するとしている。

 動画のフォーマットはXAVC S/AVCHD/MP4。XAVC Sの4K 30p/24p記録時は最大100Mbps、フルHD 60p/30p/24pは最大50Mbpsで記録できる。フルHD 120fpsのハイフレームレート記録も最大100Mbpsに対応。本体内で24p/30p記録を選択すれば、4倍/5倍のスロー動画にできる。

 プロフェッショナル向けの機能として、S-Log2に加えて、Cineonガンマの特性に近いS-Log3を搭載。色域は、S-Gamutから色再現性に改善を加えたS-Gamut3、フィルム撮影のネガフィルムをスキャンしたものに近づけて設計されたS-Gamut3.Cineにも新たに対応。デジタルシネマのDCI-P3より広く設定されたS-Gamut3.CineとS-Log3の組みあわせにより、DCI-P3や709ビデオカラースペースをターゲットにしたカラーグレーディングを容易にした。その他、S-Log2/S-Gamutも選択可能。S-Log3設定時は14ストップの再現域を確保した。

 S-Log収録時にコントラストのある自然な映像でモニタリングできるように、ガンマ表示アシスト機能も新たに搭載。S-Log2、S-Log3それぞれからITU709(800%)ガンマに変換し、液晶モニターまたはファインダー上でモニタリングできる。ただし、他のディスプレイやテレビに外部出力した場合はガンマ表示アシストは利用できない。

 ゼブラ機能は、露出の確認が難しいS-Log収録時などでも露出合わせがしやすいように、表示の輝度レベル基準値はIRE0~109%まで、幅は±10%を1%刻みでユーザーが自由に設定可能。S-Log2、S-Log3使用時に露出合わせがしやすく、意図通りの映像表現が可能になるとしている。輝度レベルの下限値設定も可能。

 α7R IIやα7 IIと同様に、静止画/動画対応の光学式5軸手ブレ補正をボディ内に搭載。補正効果は4.5段分。静止画の連写は最高5コマ/秒。入射光量に合わせて入力される信号のレベルをセンサー内部で最適化でき、明るいシーンから暗いシーンまで、全ての感度域で広いダイナミックレンジを実現している。14bit非圧縮RAWフォーマットにも対応する。

α7シリーズのラインナップ。右下が新機種のα7S II

 コントラストAF機能の「ファストインテリジェントAF」は、25点AF枠を中央の9点だけ細分化し、TTLで169のAF枠を配置。これにより被写体の検出精度を高め、高速/高精度なフォーカシングを実現。α7S比で約2倍という高速化を実現した。イメージセンサーの高感度性能により-4EVの低照度環境下でも合焦。動画撮影においても、低照度下を含め高速/高精度AFを可能としている。

 シャッター音を消すサイレント撮影機能を備え、野生動物の撮影やコンサートなどで利用可能。サイレント撮影時の5コマ/秒連写(ピントは1コマ目に固定)にも対応し、カスタムボタンに同機能を割り当てられる。

 AFエリア設定には拡張フレキシブルスポットを搭載。瞳AFはAF-Cに対応する。AF-S/AF-C設定時のフォーカス/レリーズ優先や、バランス重視設定も利用可能。

 ブレーキ機構を採用した低振動シャッターを備え、メカ先幕/後幕どちらも走行時の振動を約50%低減。シャッターを静音化しながら、約50万回のレリーズ耐久性も実現した。握りやすさを考慮し、グリップ形状やシャッターボタンの位置を変更。モードダイヤルにはロック機構を追加している。ボディはトップカバー、フロントカバー、内部フレームに加えて、リヤカバーにも軽量/高剛性のマグネシウム合金を使用する。

 ビューファインダは0.5型/235万画素で、ZEISS T*コーティングを施した有機EL「Tru-Finder」で、倍率は0.78倍。液晶モニターは3型/122万画素。HDMIマイクロ出力を備え、4K動画/静止画出力に対応。マルチインターフェースシューも備える。ステレオマイクを内蔵するほか、3.5mmステレオミニのマイク端子を備える。

 バッテリ「NP-FW50」が付属し、動画の連続撮影時間はファインダー使用時が約95分、液晶モニター使用時は約100分。実撮影時間は約55分(ファインダー)/約60分(液晶モニター)。USB充電にも対応する。記録メディアはSD/SDHC/SDXCカードとメモリースティックPRO デュオ/PRO-HG デュオ。外形寸法は約126.9×60.3×95.7mm(幅×奥行き×高さ)、本体のみの重量は約584g。

α7S IIボディ
SEL35F14Z装着時
グリップやシャッターボタンの位置なども変更された

(中林暁)